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The Gang*Gang Cell-ar、天津

事務所のウェブサイトの方に、竣工物件:"The Gang*Gang Cell-ar、天津"の情報をアップしました。スーパーを併設したレストランです。よろしく御高覧下さい。

なお、中国語ページはこちら

建築家ごっこ

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僕のツィッターのアカウントをフォローして頂いている方はご存知かもしれないが、このところ、ボードゲームに凝っている。中国棋院の設計をしていた頃は、将棋にも、碁にも、興味が全く湧かず、果たして僕はこの物件の設計者として相応しいのか?と悩むほどだったが、数ヶ月前にちょっとした切っ掛けがあって燃え上がってしまった。

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The Gang★Gang Cell-ar オープニングパーティのお知らせ

天津で取り組んで来たレストラン/店舗物件がいよいよオープンします。オープニングパーティーは7月28日。詳しくはこちら。皆様是非お越し下さい。

天津のファシズム、1933

最近、出張で天津に行く事が多くなっている。いつもは街に出る事はなく、直ぐに北京に戻っているのだが、先日は時間が空いたので、散歩がてら商業地区の視察をしようということになり、施主と租界地区を歩き回った。僕が天津を初めて訪れたのは5年前。この5年間で天津の街並は大きく変わり、以前は閑散としていた租界地区もすっかり商業地区となっていた。

2008年にイタリア租界を訪れたとき、その一隅に建つ建物に興味を持った。無骨な構成、装飾類から、イタリア1930年代の近代建築、しかもファシズム下の公共建築の様式を持っている事は遠くから見ても明らかだった。その時は零下10度くらいの寒さで、「おそらく銀行か何かだろう」という事にしてタクシーの中に逃げ込んでしまったが、今回は近づいて銘板などを観察する事ができた。「国威発揚のためのファシズム建築がなぜ天津にあるのか?」という疑問はこれで氷解するはずだったが、ネットで調べるうち、却って謎は深まってしまった。その建物の名は「原回力球場」という。

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荒川修作@養老、1997

荒川修作氏の訃報は、昨晩、ツイッター経由で知った。身体性の回復を訴えてきた美術家の死を、掌の中のiPodで知るというのは、なんとも皮肉な話だ。荒川さんとは、学生時代に会う機会があった。地方大学の冴えない学生だった僕にとって、初めて会うビッグネーム。その時の事は、今でも鮮烈に覚えている。今日はその思い出話を書こうと思う。

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SHN [名古屋S邸]のスナップ

もう1ヶ月も前の事になるが、名古屋にてSHNと呼んでいる住宅が竣工した。現在、まだ資料を整理している段階だが、最近東福は何やってるの?という質問を度々頂くので、とりあえず報告代わりに自分で撮ったスナップを掲載させていただく。

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Eliasson, DnA, Zhu Pei : 最近の北京プロジェクト

先日、日本のある雑誌社の方に同行して、中国の若手建築家の作品を見て回る機会があった。以下の記事は、Twitterに載せたものを再構成して、少々加筆したもの。

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FILM LABとPICtone

iPhone/iPod Touchのアプリ、FILM LABとPICtoneを購入して遊んでみた。似たようなアプリは沢山あるようだが、値段の安いものを2つ選んでみた。

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元画像。798で展示されていた彫刻。

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FILM LABのフィルムシミュレーションでAGFA(確か)を選択。本当にAGFAっぽい色味なのかは分からない。

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PICtoneではトイカメ状の画像に処理できる。言ってしまえば、安カメラの安レンズで撮ったような画質に劣化させる訳だが、これはこれで面白い。色の再現性を赤寄りにし、周辺光度を落とす。続きに他の例をいくつか。

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SHN [名古屋S邸] オープンハウスのお知らせ

去年の春から1年に亘り、名古屋の個人邸の設計/監理を行って参りましたが、このたび竣工を迎える事ができそうです。つきましては、3/22に、施主のご厚意によりオープンハウスを行う事になりました。是非御高覧頂きたく、ご案内申し上げます。

当住宅は、5つの箱が中庭を囲い込みつつ、互いに支え合うような構成をとっています。屋根の架構には、細い板状の梁を密に設け、リズミカルな視覚効果を生む事を狙っています。

日時:10年3月22日(祝・月)10:00-18:00
住所:愛知県名古屋市天白区(最寄駅:地下鉄鶴舞線赤池駅)

個人邸ですので、地図等は希望者の方のみにお送りします。内覧御希望の方は info@03-x.com までご連絡下さい。折り返し詳細をお送りします。

*会場には駐車場はございません。お越しの際には、できる限り公共交通機関を御利用下さい。
*お車でお越しの際には、近隣への路上駐車は避け、時間貸し駐車場等の御利用をお願い致します。
*引き渡し前の物件ですので、汚損する事のないようご注意下さい。

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■建築概要
敷地面積:167.92 ㎡
建築面積: 67.05 ㎡
延床面積:134.10 ㎡
規模・構造:地上2階・木造

設計:worklounge03- + OUVI
施工:株式会社杉本組

worklounge03- / 担当:東福大輔、竹森紘臣、Tong Ling
東京都港区東麻布3-8-8 明商ビル703
URL : http://www.03-x.com

OUVI / 担当:横尾真、安田佳理
URL : http://www.ouvi.nu

年末の名古屋

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11日は、打ち合わせ後、夕方の新幹線で名古屋へ。先週オープンしたというレストランで、和装デザイナーのカワイさん、広告代理店の松下さんと三人で食事。カワイさんも絡んだと言う「へうげもの」展の話から「日本的なもの」の話へ。お二人は頭が柔らかい方で、安易な日本文化礼賛に話題は流れず、中国史の話も入りつつ、盛り上がる。

12日は名古屋の住宅の現場で、施主打ち合わせ。基礎が打上がり、敷地にプランが浮かび上がっている。中庭のオリーブの木を中心としたプラン...いや、中心となっているどころか、トイレ/階段室/玄関を含めた、全ての部屋が実直なまでに中庭に向かっている(2階では、3つのベッドルームが中庭を介して向かい合う)。派手さはないけれど、良い建物になりそうだ。夕方の新幹線で東京へ。

上有天堂、下有蘇杭

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先週末は、打ち合わせに杭州に出張してきた。歴史、文化に恵まれた豊かな都市で、「上に天国あり、下に蘇州/杭州あり」と称するくらい、中国人憧れの街だ。5年ほど前にも行った事があるが、その時は仕事に忙しく、観光できたのは20分ほどだった。今回は、打ち合わせの翌日には飛行機まで時間があったので、クライアントの運転手に3時間程度の観光ツアーをしてもらった。

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オープニングと二胡と

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オープニングは大盛況でした。いらして下さった皆様、ありがとう御座いました。

また北京に来てしまった...。寒い。今回のフライトは先月就航したユナイテッド便を利用した。日曜日の成田は思いのほか混んでいて、ユナイテッド航空は顧客クラス毎にガッチリとグレード分けされているため、キャンペーン格安チケットの私は一番長い列に並ばなければならない。イライラしながら並んでいたら、後ろに並んでいた学生さんが荷物が限度を超過しそうなので一緒にチェックインしたいという。断る理由も無いのでOKし、その後並びながら雑談していた。

彼女は、北京の中央音楽学院に二胡奏者として留学中なのだという。へぇ!凄いねぇ!と感心しながら、以前から興味のあった二胡について色々聞いているうちに、チェックインの番になった。彼女と別れて飛行機に乗り、ユルユルと考えるうちに色んな疑問が湧いてきた。

二胡は、その名の通り2本の弦をもち、その2本の弦の間に弓が通り、知恵のワみたいな構造になっている。基本的に単音を出す楽器なんだから、ヴァイオリンみたいに弓と本体が別々になっていても良いような気がするのだが、どうして一体化しているのだろうか?とか、じゃあ持ち運ぶ時にはどうしているの?とか。チューニングはどうなっているの?、とか(確かDとAだと言っていた)、演奏時はどういう風にホールドしているの?、とか...

特に最後の質問には興味がある。楽器は、もちろん音色の問題もあるのだろうけれど、できるだけカラダにフィットし、固定できるように形が変化してきている。カラダに固定することで、楽器を支える手間が省け、演奏の自由度が上がる。歴史上有名なテクニシャン・ヴァイオリニスト、パガニーニが活躍していた時代は、ヴァイオリンをアゴに固定する「アゴあて」がまだ発明されていない時代だった。もちろん、今演奏できるのも十分凄い事だが、パガニーニがアゴあて無しにあの曲を弾いていた、というのが驚異なんだそうだ。一方、二胡はカラダから楽器が離れているように見える。思いっきりボウイングすると楽器がクルクル廻ってしまう気がするのだけれど、どうやってるんだろう...?

色々質問したかったが、到着後は二人とも急いでいたため、結局聞けずじまいだった。彼女は来年卒業し、帰国して演奏活動に力を入れると言っていた。演奏会の折にはぜひ呼んでもらえるようにお願いしたので、その時にでも尋ねる機会があればいいなぁ。

ミヅマアートギャラリー(東京)オープニングのお知らせ

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11/4(wed.)に、私共が関わった「ミヅマアートギャラリー」の新スペースがオープンします。オープニングレセプションは18:00から。皆様お誘い合わせの上ぜひお越し下さい。くわしくはこちら

...といっても、工事はまだ一部を残している。中国でしか手に入らない材料や、中国で加工した方がはるかに安いものなどを、北京で買い集めて東京に持ち帰る。施工は我々で行う部分もある。オーナーの三潴さんは「大先生自ら最後にタッチアップかぁ」と笑ってらっしゃるが...いやはや、オープン直前までドキドキは続きそうだ。

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13500円から

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約1ヶ月ぶりに、東京へ戻って来た。

北京の気温はどんどん下がって行っている。そろそろ秋も終わり。屋外で食事をするのは、少々つらくなりつつある。ここ数年、人と会う度に、北京の秋はいいから、是非いらっしゃい!と誘っていたが、それが功を奏したのか、ここ1ヶ月はなんだかんだで5組くらいのお客さんの北京案内をすることになった。国慶節がらみで、ちょうど仕事がたて込んでいなかったのが幸いした。

フィナーレとなったのは恵比寿のバーのオーナーと、その常連さん御一行。建築関係でない人を案内するのは実は初めてで、初の北京市内観光を敢行した。最初は中央美術学院の美術館に始まって、798、会田さんへの差し入れの日本酒を持って草場地、その後、故宮の北門から入って天安門まで縦断、さらに国慶節で異様なにぎわいを見せている天安門広場を縦断。タクシーが拾える所まで移動して、南ルオ鼓郷、鼓楼、後海あたりで買い物、そして食事と酒。最後は疲れた足を癒しにマッサージへ。一人の方が万歩計を持っていたのだが、4万2000歩との事。足がパンパンになった。

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賑わう天安門広場。パレードの山車が飾り付けられ、いつもの漠とした広さは感じない。出店が出ているわけでなく、これといったイベントが行われているわけでもないというのに、人民たちはとっても楽しそうに集っている。さすが中国、政治とレジャーが一体化している。

北京観光のベストシーズンは終わってしまったが、ここからは航空券が安くなり始める。今月の10月25日から、来年の3月27日までは、ユナイテッド航空が成田ー北京間を飛ぶ。しかも、ウェブで購入した場合は、キャンペーン価格で13500円〜と激安運賃になる。調べてみると、だいたい16500円くらいの設定になっているようだが、それでも激安には変わりない。

耳より情報でした。

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東京フォト

本日から6日まで、日本で初めての写真専門のアートフェア、「東京フォト」が六本木で開催されています。昨日、プレビューに誘って頂いたので行って来ましたが、すいません、写真を撮ってくるのを忘れちゃいました。

第1回ということで小さな会場だったが、展示に適度な密度感があって、コンパクトに纏まった良い展示だった。特別展示も、参加ギャラリーも一流どころで見応えがある。中国のアートフェアにありがちな、大風呂敷広げ過ぎちゃいました!的な空虚さがない。「ブース」という考え方を敢えて廃した空間構成も面白い。中国で行われるような大規模なアートフェアや見本市を見過ぎた僕のような人間には、なかなか出て来ない発想だ。

東京フォト代表の原田さんは、昔、音楽絡みで何度か遊んだ事があって、その後連絡が途絶えていたが、先日Facebookで突然繋がり、会場にて約10年ぶりにお会いする事になった。10年前、建築の本を貸して、そのままになっていたのだが、それを見るたびに思い出してくれていたとの事。僕の方も、「あの本を見たいな」と思う度に、彼の事を思い出していたが、まさか、アートフェアをオーガナイズしているとは夢にも思わなかった。伺った所によると、数年前に写真の魅力に取り付かれ、写真専門のアートフェアの開設を思い立ったらしい。刺激的な再会だった。

日曜日まで。

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大覚寺のレストラン

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1年ほど前から、出そう出そうと思いながらも、お蔵入りになっていた写真を引っ張り出してきた。

北京は、北側と西側を山に囲まれており、中心部からは、快晴の時には、その山並みを望む事ができる。仕事の関係で、その西北方向の山の中ほどにある大覚寺という古刹を訪れた。中国、特に北方の歴史的建造物は、故宮に代表されるような、大味、というか大雑把な配置をもつものが多いのだけれど、ついでにいうと都市構造からして大雑把だったりするのだけれど、この寺の伽藍は、山の斜面に張り付くように密度高く配置されている。小さな門をくぐりつつ、堂を巡りながら登ってゆくと、頂上の舎利塔に行き着く。そこからの眺めはなかなかのものだ。

面白いのは、そんな境内の中の堂の一つが、紹興料理のレストランになっている所だ。紹興は、この寺にも、北京にも、歴史的に何の繋がりもない。このレストランだって近年にできたものだろう。日本だったら、こういった場所には、ご当地の歴史ある料理を出す店が入るものだろうが...。とはいえ、料理はなかなか美味しく、また、内装も様式的にはやや混乱しているものの、オリジナルの建物を生かした雰囲気の良いものになっている。

現在の北京の中心部には、このような情緒ある場所は非常に限られてしまっている。やはり、文化大革命によって多くの歴史的遺産が打ち壊されてしまったのが大きいのだろう。特定のイデオロギーを社会に敷衍させるには、純粋で、パワーが漲る若者を感化し、組織化して社会に放つのが効果的らしい。ナチスではヒトラーユーゲント、ファシスト党ではバリッラ、そして文化大革命の時には紅衛兵。若く、毛沢東を狂信的に崇拝する紅衛兵たちは、片っ端から知識人を引っ張り出して弾圧し、建物や文物をぶち壊していった、という事になっている。恐れられた存在だが、さすがにガキであることには変らなかったか、市街から距離のある大覚寺は破壊を免れたようだ。

