
「工人体育場リノベーション」に続いて依頼された、ポスト・オリンピックの施設利用の提案である。

天津オリンピック中心は、北京オリンピックのサッカー競技の会場として建設されたが、北京オリンピックの終了後は、ここをホームとするサッカーチームもなく、施設利用率の低い状態が続いており、施設維持のためにも採算化/商業化が急務となっている。スタジアム内部のコンコース沿いには、多くのテナント部分や会議室があり、ハードウェアとしては十分商業化することは可能であるが、スタジアム本体が敷地中心に独立して建っているため、敷地外の客を建物まで誘導する経路の設計が問題になる。これは、その第一段階として行われる、メインゲート部分のリノベーション計画である。
港湾都市/天津に則り「水滴」をモチーフに設計されたこのスタジアムのコンコース部分には「小水滴」と呼ばれるシンボル的な構築物が浮かべられているが、今のところ躯体のまま放置され利用されていない。まずこの部分を、視覚的に訴求力のある形を持ったコア施設として整備する。
メインゲート方向からは、小水滴自体は屋根に隠れて見えないため、その下部に、ガラスに囲われたイベント会場を増設した。この部分は、水滴が水面に落ちた瞬間を模している事から「スプラッシュ」と呼んだ。この「スプラッシュ」から、北のメインゲートへと伸びる軸線沿いには、44基の縦長のLEDスクリーンを並べ、連動させている。軸線沿いに移動する人々からは、スクリーン上の映像は重なり合い、一対の動画として見えることになる。ランドスケープにおいては、噴水やフォリー、野外ステージにも使えるテント等に加えて、樹木を納めたガラス温室を配置した。気候の変化が激しい中国北部においては、この一年を通じて変わらない緑は、来客の目を楽しませる事だろう。


「小水滴」構造モデル

既存コンコース、右手前が「小水滴」
Type: Stadium / Renovation
Place: Tianjin, China
Area: 375,000 sqm
Period: 2009.04-2009.11
Team: Daisuke Tofuku, Tong Ling, Wang Yaohui [Pan-China], Hoshiaki Ishikawa [Equipment]
- 次の作品: ブラザヴィルの別荘、コンゴ共和国
- 前の作品: 木とステンレスのディスプレイ