堀口捨巳という建築家/研究者が書いた「茶室研究」という本がある。学生の頃、大学の図書館で見つけ、よーし読んでやるぜと開いた所、旧仮名漢字。送り仮名は全部カタカナでいきなり挫折した思い出がある。
建築家は、ある程度年をとると、茶会に出没したりして、お金持ちの人脈作りに励むんだよ、とどこかで聞いた事がある。茶会に着て行く服すらない僕にとっては、そういった所に出入りするようになるのは夢のまた夢だけれど、日本建築の様式美の極致!と言われては、そりゃ興味もわく。
最近、ある仕事で、施主と打ち合わせを重ねるうちに、その施設の一部屋を「茶室に見立てる」事になった。見立てるだけで、実際の用途は違うので、そこで茶会が開かれる可能性はほぼないけれど、「無理すればできないことはない」程度にはしたいと思った。建築家が設計した現代的な茶室は数あるけれど、茶人たちには概ね評判が悪いらしい。そこに新たなタイポロジーを加える事になるのは避けられないだろうが、せめて、茶道を知る人に鼻で笑われないようにはしたい。そこで、茶室、茶道、茶道具に関する本を幾つか買い込んで目を通した。
茶室は日本の建築美の神髄、なんて思われている節があるが、大陸文化の影響を抜きには語れない。日本文化の本を読みながら、結局は中国に戻ってきてしまうという経験は、これで何度目だろうか。千利休の天才によって、単なる「大陸への憧れ」の発露だったものが、「日本文化の神髄」へと転換していった。そんな歴史が垣間見える。
茶室設計の入門書。ちょっと専門家向きだが、読みやすい。怪しげな本が沢山ある茶室の本の中では、一番まともに感じた。本屋に一緒に行った人は、たまたまこの本を読んでらして、「面白い本ではないですよ」と言っていたけれど…
1159件の茶室を分析して統計化、そのうち500件は平面図を載せているという凄い本。ライフワークの集大成。茶室の設計は、決まり事が多いようでいて、一方でルーズなところもある。設計者としてはどこまで自由にやって良いかが分かりにくい。本来は、主の「粋」を表現する建物だったのだから、自由であってしかるべきだが、自分がやろうとしているプランが、どのくらいセオリーから外れているかを推し量ることができる。
…ところで、その「茶室に見立てる」部屋の件。色々本を読んで設計を始め、模型を作ってみたら、そのまんま茶室になってしまった。うむー。だから茶室じゃないんだってば!と自分に言い聞かせながら、他の方法を模索している。













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