最近、文化大革命時代に北京に滞在していた著者による「中国料理の迷宮」という本を読んだ。王朝時代からの中国料理の変遷、特に北京料理にフォーカスして書かれた本なのだが、文化大革命時代の記述が面白い。街の食堂のみならず、現在繁盛しているような北京の有名店も、多くが閉鎖に追い込まれたらしい。運良く閉店を免れた店も、店名を変える事を強制され、質素な革命食を紅衛兵に供していたようだ。民営の食堂がようやく認められたのは改革開放後の84年。生き残った老人や、コックたちにレシピを教わりつつ、中国の「食」は再起動したのである。

現在、北京にはレストランが乱立してシノギを削っている。共働き夫婦も多いため、外食率も高い。でも、これらの味も、習慣も、せいぜいここ20年ちょっとの間に、断絶からよみがえったものに過ぎないということだ。中国は、支配者が変わるたびに、社会をリセットし続けてきた。その度毎に古い文化は新しい文化に吸収・同化されるなり、支配者のものに刷新されてきた。岡倉天心を始めとした日本の文化人たちが胸を張ったように、むしろ、中国文化を断続的に吸収してきた日本の方にこそ、中国文化が地層状に保存されている。だいたい日本語自体がそうだ。日本語の漢字の「音読み」が複数あるのだって、色々な時代の発音が日本語の中に蓄積されて行ったものなのだから。

次にいつ、中国の社会がリセットされるかは分からない。それを僕自身が乗り越えられるかも分からない。でも、その時、中国人たちはいたって平気であろうことは間違いない。

北京の古刹の中の紹興料理店。僕は違和感を感じたけれど、同行した中国人達はそうでもない様子だった。

中国料理の迷宮 (朝日文庫)

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オリンピックより1年。

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現在、北京より移動中。明日のお祭りはよろしくお願い致します。

オリンピックからはや一年。お恥ずかしいことに、先週になって、やっと「鳥の巣」と「水立方」に行った。鳥の巣は50元、水立方は30元の入場料を払えば、見学する事ができる。週末だったのもあるけれど、凄い観光客の数だ。コンサートやスポーツイベントがあるわけでもないのにこの人出。未だかつて、これだけの観光資源になった現代建築があるのだろうか。合理的でない構造、資源の無駄遣い、いろいろ言われた建物だが、見学の入場料だけでモトが取れてしまってるのでないか。ムダなものこそが歴史に残る、というのは本当かもしれない。現代版万里の長城。

せっかくなので、工事中に撮った写真と今回撮った写真を並べてみる。これらの建物の完成前は、現場の中で撮影した写真を載せる事は控えていたけれど、もういいだろう、という勝手な判断です。

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北京ぽいお店

先週末、日本からのお客さんを案内して、「四合院改装系」(と勝手に呼んでいる)鼓楼周辺のバー/レストランを案内した。仕事は、ビジネス街などでする事が多いので、こういったエリアに来る機会は、あっても夜になってしまう。昼間から、四合院の屋根の上や中庭で飲むビールの味はなかなかいい。

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THE DRUM & BELL (在北京鐘楼和鼓楼脚下的珈琲)
カフェバー。かなり前からある。

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Dali Courtyard Restaurant(大里院子)
雲南料理。いつも満杯で要予約。100元のコース料理のみ。夜はガイジンだらけ。

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9月末は天津へ来ませんか。

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Kemukujara"毛人"04 @ Club Nic / Tianjin

09/09/26[Sat.] 21:30-29:30

Venue: "Club Nic", Tianjin, China
天津市和平区睦南道143,画国人創意空間地下
Heping district, munan road No143, Tianjin, China

DJs:
LYDNB
DJ Jonny
GangGang
Daisuke Tofuku
MC Monky

*******************

1ヶ月先の話ですが、天津で行われるイベントに参加させてもらいます。天津は巨大な貿易港ですし、日本からはトヨタ、フランスからはエアバス、などなどが進出してきているので、多くのガイジンが跋扈しています。まあ、僕もそんなガイジンの一人なんですがね。かなりインターナショナルなパーティ、らしい。すっかりオッサンになり、音楽を流すより加齢臭を垂れ流す方が得意になりつつある昨今ですが、僕自身も久しぶりのDJを楽しみにしています。

音はいろいろ。ムンベーとかテックハウス、ファンクもかかります。僕がかけるような音圧の低い音楽は、かき消されてしまいそう。勝てるのはサンバくらいか。

9月末、北方中国はとっても良い季節ですので、これを機会に一度いらっしゃいませんか?お待ちしてます。

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会田誠 / I'm working on huge paintings in Beijing. / 我在北京画大画


(クリックで拡大)

また日本へ戻っています。来週の月曜日には北京へ再び向かいます。

名古屋にて、ある経営者の方と話をしていた時に、建築設計業やデザイン業のつらさ、みたいな話になった。技術の進歩が著しい分野、たとえば生産システムの開発等では、頻繁にシステムをアップデートする必要がある。また、システムに不具合が出た場合は、生産ラインが止まってしまうので、納品後もメンテナンス契約を結ぶことになる。利益としては薄いかもしれないが、そういった仕事のお陰で、経営が安定するんだよな、それにひきかえデザインは仕事を取り続けなきゃならんもんなぁ、つらいよなぁ、そんな話だった。

もちろん、建物の設計にしたってアフターサービスはある。自分の設計した建物の近くに行く機会があれば、立ち寄る機会を作るし、施主から緊急連絡があれば飛んで行く。幸い、僕が設計した建物で深刻なクレームが出た事は無いが、クレームとは行かないまでもココはもうちょっと使いやすくしたい、そんな要望を受ける事は多い。まあ大抵の場合、無償での対応になるので、お金が入ってくる事はない。でも、そういう時は、完全に施主のモノになってしまった場所に入る、貴重な機会にもなる。

去年竣工したMizuma & One Galleryさんには、展覧会のたび、オープニングに呼んで頂いている。作家の方に直接お話を伺うのは非常に楽しい経験だし、なにより、自分が関わった空間が展覧会で活用されているのをみるのは嬉しい。

木村了子さんの 「Born to be Wild / 覚醒吧!野性」展は、通関でトラブっていた作品がようやく届き、完全な状態での展示になった。木村さん御自身は、模型まで作成して会場構成を考えたと仰っていたが、そのかいあって、ムリ/ムダ/ムラのない美しい会場構成になっている。会期は今週末までとの事なので、ぜひ足をお運び下さい。

その次の展覧会は、8月29日から。ミヅマアートギャラリーさんのスター作家の一人、会田誠さんの公開製作が予定されている。3m×7mの巨大な----日本のサラリーマンの死体とOA機器が累々と重なり合って灰色の山を成し、遠目には日本の伝統画の構成になっているーーそんな絵なんだそうだ(上の画像はその部分エスキース)。2年前の個展で発表されたスクール水着姿の少女達の「滝の絵」も、ここで同時に完成させるとの事。日本で同じ事をやったら大騒ぎになって製作どころじゃなくなりそうだ。会田さん御自身は「出来上がるまで帰れない。朝から晩まで淡々と描き続け、盛り上がりなどない。『写経』に近い、根気勝負の世界。」と言っているそうで、完成予定(目標?)は11月末頃との事。レセプションパーティーは完成時に行われる。

草場地のユルく流れる時間の中、どうやってこの絵が完成してゆくのか、時間を見つけて通おうと思っている。

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移転

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北京の露天。徹夜明けの朝食。

事務所を移転した。引っ越し作業は、日本に戻っている間に終えてもらった。新しい事務所は、北京の第2環状の西北あたり。周囲はバリバリの下町で、夕方になると露天が立ち並ぶ。と書くと、いかにも風情がありそうだが、日本での生活に慣れた人は顔をしかめるような衛生環境だ。タクシーの運ちゃんや、上半身裸のおっちゃんたち、いかにもお金のなさそうな若者達に交じって、こういった露天で食事を済ませることもある。気の良さそうなオバちゃんの店は、杭州小籠包(台湾の小籠包と違って、肉まんのようなもの)10個、刀削麺1杯、キュウリの和え物、しめて250円くらい。安全かどうかは別として、味もなかなかだ。まあ、若い中国人スタッフでさえ「不潔だ」といって行きたがらないような所なんで、安くてあたりまえだけど。でも、見栄えの良いレストランだって、厨房で何が行われてるか分かったもんじゃないし、丸見えなぶんだけ安心じゃないか、なんて思っている。

7月から、Pan-Chinaという現地設計院と業務提携する事になり、その方法を模索している。とりあえず事務所を共有しながら、マンパワーの足りない時や、現地ライセンスが必要な際には協力を仰ぐ事にしている。

提携先の社長、王さんとは「VIP碁会所」を始めとして、今まで幾つかの仕事をしているが、非常に信頼できる人物だ。中国の社長にありがちな、弁舌が立ち、大風呂敷を広げるタイプではなく、虚飾のない正直な発言をする。施主やスタッフの信頼も厚く、なあんだ、中国人だって結局こういう人を信頼するんじゃないか、と、感じ入る所があった。

使用する予定の部屋は、手続きでゴチャゴチャしていて、まだ内装工事も行っていない状態だ。今は設計院のスタッフと机を並べて作業しており、「共有」というよりは「間借り」している、という方が正しい。作業環境が完全に整うのは早くても3ヶ月後くらいだろう。その頃に遊びに来て下さい。

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渡邊洋治#4 第5スカイビル

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カルト的な人気を誇る「昭和新宿系」建築家、渡邊洋治。このニッキでも何度か紹介させて頂いている。決して美しいわけでもなく、時代を感じさせる明確なコンセプトがあるわけでもなく、テクニックがあるわけでもない。ただただドロドロとした情念とエネルギーが渦巻いている作品群。鬼才、という呼び名がこれほど似合う人も居ないのではないだろうか。

渡邊氏のドローイングを管理されている佐藤さんから、「第5スカイビルの解体前の写真が見つかった」と、スキャンしたデータを送って頂いた。第5スカイビルは、「軍艦マンション」こと第3スカイビルほど有名な作品ではないが、渡邊氏らしい特異な外観をもつ。傾斜し、頂部に動物の頭のような櫓が飛び出る前面、ウロコのようにバルコニーが連続する背面、建物から跳ね出すボイラーの煙突...。生物的、しかし柔らかさはない。アルマジロのように甲冑をまとった生物を連想する。

写真は24枚ある。入口のシャッターは下り、人気はない。解体前の記録として、フィルムの1ロールを使い切ったものだろう。画角からは、撮ったのは設計者であることが窺える。ひょっとしたら渡邊氏御自身かもしれない。(追記:第五スカイビルの解体時期は今のところ不詳。ビル自体は1971年竣工で渡邊氏は1983年に没しているが、写真を見る限り、建物は20年は経過しているように見受けられる。そのため、残念ながら撮影者が渡邊氏である可能性はとても低い。)

所有者の許可が頂けたので、24枚全てを掲載します。写真の経年変化も「味」だと思って御覧下さい。昭和だねぇ...

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北京も暑い

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昨日の上海での乗り継ぎは、結局2時間以上遅れた…。北京の部屋に着いたのは、結局夜中の2時過ぎ。待ち時間、前の同僚にスカイプで報告したところ、「そんなの何でもない!おれはモスクワ空港で24時間待たされた事があるぞ!」とのこと。共産圏にはタフネスが必要だ。

上海の第2ターミナルを初めて利用した。4年ほど前、現場を見学した事がある。現場担当者は、カラーコンクリートを用いた打放しの苦労を語っていたけれど…なんだか、全部塗装されちゃっているように見えるんだけれど…。

このターミナルも北京に負けじとでかいな。でも、同じ空間がダラダラと続き、退屈過ぎる。

北京もなかなか暑いです。いつもの事ですが、汗だくです。

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浜松、名古屋、上海、やっちゃったー!

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7月1日は、ある会社の会議に出席するために浜松へ。顔を出して、建築設計の専門家として、ちょっと意見を言うくらいの、もっと言えば会議後の残った時間は浜松の観光をするくらいのつもりで行ったが、プロジェクトにガッツリと組み入れられる事に。話を聞いているうちに、ついついその気になってしまうのは自分の長所なのか、短所なのか。昼食にうなぎ、夕食に中華料理。

道中、雑誌WEDGEの、「ビザ解禁で続々来日 中国人セレブからしっかり稼ぐ8ヵ条」を読む。1日から、中国富裕層の個人旅行のビザが解禁になった。そのチャンスを生かすためのコツ、といった記事だ。中国の富裕層は、同じ製品でも「日本で買う」事に意義を感じている。同じ製品が中国にあっても、日本で買いたいらしく、僕も中国市場でも手に入るデジカメを買ってくるように頼まれた事が幾度かある。それくらい、富裕層の「日本のサービス」に対する信頼は厚い。

自分は、零細企業だけれども、中国、日本、両方で仕事を進めようとしている。今年は日本の比重の方が大きいくらいだ。移動は辛いけれども、自分の読み、今までの仕事の方針は間違っていなかったな、などと、ムリヤリ自分に好意的に解釈しながら読む。気休めか。

2日の朝、名古屋へ移動し、建設業者と打ち合わせ。その業者の役員の彼も、昔のクラスメイトである。打ち合わせ後、地元の新聞で、彼がとある団体の会長に就任した事を知る。お祝いの言葉を忘れてしまった。実家に戻って少し休んで、名古屋の中心部へ向かい、中国進出を考えている、という経営者を紹介される。そもそも僕自身が中国での起業は専門外であるし、具体的なスキームはまだ検討中との事だったので、あまり有効な助言はできなかった。「交渉相手に、足下をみられないように時間に余裕をもって」とか、なんだか説教臭い事くらいしか言えない自分が恥ずかしかった。その後、栄のラシックで友人達と食事。お酒も入ってご機嫌になり、ベラベラと喋りまくる。これも、今思い返すと恥ずかしい。

3日は中部空港へ…と思ったら、やってしまった。中国の携帯を東京に忘れて来てしまった。中国/東京間を移動する時には、パスポート、チケット、日本円と中国元のサイフ2つ、両方の部屋の鍵は、しっかりとチェックするが、携帯電話が甘かった。東京に、北京のHさんがたまたま滞在中で、週末に北京に持ち帰って来てくれるとの事で事なきを得そうだ。銀行振込の作業等を済ませて上海へ。そして、今、北京への乗り換えをするところ。

移動しまくりの生活ってカッコいい!なんて思っていたけれど、移動中の作業が出来ないぶん、能率が落ちて大変だ。さて、明日からはルーティンに戻ります。日記調のニッキはここまで。かも。

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名古屋、東京

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28日は朝から住宅の打ち合わせのために名古屋へ。施主は高校時代の同級生だ。僕としては施主と設計者という立場の違いに筋を通したいという思いもあり、できるだけ敬語で喋っているが、たまに碎けた話し方になる。この珍妙な会話は竣工まで続く事になるだろう。今回の打ち合わせで、基本的なプランはほぼ固まった。僕は、設計に関して判断が早い方だと思っていたけれど、今回は、どんだけスケッチしても、模型を作っても、確信が持てず、悩みに悩んだ。一つには、今まで以上に施主が「男前」だった事があるだろう。いや、これは、ルックスの事ではなくて、徹底して「東福がそれが良いと思うならそれで進めてくれ」という接し方で通してくれているのだ。

そもそも、建築やインテリア設計は「プロでなくてもなんとかできそうな」所がある。実際、家具や材料等に興味がある人であれば、ちょっとした建物やインテリア程度ならなんとかなってしまうし、現にかなりの量がそうして出来上がっている。我々が関わった場合の結果とは格段の差が出るはず!と声高に主張しても、一品生産品のため比較する機会もない。結果、僕たちに対するプロとしての評価は、非常に心許ないものになる。ましてや、住宅は人生最大の買い物であるので、色々と口を出したくなるのが人情と言うものだ。

そんな胆力のある施主に任されたら、ふと、手が止まってしまった。今まで、自分が如何に、施主要望とかコストとか、いろいろ理由をつけて受動的に設計していたかを思い知らされた。今回悩んだ事は、次に生かせる。最近は特に、我々はそういう施主に恵まれてきており、育ててもらっていると感じている。設計は経験に応じて早くなるどころか、どんどん時間ががかるようになって行っているのが問題だが。

打ち合わせ後、古い友人と会い、彼の結婚相手を紹介され、一緒に食事。名古屋泊。29日は昼過ぎに名古屋で広告業をしている先輩と会い帰郷。東京にて2件短い打ち合わせ。東京に来ている北京の友人と合流、夜は事務所に集まってスキヤキ。久しぶりに音楽関係の友人と会う。30日は昼頃から六本木界隈を案内。少し仮眠を取って、メールのリスポンス、事務所HPの更新、その他作業。

明日は浜松、明後日は再び名古屋の予定。

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上野。

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昨日の飛行機は、天候不良で結局2時間近く遅れて到着。飛行機は揺れに揺れた。ヒューンヒューンとジェットコースターのように落っこちてゆく感じで、アテンダントの人達が飛ばされないか心配になるくらいだった。荷物を受け取り、走って成田空港発の京成線最終に滑り込む。麻布十番に着いたころには日付が変わっていた。

今日の午後は上野へ。ここへくるたび、上野発の夜行列車〜♪のフレーズが頭をよぎる。なんだか物悲しい感じがするんだよな。

上野の森美術館で行われている「ネオテニー」展へ。この展覧会は、日本の現代アートのコレクターの精神科医、高橋先生のコレクションから、約80点を展示したもの。へえ、これもコレクションなのか、と驚く程、メディアで紹介されてきたものばかり。着いた時には、鴻池朋子さんのアーティストトークの最中だった。

ミヅマアートギャラリーの所属作家の作品を、ギャラリーオーナーの三潴さん自身が解説するとの事で、作品の裏話等を輪に混じって聴く。作家を発見した時のエピソードや、会田誠さんの「紐育空爆之図」を「伴大納言絵巻」や狩野永徳の「洛中洛外図屏風」、俵屋宗達などを引き合いに出して語る少々アカデミックな話もあった。高騰する現代アートと軽視されがちな日本の古美術、その格差に対する疑問などにも及んだ一連の話は、大変示唆に富んでいて面白かった。展覧会は大変盛況だった。会期はあと2週間強。密度の高い展覧会なので時間のある方は是非。

喫茶店にて、三潴さんと軽く北京関係の打ち合わせをした後、久しぶりの上野をうろつく。活気あるのになぜか物悲しい、その理由を探す。東京駅にしたって、北京駅にしたって、大都市を去って行ってしまうという物悲しさが漂っているけれど、上野はそれが街全体を包み込んでいる。北国へ帰るためのターミナル、という特性故か、なんか演歌なんだよなぁ。ウラジオストック駅とか、ハルピン駅も同じ空気が漂っているのだろうか、などと考える。

ヨドバシカメラに寄り、オリンパスのペン、デジタル版のサンプルを触る。良い質感だけれど、やっぱ、昔のペンFの、微妙な流線型のボディ方がもっとカッコいいよな。日本のプロダクト・デザインの珠玉の名作で、デジタル一辺倒になってしまった今でも欲しいカメラだ。

アメ横を通り抜けて上野御徒町から戻る。以降、メールの返事、明日の名古屋での打ち合わせの準備など。

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ディスプレイ

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酒の席での話がきっかけになって、北京と天津で店舗を抱えるガンガンデリカテッセンさんのパンの陳列棚を設計する事になった。オーナーの若いお二人については、東京の古い友人づてに話は聞いていたが、1年程前にたまたま直接お会いする機会があり、それ以来仲良くさせて頂いている。

何か面白い事をやりたい、今後の店舗展開も視野に入れて、試しに実験的にやってもらってもいい、との事で毎週のように打ち合わせ(という名の飲み会、またはレストランやベーカリー巡り)をしながら楽しく作業をした。だが、中国の場合、製作が設計通りに行く事はまれで、家具であれば一度はモックアップを作った方がいいのだが、今回は時間や予算の制限もあり、構造や照度計算をした上での一発勝負になった。

設置後、施主の一番の希望であった容量の拡大は達成され、またお店での評判も悪くないようだが(特にガイジンさんはヴィヴィッドな反応をしてくれるらしい)、僕的には、設計通りに行かなかった点がいくつかあり、少々心残りだ。中国の材料や制作方法に対するローカライズに、もう少し注力すべきだったようだ。ガンガンさんが出店数を等比級数的に—それこそガンガン—伸ばしてゆく頃までには、課題を解決して、満足のいく設計にしなければ、と思っている。

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Mizuma & One Galleryでの仮組みの風景。

棚の詳しい仕組みについては、近いうちに事務所のページの方に書きます。

この棚は、ガンガンデリカテッセンの北京店(朝暘区門外6号新城国際12号楼21-22「PEKOTAN」内)に設置しています。お二人が自信を持って提供する美味しいパンをご購入ついでに、是非御覧下さい。

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茶室研究

堀口捨巳という建築家/研究者が書いた「茶室研究」という本がある。学生の頃、大学の図書館で見つけ、よーし読んでやるぜと開いた所、旧仮名漢字。送り仮名は全部カタカナでいきなり挫折した思い出がある。

建築家は、ある程度年をとると、茶会に出没したりして、お金持ちの人脈作りに励むんだよ、とどこかで聞いた事がある。茶会に着て行く服すらない僕にとっては、そういった所に出入りするようになるのは夢のまた夢だけれど、日本建築の様式美の極致!と言われては、そりゃ興味もわく。

最近、ある仕事で、施主と打ち合わせを重ねるうちに、その施設の一部屋を「茶室に見立てる」事になった。見立てるだけで、実際の用途は違うので、そこで茶会が開かれる可能性はほぼないけれど、「無理すればできないことはない」程度にはしたいと思った。建築家が設計した現代的な茶室は数あるけれど、茶人たちには概ね評判が悪いらしい。そこに新たなタイポロジーを加える事になるのは避けられないだろうが、せめて、茶道を知る人に鼻で笑われないようにはしたい。そこで、茶室、茶道、茶道具に関する本を幾つか買い込んで目を通した。

茶室は日本の建築美の神髄、なんて思われている節があるが、大陸文化の影響を抜きには語れない。日本文化の本を読みながら、結局は中国に戻ってきてしまうという経験は、これで何度目だろうか。千利休の天才によって、単なる「大陸への憧れ」の発露だったものが、「日本文化の神髄」へと転換していった。そんな歴史が垣間見える。


“しくみ”で解く茶室 (チルチンびと建築叢書)

茶室設計の入門書。ちょっと専門家向きだが、読みやすい。怪しげな本が沢山ある茶室の本の中では、一番まともに感じた。本屋に一緒に行った人は、たまたまこの本を読んでらして、「面白い本ではないですよ」と言っていたけれど…


茶室の解明―平面データ集成

1159件の茶室を分析して統計化、そのうち500件は平面図を載せているという凄い本。ライフワークの集大成。茶室の設計は、決まり事が多いようでいて、一方でルーズなところもある。設計者としてはどこまで自由にやって良いかが分かりにくい。本来は、主の「粋」を表現する建物だったのだから、自由であってしかるべきだが、自分がやろうとしているプランが、どのくらいセオリーから外れているかを推し量ることができる。


…ところで、その「茶室に見立てる」部屋の件。色々本を読んで設計を始め、模型を作ってみたら、そのまんま茶室になってしまった。うむー。だから茶室じゃないんだってば!と自分に言い聞かせながら、他の方法を模索している。

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名古屋へ

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大変ご無沙汰しました。

忙しかった、といっても、全く日記を書けない程忙しかった、というほどでもない。ちょっとした事で書かない日が続いて、億劫になってしまった。ブログというものは面白いもので、月に1回とか2回とか、時たま書いていたりすると「ああ、この人このごろは仕事がなくてヒマなんだな」なんて思われてしまうが、毎日こまめに更新しているような人は「この人は忙しい合間を縫って凄い!」と思われる。人間の特性なのか、日本人の特性なのかは知らないが、人々は、どうやら、ヒマなのは恥で、どちらかというと「忙しい人」と思われたいようだ。かくいう僕も例外でなく、どうせ書くなら「この人は凄い!」と思われたい。というわけで、毎日とはいかないまでも、できるだけ更新してゆきたいと思っている。

休止期間には、北京、東京、名古屋をヒョコヒョコと移動していた。友人の結婚式に、神戸にも行ったか。

写真は、名古屋界隈では特に評判の良い、名古屋駅前のモード学園ビル「スパイラルタワー」。時間が空いた時に、荷物をゴロゴロと引きずって行ってみた。超高層ビルは、構造や設備の制限が大きくなるため、北京のCCTVビルのように大きな政治的意味や資金力がない限りは、形のバリエーションは限られている。

最近流行っているのは、「ねじった」高層ビルで、これは、外装やコアの問題がシステマティックに解けさえすれば、技術的にはそれほど難しくないようで、最近の高層ビルのプロジェクトではよく見かける。この名古屋のビルは、その中でも非常に良くできていて、大きすぎず小さすぎず、形もよく、また程よくアルゴリズミックな感じ…コンピューターを使ってるぞ!的な未来感、とでもいうのかな…もある。

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世界へ

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入口はディズニーランド風。色んな建築様式のミクスチャー。

ひょんな事から、北京の「世界公園」ツアーに誘われて行ってきた。ジャ・ジャンクー監督の映画「世界」の舞台になったテーマパークだ。この公園で働く若者達の青春を、淡々と、しかし情味あふれる映像で描く映画で、この公園も機会を見つけて行ってみたいなぁ、と思っていた。

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映画にも出てくる桂離宮。劣化コピーだが、1分の1。あやしげなキモノで撮影することもできる。そこそこ人気もあって。日本は、公園の中でも扱いが大きい。

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白く見えるのはタージマハール。

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アンコールワットの前で記念撮影する観光客。

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同行した人が、遊びにくる、っていうよりは写真を撮りに来てる、って感じだよね、といっていたが、まさにそのとおりで、全員が全員、そこら中で写真を撮りまくっている。何度か書いているが、中国の人達は写真が本当に好きだ。昔の日本人も、海外では首からカメラをぶら下げた姿で、風刺画に登場していたのを思い出す。

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オセアニア。イースター島とシドニーオペラハウスが並んでいる。モアイ達は少々角張った顔をしている気が。スケールをもうちょっと揃えて欲しいよなぁ。

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万里の長城。ホンモノが近くにあるだけに、再現度は高い。ていうか、車で2時間程度で行けるのに、ここにコピーする必要があるのかな。あるんだろうなぁ。

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結婚記念写真を撮るカップルが3−4組居た。レフ板、メイクさん、カメラマンを引き連れて、かなり本格的。写真はフォトショップなどで加工され、製本される。これは台湾発のカルチャーらしい。中国の若者の話を聞いていると、婚前に行われる写真の撮影旅行の方が、新婚旅行よりも重視されているようだ。

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このカップルは親戚も引き連れていた。お嫁さんは、顔を見る限り、たぶん新疆ウイグルとかそっちの方の人で、チープなイミテーションの世界で撮るのが勿体ないくらいの美女だった。あの旦那はないよねぇ、お金持ちなのかねぇ、とか見る方は好き勝手言っていた。

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お約束。松原弘典さんの「北京論」によると、映画の中のエッフェル塔のシーンは深圳の「世界の窓」で撮られているらしい。向うはエレベーター付きの立派なものだが、こちらは梯子や急な階段で登って行く、少々しょぼいもの。上に登るのに別途15元が必要。200円以上ですよ。上の眺望なんてたかが知れている。日本の金銭感覚からいっても高い。

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マンハッタンは、一応島になっていた。ウォルドーフ・アストリア、ロックフェラー・センター、クライスラー・ビル、エンパイア・ステート・ビルに加え、ワールドトレードセンターもある。ガラス部分は真っ青に塗られている。WTCって白いイメージがあるんだけど…まあ、実物を見た事無い人が作っているものだから仕方がない。

映画「世界」のファンの人は、行ってみると良いと思う。あの映画の中の若者達が抱えている、閉塞感とか、せつなさとかは、このチープなイミテーションの世界でしか表現できない。昔の日本にも、こんなのあったよなぁ、と、感慨にふけったり、このユルい世界にツッコミを入れつつ楽しむのもあるかもしれない。でも、入場料65元は少々高いかなぁ。

映画と言えば、最近、「スラムドッグ$ミリオネア」を観た。少々長めだが、良い時間を過ごしたなぁ、と思える映画。おすすめです。

世界 [DVD]

北京論―10の都市文化案内

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良い時代になった。のか?

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あまりにもパッとしない写真だったので、パッとしたセレブに持って頂きました。作ったのはここ

以前、米国の某大学に留学中のS君が我々の東京事務所に来た時に、「わあ、プラッターがちゃんとあるんですねぇ」と感心していた。え?プラッター?スプラッター?「いや、あそこにあるじゃないですか、プラッター。」と彼が指差した先には、プロッター(正確には大型プリンター)があった。彼は米国生活が長いので、plotterが日本語でどう呼ばれているのか、知らなかっただけみたいだったが、「なぁに西洋風吹かせてんだ、そのなんだ、キミはアメリカの事を『ステイツ』というクチか?感じ悪いなぁ。じゃあ日本はプリフェクチャーズで、中国はプロヴィンセズだ!まいったか!」とイジリ倒して笑っていた。

一昔前は、プロッターといえば、大きな設計事務所しか持てない、高級機材の代表格だったが、今や、百歩譲っても決して裕福とは言えない弊事務所にも入っている。こんな素晴らしいものが20万円しないなんて。技術革新って凄いよなぁ。価格ドットコムや、ヨドバシを見ても、何もかも本当に安いよなぁ、と感心してばかりの自分は、オッサン丸出しだ。

最近、事務所でA3複合機を買うことになった。小規模オフィス向けの人気製品で、かつての同僚がしきりと薦めていたものだ。インクジェットではあるが、A3ファックス、スキャン、コピー、なんでも出来て、しかも無線LANにも繋がると言うスグレものなのに、日本では4万円そこそこ。コピー機って、普通のオフィスで一番高いものじゃなかったっけ?良い時代になったなぁ。中国人スタッフ達の冷ややかな視線を尻目に、凄いよ、コピーもキレイだよ、これ何でも出来るよと、キャッキャッいいながら弄っていた。

もうちょっと経てば、数万円で光造形の機械やら立体プリンターが買える時代が来ちゃうんだろうか。ありえるよなぁ、既に、ちょっと大きな事務所では、模型を作るのにヒートカッターを使わず、CAMに材料を切り出させるって言うもんなぁ。

ちょうどその頃、SH事務所のHさんが遊びに来たので、その話になった。いやーほんとにねぇ、こういうモノがあるから、次々独立して、小さいデザイン事務所が乱立しちゃうんだよねと。

…ほんとに、良い時代になったのか?

昔は外注せざるを得なかったものも、今は自分でできる。便利になってるはずなのに、仕事はどんどん増えている。特に、なんでも自分でやらないと気が済まない性格の人間は深刻だ。設計に割く時間がどんどん少なくなっている気がする。

「大きい絵」を描き続けた昭和のスター達。アーティストでも、作曲家でも、建築家でも、デザイナーでもなんでもいいが、彼らは、細かな作業を信頼できるプロフェッショナルに丸投げすることで、壮大な構想を練る時間を確保していたのかもしれない。思えば、かつては一部のプロのものだった機材が、次第に安くなり始めた頃から、スターが減り、アイドル級の人達が乱立するようになった気がする。気のせいだろうか。


ブラザー工業 A3インクジェットFAX複合機 JUSTIO MFC-6490CN

これは日本向け製品。中国向けは6万円くらいする。

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表紙に載るっていうと、

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エスクァイアのロゴってカッコいい。日本語版はもうすぐ休刊。表紙を飾る事を夢想する事すら不可能になってしまいました。

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数少ないリクエストにお応えして、自分のポートレイトのものも。苦笑。

尾方さんのブログで知った、Photofuniaで作りました。(尾方さん、最近は、中国からアクセスできるみたいです!かわりにYoutubeが見れなくなりましたが…)

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うれしはずかし

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とは、こういう事をいうのかな。

事務所に行くと、郵便物が幾つか届いていた。僕の場合、郵便物というやつは請求書だとか広告チラシとか、もらっても嬉しくないモノがほとんどなんだけれども、その中に中国の雑誌社からの大きめの封筒が混じっていた。ああ、掲載誌ね、どんな誌面なのかな、と封筒を開けたら、見覚えのある写真が目に飛び込んできた。うわ、表紙になってるよ。全然聞いてなかったのでビックリした。

だってこれ、コア専門誌でしょ、月刊「将棋世界」とか、月刊「蛋白質核酸酵素」みたいなもんでしょ、月刊「住職」とか「マンスリー床」みたいなもんじゃない!しかも中国だしさ!とか思いながらも、やっぱり嬉しい自分が居た。

誌面にはインタビューと顔写真もある。これらは、僕にとって非常に恥ずかしい内容に仕上がっている。もちろん、記者の女性は、僕をもり立てようとやってくれたんだろうけれど、奥ゆかしい日本人としてはなんとも言い難い…とか思いながら、やっぱり嬉しかったりして!!

建設中の現場の仮囲いに、設計者の顔写真付きの広告がデカデカと貼られるなんていう例もあるくらい、中国の人は顔写真が好きだ。雑誌にちょっとしたコメントを寄せる際にも、ポートレイトは欠かせない。それは知っていたが、こんなにデカデカと載ってしまうとは…中国ってコワい。もし、撮影中にふざけて撮った「小悪魔ageha」ポーズの写真が使われていたら、と思うとゾッとする。

何度か会った事のあるインタビューアー、また録音無しと言うことで、調子に乗って喋りすぎた。「へぇ、休日は何をしてるの?」「オタクだからなぁ。最近はスピーカーを作ってるよ、スピーカーって、箱が重要なんだよ、というのはさあ…(中略)…というわけで案外空間的で面白いんだよ、わっはっは」なんて会話が記事になっちゃうなんて…他に仕事のアピールをたくさんしたのに…

久しぶりに子供のようにはしゃいでしまった。仕事の関係者や、写真を撮ってくれたジュディにも連絡を入れたところ、みんな嬉しそうだった。この数日間、なんとなく凹み気味だったが、良い週末を迎えられそうだ。

雑誌掲載についての詳しい情報はこちら。東京にも置いておくので事務所にお越しの際は笑ってやって下さい。

写真は、Mizuma & One Galleryで開催中の「天欲」展の様子。今週末までだそうです。

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動かないから高い。

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東京近辺で、年収7−800万円のサラリーマンの人達が購入するマンションは、坪当たり200−250万円くらいがボリュームゾーンではないか。そのうち、マンション自体の建設費用は、70−80万円/坪といった所だと思う。

以前の同僚に「車は安い」という持論を唱えつつ、車をバンバン買い替えている人が居た。詳しくは知らないが、トヨタのカローラは150万円くらいだろう。これには、リクライニングするチェアや、冷暖房、ちょっとした鏡がついていて、窓は曲面強化ガラス、外装はプレス成形のスチールに最高レベルの塗装である。おまけにエンジンというスグレものの力で自走してしまったりする。設計にあたっては、最高レベルの技術と試行錯誤が積み重ねられている。

同じ150万円でどんな建物が建つと言うのか、と彼はいう。確かに、6畳のガランドウの部屋しか出来ない。電灯や空調くらいは付けれるかもしれないが、給排水やトイレ・バスは無理そうだ。モーターの力で窓が開くギミックなんて夢物語だ。ましてや、動くなんて。

全くだ。本当に建物って割高だな。トレーラーハウスに住む人の気持ちがわかる。

逆に言うと、建物は動かないからこそ高い、とも言える。材料も、作り手も、敷地までやって来なければならない。敷地に対応する一品生産品だから、値段の基準がよく分からない。よく分からないから、値段の仕組みはブラックボックス化する。このブラックボックスに光をあてて、施主に説明しつつ、コストのバランスを取るのも、僕らの大切な仕事だ。

中国のマンションの建設費は、平米あたり3000元強。坪/日本円に直すと、だいたい18万円/坪くらい。内装、設備が無い状態で引き渡されるので、内装をするのに7万円はかかるだろう。合わせて25万円、日本の約1/3だ。対して、車は高い。税金のおかげで、カローラも350万くらいするらしい。

中国では「車は安い」説は成立しなさそうだ。

写真は物件の照明テストの様子。

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カッコいいじゃないか。

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7年前に撮った写真を引っ張りだしてみた。この頃は、都内を毎晩のようにブンブン走り回っていた。今思えば、一番、垢抜けた生活をしていた時期かもしれないな。

友人のブログで、ヤマハのバイク、VMAXの発表会の記事があった。凄くカッコいい!!

デザインは時代の鏡でもあるので、意識的/無意識的に、多少なりとも時代の空気感を映し込もうとする。でも、作業をしながら、「これは今っぽいよな」なんて、しょうもない事に満足している自分に、時折嫌気がさす事もある。ネットでも雑誌でも、適度にウネる白いピカピカの内装や、薄くて軽くて少しばかり素材感のある家具が、「グッドデザイン!」として持ち上げられている。そういう状態を食傷気味に感じている人は、僕だけでないはずだ。

そこに来た、新VMAXのデザインの「空気読めてない感」の凄さといったらない。開発に24年かけているんだそうだ。時代の空気なんて読めるはずがない。むせ返るほどのアメリカンなマチズモと、モノ作りに対する日本的な情念が共存している。大型バイクはやっぱBMWがカッコいいよね、なんて思っていたけれど、ヤマハが大外から抜き去って行ってしまった。GKデザインって、底力あるな…久しぶりに衝撃を受けた。

以前、ヤマハ発動機さんから、デザインについてのヒアリングを受けた事がある。デザイン画を見て、他のデザイナーさんと一緒に、忌憚なく意見を言うというもの。会社の人は、自社製品のデザインに自信なさげであったが、もう、全然、このオンリーワン路線で突っ走っていって欲しいと思う。

「その細部にヤマハが宿る」ってコピーは、「神は細部に宿る」からひいたんだろうが、そうすると「ヤマハ=神」って事になっちゃうな。神をも恐れぬヤマハ発動機。スペシャルサイトも気合いが入りまくっている(「新三国無双みたい」とは竹森君の弁)。

これは欲しい。でも税込231万円。うむー。10年後に向けて貯金を始めよう!限定解除も取らなきゃ。でも、その頃、ガソリン車って残ってるのかな…?

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前門23号

お客さんから、「前門23号を見て、今の仕事の参考として欲しい」との要望があり、現場の責任者とともに向かう。前門というのは、天安門広場の南側のエリア。オリンピックに合わせて、再開発が施され、清朝の町並みが復元された。

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前のボスは、とある対談で、中国で行われている開発の現状を、マンハッタン、ロサンジェルス、ディズニーランドの頭文字を取って、MALAD、マラードと評していた。天安門事件以降、大量の中国人達がに留学した。彼らが国に帰り、現在、都市計画の決定権のあるポストに就いているのだが、彼らの中には都市計画や建築を専攻した人間は少ない。彼らの好みは、いきおい、彼らが留学先で衝撃を受けたアメリカニズムぷんぷんの風景に大きく影響される事になる。その文脈で言うと、北京のド中心に突如現れたこの風景は、MALADここに極まれり、といったところだ。

開発の善悪はさておくとして、観光客で非常に賑わっていた。お店のテナントは、まだ殆ど入っていないけれど。

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「前門大街23号」についた。でも、お店入ってないんですけれど…。話に聞いていたようなエクスクルージヴなレストランのイメージは微塵もないし。

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電話で確認すると、「前門23号」は、現在の住所ではないそうで…。慌てて本当の「前門23号」に向かう。天安門広場から東へちょっと入った場所。人民共和国成立前の、大使館/領事館エリアで、洋館が建ち並んでいる。ネットで調べてみると、上海の「外灘3号」をハンデル・リー氏が、旧アメリカ領事館を高級レストランやブティックエリアへとリノベーションしたという。高級日本料理やフレンチのレストランをはじめ、ほぼ全ての腕時計好きが最終目標にしている、パテック・フィリップのブティックも入っている。予め調べておけって。

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案内してくれたスタッフの話によると、建物の設計者は日本人だという。確かに、基本的な考え方やディテールの処理の仕方に、日本のプロの仕事を感じた。力の入れどころと抜きどころがプロっぽいと言うか。ムリ・ムダ・ムラがないというかな。自分はこうは作らないだろうけれど、良い仕事だと感じた。

賞賛していたら、スタッフが「でもあの部分の○○の処理の仕方は汚いんじゃない?」と言う。おお!さすが長い期間、教え続けてきただけの事はある!と嬉しくなる。スケッチを描きながら、汚くなってしまう理由を解説。この部分はおそらく、設計者も逡巡しただろうね、コンセプトを重視するとこうなるけれど、きっと中国の○○の施工の悪さを知らなかったんだろうね…、僕だったら、多少コンセプトを犠牲にしてこうしちゃうかもなぁ…などなど。日本のクオリティーの高い実施設計を思い出す良い機会になった。

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中のスペイン料理店で食事。ランチは日本で2500円くらい。盛りつけのプレゼンテーションも美しく、さっぱりとしたお味で、美味しゅうございました…と思ったが、同行した中国人達の反応はいまいちだった。世界中、どこに旅行しても現地の中華料理を食べる人達だからなぁ。パンチが少な過ぎるのかもしれない。

「日本人は外国料理を食べ慣れてる」という話になる。外国行って、マズいに決まってる現地の日本料理をわざわざ食べない、現地料理が一番美味しいに決まってるもの、日本人はそう考えるんですよ、と説明する。

ところで、どう?この写真!ブログっぽいでしょう!

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春節後の雪

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春節直後の北京は、すっかり暖かくなって「春が来たな!やっぱ、旧暦って合ってるな!」なんて古人の知恵に感動していたのだが、先週はグイッと冷え込み、雪がチラつく日々だった。雪が降る日、っていうのは実際はそんなに寒いわけではないのだが、何しろ風が強かった。引退しかけたダウンジャケットをもう一度引っ張りだし、帽子と手袋の完全装備で通勤している。マフラーも欲しいくらいだ。

中国の建設設計界では、「春節を過ぎると仕事が来る」というレジェンドがある。他の設計事務所も、ここへ来てがぜん勢いづいているらしい。ウチは、春節前は比較的忙しかったが、新年になって新しい仕事の打診は今のところない。代わりに、友人の中国人建築家から「今やっている美術館の設計について意見が欲しい。メシ奢るから」という打診があった。まったく、全然代わりになってない。仕事よこせっての!とブツブツ言いながら向かった。

案はなかなか良く、中国人設計者達が着実に力を付けて来ているのを感じた。去年までの中国の建築家達は、カネを稼ぐ事に忙しすぎて、クオリティーを上げる事に考えが及ばない感じだったが、彼らも自省する時期に来たという事かもしれない。そうなると、中国に居る外国人設計者の淘汰が始まるのも時間の問題になる。

北京には、オリンピック前までの期間に、外国人設計者による作品が量産された。一見すると、華やかな建築達ではあるが、よくよく考えると単なる「一発ネタ」的な作品が殆どで、建築として評価できるものは殆ど無いに等しい。残念っ!

クライアントとなる中国人の目も肥えて来ている。遅かれ早かれ、大方の「ガイジン」の化けの皮は剥がれてしまうだろう。最近、北京で活躍する台湾人の美術ジャーナリストの方と話す席があり、北京に居る「ガイジン」の話になったのだが、普段は勝ち気な彼女が「私は、本国では一流ではないのよ。本国に戻ったら翻訳の仕事しかない」と言っているのを聞いてはっと思った。中国にいるガイジン達は、悪く言えば、本国で十分に食えない、ということだ。我々が、お世辞にも一流とは言えない事に、中国人達もとうに気づいているだろう。

我々が、と書いたが、もちろん僕だって例外ではない。僕自身は、仕事さえ選ばなければ、どこだって食って行ける、という妙な自信があるけれど、今のような面白い仕事からは縁通くなってしまうだろう。

僕が、仕事を中国で始める、と言ったとき、ある人は「中国は、オリンピックまでは外国のデザインを導入するだろうけれど、その後は中国人で全部やっちゃうんじゃないかな」と言っていた。僕らが一流でないことに無自覚であり続けたなら、その「大政奉還」を早めてしまう事になる。

今年の中国の仕事状況は暗雲たれ込めているが、そのかわり、日本から仕事の打診を幾つか頂いている。このミゾウユウの不景気の中、北京に居る事が多い僕に、わざわざ声をかけてもらえるのは大変有り難い。日本的な作り込みの世界を通して、カンをもう一度取り戻すいい機会になりそうだ。

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パリスは、スマイルとポーズの事だけ考えている

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んだそうです。レッド・カーペットの上では。

とある中国の業界誌の編集の人から、創刊5周年記念の特別号のポートレート撮影があるからと誘われた。なんでも、「この5年間に中国○○業界の発展に貢献した○○人!」という記事なんだそうだ。僕は、その業界の製品には、どちらかと言えばお世話になっている方だけれども、発展に寄与したというほどでもない。きっと、誌面上、ちょっとはガイジンが居ないとカッコつかないのかな、と思った。「うむー、一人くらいガイジンが居た方が良いわね、彼、顔はまんま中国人なのが残念だけど、来そうだから呼んでおこうかしら」おおかたそんな所だろう。

断るべきか逡巡したが、そういえば、キチンとポートレイトを撮影した事がない事を思い出した。彼女には大変お世話になっているし、「プロのメーキャップで、プロのカメラマンが撮るのよ!後でデータをあげるわよ!全部タダなのよ!」と強く薦められた事もあり、一生に一度くらいはフラッシュを浴びるのも悪くないかなと、OKした。

スーツ、カジュアル、夏物、3種類くらいを持ってきてね!という事で、仕事の合間を縫って、服をカバンに詰め込んで出かけた。着いて、メーキャップ。何をやっているかはよく分からないが、このデカく、平たい顔に立体感を出すのは並大抵の事ではないだろうな、なんて考えながら目をつぶる。

続いて撮影。撮られるのに慣れてないせいか、カメラマンやスタッフからバンバン指示が飛ぶ。背筋を伸ばして!(僕は姿勢が悪い)、ネクタイ直して!、顔が傾いてる!、もっと笑って!、笑い過ぎ!、目をもっと大きく開けて!(僕は目が小さい)…

だいたい、笑う時って目を細めるもんじゃないの?目を開けながら微笑むのって難しい。頑張って顔を作ると、「笑顔が自然でない!」と怒られるし。カメラの前で顔を作り続けるセレブって本当に凄いと思った。途中で何度もメゲそうになりながら、なんとか終了。ついでにと、普通号の方に掲載予定の物件に関するインタビューを受け、急ぎ足で進行中の工事現場へ向かった。

中国人、特に女性は、カメラに向かってポーズを取る事が得意だ。次に撮影を受けていた女性(同業者らしい)も、もともと美人なのもあるけれど、メーク、服装、表情、ポーズ、全てがキマッていた。すごーい!キュート!とカメラを向けると、僕にも視線を送ってくれた。堂々としたものだ。

でも、撮った写真はブレブレでした。ごめんなさい。そして、こんなのが同じ誌面に載ってごめんなさい。

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TVCC:とりあえずおしまいにします。

例の火災以降、アクセスが増えている。技術的な見解(というか推測)については、前回のエントリのコメント欄に書いているので、そちらを御参照下さい。

別用で実家に電話をかけたところ、当然のようにこの火災の話になり「どうするの、あんな煙突みたいな吹抜けを作って!」となぜか怒られた。日本のテレビ等でも、僕がここで書いた事と同様の推測がされているらしい。今後、中国に限らず、超高層の吹き抜けには厳しい規制がかかる事だろう。仕方がない事ではあるが、日本の耐震偽装事件の後のように、一部の特殊なケースに合わせすぎて建築業界全体が停滞する事態は避けたいものだ。海外には客室が大きな吹抜けに面するホテルが数多くある。ガラス張りのエレベーターでそこを登っていく高揚感が全くなくなってしまうのは寂しい。

亡くなった消防隊員の方にはお悔やみ申し上げるが、多数の人名が奪われる大惨事にならなくて本当に良かった。でも、仮にオープン後で人が居たならば、初期消火で消し止められ、これほど大きな経済損失にはならなかったかもしれない。また、シャッターが作動して、煙突が形成されるのが避けられたかもしれない。不謹慎は承知の上だが、現段階では、設計や施工のミスというよりも、色々とアンラッキーが重なって起こり、拡大した火事だと思っている。

くだらない関連ニュースとしては、
こんなコラや、こんなTシャツが出て来ているとスタッフが教えてくれた。
・「大火災のビルのデザイナーはマギー・チャンの恋人のドイツ人著名建築家!」みたいな記事まで出てきた。いろいろと突っ込みどころ満載だが、くだらなすぎて突っ込む気にもならない。

ある友人は、9.11とアメリカの世紀の終焉になぞらえて、「僕らのスター、レム・クールハースの時代の終焉」と日記に書きつけていた。確かに、建築を勉強した同じ世代の人間にとっては、それくらいのインパクトがある事件だ。では、次は、一体どこへ向かうのか。いろいろ考えさせられる。

この火災関連のニッキは、少なくとも原因とメカニズムがハッキリするまでお休みとします。次回からは愉快な?ニッキに戻ります。

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TVCC:一応写真を

近くで打ち合わせがあったので、車で横を通ってもらって写真を撮ってきた。ニュースで既に見た方も多いだろうが、一応アップしておく。燃えた、というよりも、焼けただれている、という表現がピッタリだ。

周囲は交通規制が敷かれているが、この大きさは、さすがの中国政府も隠しようがない。

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案の定、上部のガラスが割れ、そこから炎が吹き出した跡がある。内部にもの凄い上昇気流が発生したのだろう。窓の抜けている部分は、スカイレストラン/バーのあるフロアだと思われる。火の通り道になりやすい部分があったのだろう。中央テレビのニュースは、躯体に影響はない、としているが…。

この建物は、建物自体は比較的熱に強い鉄筋コンクリート造になっているので、メインの構造の損傷は軽い可能性はある。だが、外壁のパキパキと折れ曲がっている部分は鉄骨を併用しているので、イってしまってるかもしれない。例えば、外装材の内部の断熱材が燃えているだけで、鉄骨は大丈夫、というのなら修繕は可能なので、その程度の損傷である事を願うばかりだ。たとえそうだったとしても、外装の葺き替えはかなりのコストがかかるんだけれども、建て直すよりははるかにマシだ。

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CCTVでなくTVCCのほうです。

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これは建設中の写真。誤解なきよう。

昨晩は、花火が解禁されている最終日。市民達は買い貯めた花火を使い切るべく、町中でばんばん打ち上げていた。帰宅途中は、爆竹をかわしながら歩いて帰るほどの賑わいようで、外を出歩いている人も多かった。注意しないと服に穴があいてしまいそうな勢いで、そこかしこからバンバンと音がする。戦場ってこんな感じなのかな、などと思っていた。

夜中、寝る準備をしているころ、友人達から立て続けに電話が。建設中のTVCCが凄い勢いで燃えているという。部屋の隅で埃をかぶっていたTVを引っ張りだして慌てて繋いでチェックしてみたがどのチャンネルも実況されていない(香港系のフェニックステレビでは実況していたそうだ)。タワーリングインフェルノやホテルニュージャパンの時代じゃあるまいし、せいぜい一部の内装が燃えたくらいでそんなにデカい火災じゃないだろうと思ったが、今朝写真を見て驚いた。

昨晩のCCTVの放送では「構造に影響はない」みたいな事を言っていた(ように聞こえた)。すかさず「そんなに早く分かるかーい!」とツッコミを入れた。

CCTV/TVCCは、現場担当者に案内してもらって3度ほど見学している。7年近く費やした努力の結晶が、完成間際に焼け落ちてしまうなんて、彼らの落胆を想像すると、気の毒でならない。逆に言うと、完成前だからこそ人的な被害が最小限に抑えられたわけだが。

このビルの内部には、30層にわたる大きな吹抜けが存在する。そこが煙突の役割を果たして、大きく燃え広がったのだろう。通常、吹抜け部分には煙感知器と連動するシャッターがあり、そう簡単には煙突にならないように配慮されているが、施工中の現場では、もちろん作動させているわけがない。

昨日の市内の状況を見るに、市内で打ち上がる花火に乗じたテロである可能性も捨てきれないけれど、まあ、花火が火元なんだろう。その火の粉が内装工事現場の引火性の何かに燃え移り、煙突効果で燃え広がってしまった、というのが真相なのでは。ホテルの内装は、通常難燃性の内装を用いるが、これだけの火力だとひとたまりもない。

このビルには、CCTVのホール、大型のスタジオが低層部に入り、高層部はマンダリンオリエンタルが入居予定となっている。たとえ、構造が無事だったとしても、盛大に燃える様が世界中に配信され、傷モノになってしまったビルに有名高級ホテルが入居するとは思えない。ただでさえ北京のホテルは供給過剰だし、景気の後退で高級ホテルの需要も減っているだろうし。このビル、この先どうなるんだろうか…?

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Mizuma & One Gallery / 天欲 | INSTINCT

来る2月14日(土)より、私共が内装を設計しました北京/草場地のMizuma & One Galleryにて、展覧会「天欲 | INSTINCT」展が開幕します。ミヅマアートギャラリー所属の若い日本人作家達によるグループ・ショーです。オープニング・レセプションは14:00〜18:00となっています。今回の展覧会、私は何かをやったわけではありませんが、レセプション時には会場に居るかと存じますので、どうぞ皆様お誘い合わせの上お越し下さい。

天欲 INSTINCT----Japanese Contemporary Art Group Show

参加作家:KYOTARO、櫻井りえこ、谷口ナツコ、三宅玄朗、宮崎勇次郎
会期:2009.2.14 (土) − 3.22 (日)
オープニングレセプション:2.14(土)14:00−18:00
Hours:水-日 10:00-18:00
(Closed on National Holidays, Mon. & Tues. for Appointment Only)

Information:
Tel:+86-10-5127-3267
Fax:+86-10-5127-3268
E-mail: info@mizuma-one.com

MIZUMA & ONE GALLERY 三潴画廊
No.241-15 Cao Chang Di, Art-Zone Chaoyang Dist, Beijing 100015, CHINA

詳しくはこちらまで。


そういえば、先のジュン・グエン=ハツシバ展のこちらの写真ですが、私が撮影したものが一部含まれています。オープニングに出かける時に、ふと、三脚が目に留まり、久しぶりに据えてみるか!と手持ちのコンパクトカメラで撮ったものですが…公式資料に使われるんならもっとちゃんと撮れば良かった。

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白黒ナカ2杯

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2月1日
本日は東京滞在最終日。更新強化週間もとりあえず今日で小休止。結局毎日は無理でした。

昼間は、最近依頼のあった未経験のビルディング・タイプの研究。日が傾き始めた頃、敷地を見に都内某所へ。帰りに自由が丘で昼食。一度事務所に戻って書類整理の後、新宿へ。ヨドバシカメラで一眼レフのデジカメを物色した後、紀伊国屋。その後、元OMAで現LSEのSさんと会う。中国ではなかなか食べられないモノが食べたくて、魚介類を七輪で食べさせる居酒屋へ。北京には日本風の居酒屋は既に沢山あるけれど、魚と言えば、焼き魚をポーンと飛び越えて刺身か寿司になってしまう。同様に、サケと言えば、中国産の焼酎や日本酒の次は、値ごろ感の薄い日本からの輸入品になってしまう。久保田とか上善とか、日本ではそれほど有り難い酒ではないけれど、北京ではけっこうな値段になる。

そういえば、旧正月前の北京オフィスの忘年会で、日本風居酒屋に行ったとき、一番高い久保田の万寿を指差して、「来年は仕事を沢山取ってこの酒を呑むぞ!」と高らかに宣言したのだが、スタッフに「去年もココで同じ事言ってたわよ」と冷ややかに言われてしまった。そんな記憶は確かにあった。他に何か言ってた?と聞くと「『来年の目標は結婚だ』とも言ってた」と。一年間、格闘しつつ、それなりの成果を上げてきたつもりではあったが、目標は何一つ達成していない自分にガッカリする。むしろ目標が遠のいてる自覚すらある。じゃあ、今年の目標は婚約にしておくよ、と微妙にハードルを下げておいた。

話が逸れたが、北京ではなかなか呑めない物の一つがホッピーだ。中国で製造するにも、日本から輸入するにも、利益が少ないのだろう。成田で飛行機を降り立ち、バスや電車に乗り、日本語の広告に目が慣れてくると、呑みたくてウズウズしてくる。我ながら安上がりな人だなと思う。東京最後の夜に、ホッピー白、黒、そして追加のナカ2杯を呑む。

Sさんとは、以前会社勤めをしていた頃からの古い友人だ。仕事を夜中2時に終わり、一緒にコンペに取り組んだ思い出もある。最近Sさんが雑誌に発表した論文の話、10年ほど前に一緒に設計した住宅の現在、昔の職場の同期の動向、これからのキャリアの話、中国はどうなるか、イギリスは、ドバイは、日本は。とりとめも無い話が続き、ここではまとめられそうにないが、自分のこれまでの選択はそれほど間違ってなかった、今もまあ楽しくやれているし、と自分たちの今までを肯定的に捉えて確認しあった。否定的に捉えたって仕方が無いしね。これが心理学でいう合理化、という奴かどうかは、今はまだ分からない。少なくとも、これまでのキャリアのお陰で、この先世界がどうなろうと生き抜いていけるだけのシブトさはお互い身につけているんじゃないか。

ツタヤで雑誌の最新刊を見て帰宅。現在午前2時半。明日の午後の飛行機で北京に戻ります。在日中はかなりのペースで人に会ったつもりだが、スケジュール的に会えなかった方が数人居たのが心残りだ。そして、休み中にこなすつもりだった仕事も山積している。北京に戻ってから腰を据えて取り組むとしよう。

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オノボリさん

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1月31日、もう1月も終わりか。
昨日、中国の施主から、奥様へのプレゼント用の化粧品を頼まれていたのを思い出した。「35歳、乾燥肌、資生堂、予算は2000元程度」とのシンプルな要望。お世話になっている方なので、しらばっくれる訳にも行かない。友人にお願いして、銀座三越の化粧品コーナーに付き添ってもらう。凄い混雑で、不景気が嘘のよう。ただ、あちらこちらから中国語が聞こえる…ワイワイ叫んでいる意味がわかるのは、嬉しくもあるが、なんだか複雑な心境である。店員の人は勝手知ったる感じで、色々見繕ってくれた。買い物はあっけないほど簡単に終了。

買い物をしている時に、施主から、資生堂ギャラリーの展示を見るように言われていた事を思い出し、資生堂パーラー地下の「シセイドウ・アートエッグ/宮永愛子展」へ。ナフタリンで象られた様々な物が、プラスチックに封じ込められながらも少しずつ、文字通り「昇華」していく、というインスタレーション。明日まで。現代の時代感覚を色濃く反映している。このところの世界の激変に伴って、この感覚もシフトしていってしまうのかもしれないのだけれども。ひょっとしたら、その感覚のはかなさすらも表現されているのかもしれないのだけれども。

前から行ってみたかった2階の喫茶店へ。美味しいケーキを食べるのは久しぶり。内装も頑張っている。けれど、もうちょっと予算的に頑張って、ちょっとしたホテルの喫茶店に行った方が優雅な時間が過ごせるかもなぁ、と感じた。その後、暫く見ない間に様変わりした銀座/有楽町/八重洲界隈をうろつく。H&Mとか、スウォッチ、ティファニーなど。たぶん、まだ、中国にはない直営店に立ち寄って観察する。

もう一つ、前から行ってみたかった銀座ライオンの7丁目店へ。今年で開店75年だそうだ。設計は大正〜昭和初期に活躍した建築家、菅原栄蔵。その作風は「ライト風」と言われる事が多かったという。確かに、ライト的なモチーフは随所に見られるが、全体としてはライトのような繊細さは希薄な、力強い造形。職人の手垢を残すタイリングは、ドイツ中世のギルドの仕事を見るかのようだ。ドイツ表現主義か。建築史専門の方からは怒られそうだけれど、ドイツ・ゴシック・リバイバル風表現主義とでも言えばいいんだろうか。ビールと言えばドイツ、そのドイツ風のデザインに向けた努力が伺える。料理はシンプルで、ビヤホールだしこんなもんだろうな、という感じだが、なんと言っても、今では到底施工不可能な内装が醸し出す雰囲気が抜群にいい。ビールの味も、こんなに日本のビールって美味しかったっけ、と思うほど素晴らしかった。温度と入れ方でこんなに変わるもんなんだねぇ。

完全にオノボリさんな夕方。まあ、実際北京から来たオノボリさんなんだから仕方がない。銀座自体もオノボリさん向けの街になっている。地方やアジアからの観光客の比率は相当なもんだろう。経済のグローバル化は、特徴ある街を無個性にしていく、というような批判があったが、むしろ逆かもしれない。テーマパーク化し、オノボリさんを吸引していく、という方が正しいのではないか。それぞれに特徴があり、海外や地方からのアクセスが比較的良い東京東部の繁華街ではそれが著しい。秋葉原なんて、観光客ばっかりなんでしょう?最近行ってないけどさ。


偽装するニッポン―公共施設のディズニーランダゼイション

ちょっと古い本だけれど、この本では、竹下内閣下の「ふるさと創生」をきっかけに、地方自治体がディズニーランド化してしまったと説く。もちろん、上で書いているニュアンスとは少々異なるが、地方も、都心の繁華街もテーマパーク化しているとしたら、日本全体がテーマパークになっちゃってるということになる。観光資源とは一体何か、というのをもう一度考える時期に来ているのかもしれない。


趣都の誕生―萌える都市アキハバラ (幻冬舎文庫)

秋葉原といえばこんな本も。増補しているとは知りませんでした。

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壁画モザイク。カウンターの両端にライトの旧帝国ホテルのものに似た噴水がある。

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2月危機説、どうなるか

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1月30日
朝、午後の打ち合わせの準備、図面と書類をPDFで送り、事前に目を通しておいてもらう。こういう時に便利だよなぁ、今話題のインターネットって奴は。午後1時半から目黒近辺で打ち合わせ、午後3時から新宿近辺へ移動して打ち合わせ、夜7時からはその近くのドトールで打ち合わせ。その後、施主と食事して帰宅。途中、森美術館の展覧会に立ち寄ろうと思うが、下から見上げたら展望室の辺りがガスっており、日を改める事にする。やっぱ、東京シティビュー見たいじゃない?一人でもさ。
代わりにツタヤに行ってプロジェクトのための資料購入。コーヒーを啜りながら帰ってからも、アマゾンで資料を探す。

ニュースでは、識者が「中国2月危機説」を唱えていた。2月2日に春節休みが終わり、人々が大挙して大都市に戻ることになるが、仕事が無い。行き場を失った非正規労働者や、内定の貰えていない学生達が暴動を起こし、一挙に社会不安になるという説だ。さて、どうなるか。僕は、そんなありきたりのストーリー通りにはならないと思うな。

最近読んだ石川好「中国という難問」では、今、巷に出回っている殆どの中国崩壊論は外れるだろう、それほど中国は大きく、広く、深く、多い…虫の目と鳥の目を同時にもたなならん、というような事が書いてある。多少なりとも中国を知る者は、この話に概ね同意するのではないか。僕自身、プロジェクト毎に色々と予測を織り込みながら仕事をしている訳だけれども、その予測が当たったためしがない。皮肉な事に、そんな予測と格闘する姿が、中国人の施主を感心させる事になり、結果仕事をもらう、というケースが多い。

新建築の12月号では、構造家の川口衛氏が、北京の「鳥の巣」の構造の不合理性を説き、エネルギーの蕩尽を憂いていた。エンジニアの立場からの、敬意を払うべき意見ではあるが、その次の号の林昌二氏の「月評」が面白かった。いやいや、有事に備えて、ああいう形で鉄鋼を備蓄しているのかもしれないよ、隣国の大人の考える事は、小国の日本人からは想像つかないよ、というのである。中国のメンツを立てる為に、「将来リサイクルすれば良いじゃん」的な論理で、膨大な鉄鋼の浪費が許可される…あり得る、というか、やりかねない。林さんの想像力の逞しさに感心した。

もうすぐ12時。春節明けに、期待半分、不安半分。

中国という難問 (生活人新書)

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2回目のカプセルホテルと展覧会と

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1月27日
概ね寝倒す。久しぶりに寝たいだけ寝る。午後から実家で作業後、夜10時、高校の同級生と呑むために今池へ。彼は、僕の父が他界した時に、夜通し一緒に蝋燭の番をやってくれた人物でもある。当時、僕も若かったし、いろいろ重なってつらい時期でもあった。一人、暗く、広大な本堂の前庭でぼうっとしている時に、一升瓶を持って現れたその姿に救われる思いだった。親友、と呼ぶと嫌がるようなヘンクツな男ではあるが、それ以来、名古屋へ帰る時には極力会うようにしている。
名古屋の夜は早いが、朝までやっている飲み屋もある。2軒ハシゴして、朝5時。当然タクシー以外帰る手段はないし、36歳のオッサンなので始発を待つ元気も無い。友人の提案でカプセルホテルに泊まる事にする。人生で2回目のカプセル宿泊。結婚式、喫茶店のモーニングなど、「名古屋の○○は凄い」としばしば言われるが、充実した施設に驚く。風呂だけで7種類くらいあったか。一通り浸かってからカプセルに入り、記憶を失う。

1月28日
カプセルで目覚めると10時前。もう一度風呂に入り、朝食を取って実家へ。中学高校と通学に利用したバスに乗り帰宅。バスの本数が劇的に減っているのと、乗客が老人ばかりなのに驚く。実家近くの商店街は寂れに寂れ、シャッター街になっていた。荷物を整理して名古屋駅へ。そこは賑わっていた。家族の「同じ店なら名古屋で買った方が店員が親切でいい」との忠告に従い、高島屋でセール品を買って新幹線で東京へ。一度事務所に戻ってから、ミヅマアートギャラリーの棚田康司「結ぶ少女」展のオープニングへ。途中、三潴さんとの打ち合わせを挟みつつ、鑑賞。ギャラリーの小振りな空間に作品が注意深く配置されており、展示の密度は贅沢さすらある。「一木造り」で作られた彫刻をポキンと折ってしまわないかとドキドキするくらい。棚田さんは、作品のナチュラルさとは裏腹に、侠気のある爽やかな人物で、前回北京にいらした時の礼を言われる。そんな、僕は何にもしてないです、と思いながらもファンになってしまう。2次会のお誘いを受けて参加、その後、スタッフの方と恵比寿の「盆栽や」で呑み、「一風堂」のラーメンを食べて帰る。こんなに暴飲暴食していたら死んでしまう。中国に戻ったら雲水のような生活をしてカラダを浄化しなければ。注意:恵比寿のラーメン店「あふり」は水曜休みです。

1月29日
起床後、翌日の打ち合わせに備えた作業+帳簿関係。麻布十番の本屋で数冊。夜、休肝日と決めていたのに少々呑んでしまう。中国では断酒しなければ。東京滞在中にあと2回はプールに行きたい。現在午前0時30分。

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2009年の中国がどうなるのかは春先に分かる…らしい

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今年の春節は1月26日。年の瀬だ。今進行中のプロジェクトでは、年内中に上層部の承認を取り付けるために、モックアップの製作が急ピッチで進められている。なかなかのクオリティーだ。承認が出れば、春節後に同じものが50基以上、作られる事になる。

世界を吹き荒れる不況の嵐。中国だって無関係ではないどころか、むしろ影響は深刻なはずなのだが、北京の人々はいたって強気だ。銀行は大手の事業体に対しても貸し渋り、資金繰りが悪化して工事を停止しているディベロッパーも多いが、その当のディベロッパー達も、政府の緩和政策が功を奏して春先には復調すると読んでいると聞く。日本の投資マインドが、世界で一番「マシな」状況の中で冷え込みまくっているのとはえらく対照的だ。良いか悪いかはさておき。

バブルな状況を呈していたアートの世界はどうなるか。798芸術区も、どこそこが撤退するとかどうとか、良からぬ噂が飛び交っているようだ。やばいよなぁ、そりゃあんな状況はいつまでも続かないよなぁ、なくなっちゃうのかなぁ、なんて思っていたが、先日、UCCAのDior展を見て、多少楽観的な意見に変わった。この展覧会、もちろん経済ショックの前に企画されたものだろうが、質、量共に素晴らしいものだった。798には、施設的にも、人材的にも、既に、UCCAという核が出来上がっていると感じた。プラットフォームが確立された以上、去年ほどの盛り上がりは無いにせよ、芸術区はエスタブシッリュされた形で残っていくだろうと思う。春先のアートフェアが開かれる頃には、もう少し状況がハッキリするのではないか。

肝心の建築設計の仕事はどうなるか。短期的には、これまた、ディベロッパー達のいう春先を待つほか無いが、中長期的には、かなり厳しい状況が待ち構えているのではないか、と思う。中国のディベロッパー達は、成熟し、プロ化してゆくフェーズに入っている。本来、不動産会社の物件は、分厚い仕様書によってがんじがらめにされ、それに従えばほぼ自動的に空間が決まってしまうというような性質のものだ。そんな凄まじいプロフェッショナルな世界で、比較的経験の少ない建築家達が仕事ができていたのは、中国経済の勃興だけが理由ではない。やはり、中国のディベロッパーが未熟だったという事が大きかったんだろう。事実、建築家を起用し続けてきた野心的なディベロッパー達も、最近は大規模な組織事務所へと発注先をシフトしていっている。ほとんどの個人事務所では、外装のパターンを弄くったり、テナントの内装や、小さな付属施設をデザインしたりするような仕事が中心になるだろう。これは、ディベロッパーと政府、ほぼ2種類のクライアントしかいない中国の市場ではかなり痛い。

若い設計者が、何万平米という物件を腕を振るってデザインする、という夢のような時代はとうに終わってしまっている。急いでこちらもプロ組織化するか、デザインを商品として売って行くか、政府系の仕事を取りに行くか、あるいは第3の道を探るか。まだまだ、他の国に比べてチャンスが多い場所ではあるけれど、今年は将来の身の振り方を考える年になるだろう。今は考えていないけれど、日本に拠点を戻す、という選択肢が浮上してくる可能性もある。まあ、なんとかなるさ。楽観的に構えてはいるけれど、フットワークは軽くしておいたほうがよさそうだ。エンジョイ・ザ・パーティ、ただし出口のそばでね。

春節に合わせ、1/22〜2/2の間、日本に戻ります。東京、名古屋に立ち寄る予定。刺身が食いたくて仕方がありません。

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海南島

中国では、近年、年末年始に休みを取る習慣が浸透しつつある。とはいっても、すぐ後に旧正月の大型連休が控えているので、三が日を休む程度。この休みに合わせて、慰安のための行事を行う会社も多いという。日本では、よっぽど結束力の強い会社くらいでしか慰安旅行なんてしないと思うけれど、中国では、スタッフのモチベーション維持のためにも、こういった社内行事は大切らしい。みんな数週間前から楽しみにしていた。日本も、昭和の頃はこんな感じだったのかなぁ。他の設計事務所の慰安旅行に便乗して、超弱小設計事務所の我々も慰安してみた。

4泊5日で一人3000元(4万円強)。バス、食事、ほぼ全て込み。殆どの食事は中国風…例えば朝食は、飯もしくは粥、饅頭/マンジュウじゃなくてマントウの方、焼きソバ、ゆで卵などの、炭水化物を中心にしたメニュー。まともなホテルの朝食は1度しか無かった。やたらと買い物ポイントに連れて行かれるし、たぶん中国では安ツアーの部類に入るんだと思う。少々割高に感じるが、中国人にとってもそうらしく、ほぼ同じ予算でタイやマレーシアへの旅行ができるとあって、最近は海南島旅行の人気は下降気味だという。

海南島は、北京から飛行機で4時間弱と、実は東京より時間がかかる。慰安旅行とは言え、家族ぐるみでの参加となる。恋人や配偶者をつれて来ている人も多い。幹部クラスは、両親を連れてきていたりもする。総勢30人強のツアー。

個人的には、旅行会社を通じて行って、現地でオプショナルツアーに参加した事は何度かあるが、フルパッケージのツアーは初めて。朝早く(6時半起き!)から晩まであちらこちらへ連れていかれ、かなり過酷な旅だった。全然バカンスになっていなかったけれど、中国人の団体旅行客に一人混じって色々観察しているのは、なかなか面白かった。

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海南省の省都、海口に着いたのは大晦日の夜。けっこう肌寒い。誰だ、海南島は暑いと言った奴は!と毒づきながらカウントダウンして乾杯。

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微妙な合成写真が跋扈する中国。もうちょっと頑張ろうよと思う。

元旦、スキューバダイビングの体験コースをやってみる。30分で500元くらいで、一人に一人、インストラクター?がついてくれる。少々海がしけていて、海の透明度はイマイチだけれど初めての事なので興奮し、7−8メートルは潜る。耳抜きをしたら、ピー!と音がしてビックリする。機会があったら、ライセンスを取って自力で潜りたいなぁ。

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ガイドがいくらくらいキックバックを貰っているのか知らないけれど、一日に2カ所くらいは買い物ポイントに連れて行かれる。ここは水晶アクセサリーの工場。ヤシパウダー、珈琲、お茶、いろんな所に行かされたが、ほぼ全てマニュファクチュア状態の工場だった。えー!クッキー手で焼いてるよ!なんて驚いていたら、「機械より人件費の方が安いんだよ。ここは」と冷静に諭された。そりゃそうだけれども。

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大抵、こんな展示コーナーがあって、

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その後にこのような売り場に誘導される。連れてきた旅行会社がキックバックを受け取るというカラクリは来る側も了承済みのようだが、それでもこの熱気!マス・ツーリズムを実感する。

マカオで中国人旅行客が「買い物が多過ぎる」と暴動を起こした事件があったらしい。僕は、「こうやって売りつけるのかー」なんて感心していて、それなりに楽しんでいたので暴動するには至らなかった。

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ここは最終日に行った果物市場。マンゴーが山積み。海南島ではドリアンは生産しておらず、タイからの輸入になるので、ドリアン以外は安い。例えば、マンゴーはキロ辺り日本円で100円くらい。

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コーヒー工場。コーヒーは、最終的には高級な嗜好品になるのに、生産の現場は決まって悲惨だ。ここは、スリランカとかよりは遥かにマシだろう。ヤシの実の粉とインスタントコーヒーを混ぜたものが美味しく、一袋買う。ちょっと甘過ぎるかも。

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撮影が禁止されていたので写真が無くて残念だが、買い物でいちばん面白かったのが「南海軍鋼」という会社。名前の通り、人民解放軍営の企業で、主に砲弾を作っているが、ここも民営化の波にさらされている。現在では、軍関係の製品は80%で、残りは民生用の製品を作っているらしい。で、ここでは何を売りつけられるかというと、包丁セットなんである。グループ毎に演壇のある部屋に通され、そこに人民解放軍の少尉クラスが登場して敬礼、実演販売する。その少尉が素晴らしい手つきでキャベツや大根を切り刻み、包丁をガンガンぶつけて「ほら、刃こぼれしてないでしょ!」とやり、あげくの果てに「包丁三本と包丁台、研ぎ器、永久保証、さらにピーラーもつけて、何と298元!」とやる。この少尉、見るからに優秀そうな軍人だが、内心忸怩たる物がないのだろうか、なんて考えてしまう。面白すぎ。

これがまた、結構売れるんである。ある若いカップルは、それぞれの両親に2セット購入していた。「解放軍は、ある意味最強のブランドなんですよ」なんて言っていた。さすがに包丁セットは要らないが、帰りに買い物コーナーで十徳ナイフを購入。38元、600円弱くらい。

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「天涯」という観光地。浜辺に奇岩がゴロゴロと横たわる。清の時代に、流刑などでここに追いやられた人々が、岩に文字を刻み、都を偲んだらしい。北京なんて汚いし、別にココでゆっくりバカンスすりゃいいじゃん、なんて思うのは現代人だからだな。

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救いがたい彫刻のはるか向こうにあるのは、中国版「夫婦岩」みたいなもの。この公園、非常に良く整備されていてキレイなのだが、計画に全然地域性がなく、つまらない。中央からやってきた権力者に決定権があり、いつも中央の同じ機関が計画するからだろう。

同じ事が中国の都市計画にも言える。外国人の目には、どの都市も似たり寄ったりで同じに見える。改革開放前は、地域によらず、ほぼ全ての建物が標準化され、同じ図面で建てられていた。そりゃあ同じ街になっちゃうよ。クライアント達は、すべからく「ここの地域性を生かして欲しい」というが、現在の都市は、生かすべき地域性すら無くなってしまっている。突如出現した都市のように、地域性すらない例も多い。「共産」中国が抱える課題の一つだ。

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「夫婦岩」の前は絶好のカップル撮影スポット。

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「蝦支洲島」というリゾート開発された島に一泊。中国風の建物が乗っかった埠頭に高速船が着岸する。ブリティッシュ・ピアみたいで可愛い。コテージに一泊、一部屋900元弱。2万元近くする豪華なヴィラもある。この島に3泊くらいゆっくりしたかった。観光資源としては素晴らしい。他の観光客のお行儀と、スタッフのサービスさえマトモならば言う事ないのだが。でも、おすすめの場所。

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海辺の東屋でゆっくり読書もできた。

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ビーチもキレイ。

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「タイの女の子のショーがある」と連れて来られた劇場。来てみたら、シーメイルのショーだった。4000人近くが固唾を飲んで見守る中ショーは進行。男女ともに喜んでいる。後半には中国人のシーメイルも登場。ルックス的にはタイの方が上か。なんでも、これは、華僑パワーの影響が大きい経済特区の海南島だからこそできるショーらしい。ちなみに中国では、シーメイルの事を「変性人」という。なんとも可哀想な訳に思えるが、「おかま」よりはマシかもしれない。機内で福岡伸一の「できそこないの男たち」を読んだばかりだったので、色々考えてしまった。

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植物園。国の機関「熱帯植物研究所」の研究員が案内してくれる。

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で、やっぱり、最後はその研究員がお茶を試飲させ、購入を勧める。しかし、「南海軍鋼」といい、中国の国営機関はどこも大変ですね…。NHKのBS特集「庶民の改革開放30年」に出てきた瀋陽の国営工場の話を思い出した。

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年末の近況

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渋谷の太郎。もう、東京の人にはすっかり珍しくないんだろうが、たまに帰る僕には新鮮なんですよ。それでも、ケータイで写真を撮っているオジサマ、オバサマが沢山居た。

東京では、不況話を色々聞いた。建築設計の世界は特に深刻なようだ。若い世代の建築家に中規模のマンションやオフィスを発注していた気鋭のディベロッパーがバタバタと倒産している。大概は黒字倒産で、銀行による融資が滞って倒産してしまった例が多いという。

世界中の状況を相対的にみると、日本の状況はかなりマシだ。バブル崩壊後の慎重な経営のお陰で、企業の財務体質は比較的健全だ。今、世界経済が実体経済に向かってシュリンクしてゆく過程にあるとするなら、アメリカと違って国内に産業が残っている日本は強い。それが今の円高に現れている。と、これは、最近話を聞いた経済アナリストの方の受け売りなんだけれど。

ただし、日本人は慎重で悲観的だ。過敏に反応して極端にマインドが冷え込んでしまうところがある。マスコミはそれを煽っているし…必要以上に暗いムードになっているんじゃないか。

とはいえ、最近はこの不況も先が見えてきたようだ。日本の報道やブログに、つい最近まで鳴りを潜めていた中国批判の記事が復活してきている。どうやら国外の事に目を向ける余裕が出てきたらしい。

日本に比べればかなーり不健全な体質の中国は、もちろん大変な事になっている。不動産投資というものは、住宅価格が下がり始めたら一気に破綻してしまう。北京の郊外や、地方都市ではディベロッパーが夜逃げしているらしい。設計事務所はディベロッパー関係の仕事をどんどん失っている。「東福もさ、ががーんと20人くらい雇ってさ、ガンガン仕事を取ってカネを儲けろよ。好きな建築は儲かってからやればいいんだよ」なんて調子のいい事を言っていた中国人経営者達は、今となっては僕の小さな事務所を羨ましがっている。社会の激変を幾度も味わってきた人達なだけあって、表情はまだ明るいけれど、暗いムードが漂いつつある。

僕だって、ドドーンと大きく始めたかった。でも、オリンピックの時期は仕事が無く、投資のタイミングを失っていただけだ。今では自分の機動力の無さに感謝している。幸い、現在は小さな事務所を食わせるだけの仕事はある。いや、むしろパンク寸前だ…新たに人を雇いたいけれど、日本人の冷え込みやすいマインドがそれを邪魔している。春節までは今の体制のまま乗り切るつもりだ。

美術館の仕事は、日本の雑誌向けの原稿を脱稿して、本当の本当に終了した。1月には、日本の書店にも雑誌がならぶ事になる。音楽関係の出版物は色々書いてきたけれども、実は、建築専門誌に書く機会はあまり無かった。単なる一担当者としてのテキストなんだけれど、ちょっと楽しみだ。

施主が、美術館建設までのドキュメンタリーを出版した。東福大輔は業者からのリベートを受け取らなかった!と、信頼のおける担当者として描かれている。受け取らなくて良かった(笑)。褒められていてコソバユイくらいだ。まあでも、自転車を盗まれたりとかドジな一面もしっかり書かれているんだけどね。

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今夜のイベント、来れる方は是非いらしてください。盛り上がりましょう。

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なかなか終わらない。

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Photo: Judy Zhou

ここで何回か触れた例の碁会所が、「一応」完成して、写真撮影をした。詳しくはこちら。一応、というのはこれから家具類を考えなければならないから。ゴリゴリとデザインしたオリジナル家具を、ここぞとばかりに入れたい気持ちも無いわけではないけれど、部屋の用途から言ってあんまりケバケバしいのは似つかわしくない。きっと、色や材質に少しばかり配慮した普通のものになると思う。

お客さんは、模型を見ても、完成予想図を見ても、今までに訪れる事のある建物のイメージを重ね合わせながら見ている。良質な作品に触れる機会が多い東京とは違って、北京のお客さんに空間の質を理解してもらうのは難しい。また、こちらとしても「今までに見た事無いもの」を目指しているので、説得はなおのこと困難になる。今回は時間もあったので、家具以外の内装の出来上がり具合をまず見せて、クオリティーを実感してもらってから家具を提案する、という多少回りくどい作戦を採ることができた。

もちろん、途中色々あったが、施工が頑張ってくれたおかげで、比較的楽な仕事だった。日本資本が入っている施工会社で、「日本の設計がどれだけシビアかは知っているよ」とモックアップの作成を快く了解してくれた。380平米という規模は、中国では著しく小さな部類に入るので、なかなかモックアップを作ってくれることはない。努力のかいあって、なかなかのクオリティーになっている。

家具が入るまで、もうちょっと。

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健身その後

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最近のランチ。いつもニコニコ看板娘の彼女は、山西省出身。ほったて小屋みたいな店を任されている。暇な時にはファッション誌を読んでいる…半分くらいはダイエットの記事。

オリンピックの前後は、僕のオリンピック景気への期待とは裏腹に、はっきり言ってヒマだった。工事は止まるわ、経済も停滞するわで、スタッフも「暇すぎて気が狂いそう!」とか言い出して、事務所の雑誌を読みふける始末。度を超してヒマになると仕事に対するモチベーションまでが低下してしまう。経済的な事も心配だけど、そちらの方がもっと深刻だ。このニッキに「ヒマだ!」とアピールした所で、仕事が来る訳でもない。他の日本人建築家は大陸を飛び回って仕事をしているのに、こいつは中国まで行って何やってるんだ!と、お客さんを躊躇させてしまうだけだろう。

当然、僕自身も先行きに不安を抱えるわけだけれど、所詮外国人なので、やれる事は限られている。ジタバタしても仕方がない。僅かに進む工事の監理をやるほかは、仕事がありそうな知り合いに電話をかけたり、広報活動をちょろっとやったりくらいしかできなかった。スポーツに縁遠い僕が、突然スポーツクラブに行きだしたりして「一体何が起こったの!かえって心配!」と身近な人々を心配させたのも、まあいってしまえばヒマのなせる技だ。

街を行く妙齢の女性達が、思わず面積を算出してしまいたくなるような、もっと言うと三つの角を合計すると2直角になる事を確認したくなるような。このヒマな時間をつかって、そんな逆三角形になってやる!と思っていたのだが、なかなかうまくいかない。クラブに通い始めると時を同じくして、ドカドカと依頼が来て、ニワカに忙しくなってしまった。正直、今のスタッフ数では全然廻らない。だからといってまだ設計料を貰える段階まで行っていないので、スタッフを増員するわけにもいかない。結果、僕自身に多量のタスクが降り掛かって来てしまう。やってきた仕事は他の事務所との共同作業で、北京中心部へ毎日行かなければならないので、ジムが空いている時間に帰ってくるのは難しい。時間を見つけてはなんとか通っているが、最近は行けて隔日くらい。

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先日、おっ!今日は泳げそう!と急いで家に戻り、素早くジャージに着替えて行ったところ、受付で「今日はプールが壊れてて泳げない!」と言われてしまった。プールって、壊れるモノでしたっけ?と憤りつつ、運動する気満々だっただけに、エネルギーのやりばに困って近所を散歩してしまった。

「直ったら電話するから」と言われ、その後2ー3日待っていたが、一向に連絡がない。痺れを切らして電話すると「ああ、もう直ってるよ」。おいおい…と思うが、長いこと中国に居ると、そういう事は慣れっこになってしまうんだな。

受付嬢に「ジムに機械が入って来てるよ!まだ設置中だけど」と言われ、様子を見に行く。凄い!パタパタして胸筋を鍛えるアレや、足を鍛えるアレ、なんて言うか知らないけれど、おそらく舌を噛みそうな長い名前であろうアレ達が大量に置かれていた。足の踏み場も無い…つーか、多すぎないか?レイアウトも考えずに勢いで買ったんだろう。ストレッチどころか、人が歩くスペースすらない。多すぎない?とスタッフに言うと、まったくお前の言う通りだ、うん、もっともだ!というリアクションをされた。

このスポーツクラブ、突っ込み所満載だ。人の居ない時間帯に行くと、電灯が消えて真っ暗だったりする。おかげで、施設内のスイッチの位置を覚えてしまった。ルームランナーのスイッチを発見したのも僕だし、スイッチの位置に関してはスタッフより詳しいかもしれない。唯一、まだ良く分からないのがサウナのスイッチの入れ方で、これはスタッフに頼まなければならない。おーい、そろそろ上がるからサウナ入れといてくれー!と行く度に叫んでいるが、サウナは電気を食うらしく、なかなか入れてくれない。暖まるのを待つのは嫌だからさぁ、とその度毎に説得する。

最高に褒めて言えば、アットホームな雰囲気だな。働いているスタッフの人柄は悪くない。

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設計者Xの健身

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美術館の現場の近くに借りたマンションに住み続けている。北京のマンションのグレードとしては中の上くらいだと思う。外国人が住むマンションとしては下の下だけれど、独身者にとって住み心地は決して悪くなく、居着いてしまっている。部屋は北向きだけれど、21階なので、天気の良い日は遠くまで見渡せる。北向きの部屋は景色を順光で見る事ができるので、決して捨てたもんじゃない。

中国の場合、施設の全てが完成していなくても、入居が開始される場合が多い。2年前、ここに越して来たときには、外構がぜんぜんできていなかった。数ヶ月遅れて、庭が整備され、さらに2年遅れて、残りの住棟が完成し、最近ようやく全て完成した。

巨大開発では、広い敷地にノッポの住棟が立ち並ぶ事になるので、残りの部分を埋める必要が出てくる。散歩や、ベンチでくっちゃべる事が人々の生活に染み付いていることもあり、外構の設計が重要になる。ランドスケープの設計は「園林設計」と呼ばれ、ローカルの事務所には専門の設計者を抱えている所も多い。彼らは数をこなしているので、樹種に対する知識も含めて引き出しが多い。日本人の設計者よりよっぽど巧いかも、と思う事もある。

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で、最近、その「園林」の中に、ガラスの物体が出現した。温室か何かかな、と思っていたが、近づいてみると下に下りてゆく階段がある。ああ、駐車場の入口ね、と思っていたら、そのうち「健身」の看板が掲げられた。フィットネスクラブだった。

え?本当?地下にあるの?と中に入ると、スタッフが走って来て、これでもかと案内される。といっても、プール以外は、ぜんぜん完成していない。まだ職人が作業しているゴミだらけの部屋を見せられ、「ここがジムになります。トレーニング機械が沢山入る!」って言われてもねえ…。卓球室は卓球台がポツンと置かれているだけだし…

料金は、開店特別価格で1年1300元、日本円で2万円くらい。日本だと、月1万円はかかるから、だいたい6分の1。安いな…久しぶりに泳いでみるか、と入会してしまった。北京のイトーヨーカドーで水着やトレーニング用の服装をそろえ、通い始めてみたらこれがなかなか良い。最初は、突然運動したら心臓止まるんじゃないかと恐る恐る泳いでいたが、ここ最近はいい感じに習慣化してきた。近いので、サウナとシャワーが風呂代わりにもなる。ひょっとしたら続いてしまうかもしれないよ。

ここは、目標を上げて、すれ違う女の子達が「ていへん、かける、たかさ、÷2…」とサブリミナル的に三角形の面積公式を思い浮かべてしまうくらいの、逆三角形のカラダを目指してみるか。愛読する雑誌が「サイゾー」から「ターザン」に変わる日もそう遠くはない!…かもしれない。

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毎晩、この輝く入口に蛾のように吸い寄せられてゆく。

会員になったからには、ジムの方も使ってみたい。行く度に「ジムはいつから使えるの?」と聞いていたが、「馬上!(もうすぐ!)」という返事しか帰ってこない。こいつら、さてはジムを作る気ないな…と思い始めた頃、スタッフの女の子が駆け寄って来て「ジムに機械が入った!」という。おお!と行ってみると、相変わらず施工中の部屋の片隅に、ルームランナーだけがちょこんと置かれていた。彼女は鼻息荒く「どうだ!」と言わんばかりの自慢げな表情。ツッコむ気にすらならない。

仕方ないので試してみるから電源を入れるようにと言うと、コンセントの差し込み口が合わない。客を案内する前に一度試そうよ、お願いだから…とも思うが、彼女はあの日本人に早く教えてあげなきゃ!と親切心で案内したのかもしれないので、責める訳にも行かない。延長タップを取りに行ったりとドタバタやったあと、ようやく接続。その後、電源を探して再びドタバタやり、遂に僕がスイッチを発見して電源投入。

電源の位置も知らないくらいだから、スタッフはルームランナーの使い方なんて知るわけが無い。廊下で壁の塗装工事をやっていた大工までが参加して、3人がかりでボタンを押しまくって試行錯誤した末に、使い方を習得した。もちろん、その間、僕がベルトコンベアーの上で突然爆走させられたりしたのは言うまでもない。僕はトレーニングしたいのであって、安っぽいコントを演じる気はさらさらない。

なにせ風呂代わりだ。結構な頻度で通っているので、受付は既に顔パス状態である。最近は外国人の客が増えて来ているらしく、受付の子は英語の勉強を始めたようで、「あなた外国人だから英語くらい出来るでしょ?」という感じで参考書を見せられる。"Chinese is the greatest people!"という例文を読みあげると、「すごい!三か国語も話せるんだ!」と羨望の眼差し。もちろん悪い気はしなかったが、「中華人民は世界で最も偉大な民族である!」という、微妙に間違った、しかも変な政治思想が紛れ込んでいる中国語訳を見て、「とりあえず、参考書を換えた方が良いと思う」とアドバイスした。もうちょっとましな例文ないのかよと。

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建築家ブログ

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グーグルでちょっと検索すると、建築家のブログ、というのがバンバン引っかかってくる。自分の作品を紹介するもの、素敵なインテリアや映画を紹介するもの、最近読んだ哲学書を解説するもの、建築と格闘する毎日を綴ったもの、色々あるけれど、政治的な話やプライベートな話題は比較的ひかえめだ。

政治や経済の影響をモロに受ける業種であるにも関わらず、政治的な話題が避けられるのは、「どこから仕事が来るのか分からない業種」というのが大きいんだろうと思う。自分のプロモーションのために開設したはずのブログで、ヘタに特定の市町村や企業を批判して、将来の顧客を潰していたんでは元も子もない。

プライベートな話題という奴もクセ者だ。生活に密着した空間を提供する住宅専門の建築家ですら、その私生活はベールに包まれている。というより包まなければならない。建築家は、おいしいワインとそれに合うチーズ、美味しいイタリア料理店を薦める事はあっても、飽食を原因とする糖尿病で通院している事はひた隠しにしなければならない。女房と喧嘩した、娘がコギャルになっていた、カップラーメンとコーラが好物、なんて事は口が裂けても言えない。娘は広いテラスの上でフルートの練習をしてるようでなきゃ具合が悪い。日々、メディアで流布される「良い生活」を演じ続けなければならない、哀しい職種なんだな、たぶん。

あらあら、皆さん大変ですねぇ、と高みの見物を決め込んでいるわけではなく、僕自身も、そのあたりちょっとは気を使う事がある。この前、北京でフリーペーパーを発行してる方から、一週間のランチを紹介して下さい、という依頼があった。一週間、毎日ランチの写真を撮って記事にするそうだ。

自己顕示欲のおもむくまま、媒体には喜んでヒョコヒョコ出て行く方なのだが、これには困った。あなたは、カップラーメンや弁当を食べ続けている建築家に、終の住処の設計を頼みますか?もし、その一週間だけ頑張って、こだわりのパスタやサラダ、ちょっと意外!にヘルシーな中華料理やらを並べたとしても、どうしても嘘くさくなってしまう。というか嘘そのものだ。ただでさえ少ない仕事がなくなってしまいますので、と丁重にお断りした。

結局ココに書いちゃってるけれど。

このニッキは、元々は、1996年に始めた、自分が好きな音楽を紹介するただの音楽サイトだった。それを書いていた奴が、たまたま建築設計をやっていて、たまたま中国で仕事しているだけの事でして…最近、仕事で知り合った方々に発見される事が多くて、とっても恥ずかしい。とはいえ突然カッコつけた文章にシフトするのはもっと恥ずかしい。

写真は美術館のオープニングで揚げられた風船。いらして下さった皆様、有り難うございました。

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建材城

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スケルトン/インフィルという言葉がある。ざっくり言うと、建物の構造部分と内装を別々に考えて、内部を必要に応じてシャカシャカと入れ替えた方が便利なんじゃないの?という話で、以前日本でよく聞いた言葉だ。だが、中華圏では、そんな事わざわざ言わなくてもスケルトン/インフィルの考え方が浸透している。設計作業も、施工も、契約も、たいていは「建築」と「内装」がガッチリ分かれていて、例えば外壁の材料が内部にまで入り込んでくる場合には、とっても苦労する。

マンションもコンクリート剥き出しの状態で引き渡される。もちろん、みんながみんな、インテリアデザイナーに頼むわけではなく、持ち主が自分で内装を行う場合が多い。そのためのアンチョコ本もいろいろ出版されているし、会社によっては「マンションの内装監理休暇」みたいなのも認められているらしい。つまり、「今日はペンキの色を決めなきゃならないんで早退します」なんて理由が堂々と通るということ。

であるからして、お客さんも建材やデザインにとっても詳しい。よって、インテリアデザインを名乗るからには、よっぽど目立つ事をやらなきゃならんというプレッシャー生まれ、あげくの果てに目がチカチカするような「やりすぎ感」ムンムンの内装が街の至る所に生まれてくると言うわけだ。

もう一つ。中国人は基本的にカタログを信用していない。カタログの写真なんて嘘っぱちだと思っているところがあり、決定するためにはサンプルを確認しなければ気が済まない。全部の材料や設備をいちいちサンプル請求するわけにもいかないので、建材を一覧できる場所が必要になる。そうして生まれたのが「建材城」と呼ばれる建材市場だ。ココで内装業者に建材を買い与えて、作らせるという寸法だ。

内装の仕事では、少なくとも数回は建材市場に足を運ぶことになる。最近行ったのは、城外城という家具中心の市場。北京最大級の規模を誇る。

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オフィス用の椅子の店。一番手前の列のパイプ椅子は2000円程度。「オフィス用家具」だけで数万平米あるので、たいてい一つくらいは「許せる」デザインのものが見つかる。有名デザイン家具の「コピーっぽい」製品もかなりあるが、ここでは、そのものズバリのコピーは殆ど見かけない。

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うーん。良い線行ってるけど、どっかで見たような…

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上を向いて

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「VIP碁会所」と呼んでいる物件も、もうすぐ完成しようとしている。まだ膜は取り付いていないが、光の効果も期待どおり行きそう。もう少しすればキチンと写真撮影できるので、詳しい話はその時にでも書こうと思う。

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天井の設計に注力している。たいていの場合、天井は設備の縄張りだ。あなたのオフィスの天井を見上げれば、蛍光灯、非常照明、空調の吹き出し口、煙感知器やスピーカー…などが散らばっている事だろう。中国ではこれにスプリンクラーが加わり、現場ではこれらの配置の調整に四苦八苦することになる。

でも、逆にいうと、天井ほど将来的にオリジナルに保たれる部位もない。床は家具やカーペットが置かれるし、念を入れて家具のデザインをコントロールしても、そのさらに上に変なモノが置かれてしまったら元も子もない。壁だって汚れるし、地図やポスターが貼られるかもしれない。…でも、天井をいじくる人はあまりいない。この物件ではそのへんを割り切って、天井>壁>床>家具の順番で重きを置いている。多少変なモノを置かれても、それに負けないような強度を天井に持たせた。

インテリア・デザインでは、通常は家具の設計や選択に注力するのだけれど、これに関して言えばあまり頑張っていない。デザインされたカッコいい家具も良いが、使い慣れた普通の家具、たとえばパイプ椅子と会議用の長机を並べるだけでも、まあいいかと思っている。何せ「頭脳スポーツのための体育館」だ。体育館の設計者が、選手のラケットやシューズに何も言わないのと同様に、使う道具にあれこれ言うべきでないんじゃないか。もちろん、施主から頼まれた場合は、話は別だけれど。

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いよいよオープン

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諸事情により仕事の話はあまり書いてこなかったが、そろそろ書いてもいい頃だろう。

10月18日、磯崎アトリエの担当者として、ここ5年近く取り組んできた中央美術学院の美術館がオープニングを迎える。過去の現場写真を眺めていると、ローカルや職人達との思い出が蘇る。といってもほとんどが怒鳴ったり怒鳴られたりした記憶。今でこそお互い笑って話せるが、まさに悲喜こもごもだった。

書いたスケッチや図面の数は、おそらく数千枚になると思う。数千カ所を検討したのではなく、全ての箇所で何度も試行錯誤したためにとてつもない量になってしまった。
「これ、できる?」
「うん、もちろんできる。簡単だ」
「やっぱりできない」
「なら、こうすればできるはずだ」
「やってみる」
「やっぱりできない」
そんなやり取りを幾度繰り返した事か。ローカルや施工の担当者は、辛抱強く付き合ってくれた…最後は「日本人建築家の仕事は二度とやりたくない」と笑いながら言われたが。

中国を代表する有名大学の付属施設、アートについて理解のある施主。ローカル達にも「こんなに恵まれた仕事は日本でもない、中国の限界を知る一生に一度のチャンスだ。粘れるだけ粘ろう」と言い聞かせ、似たような図面を何度も描き直させた。

しょっちゅう施主の元を訪れ、説得を試みた。粘りすぎて、施主から「東福、お前はよく頑張った。それは分かったから頼むから止めてくれ」とストップが入る事もしばしばだった。とはいえ、理解のある施主であることは確かで、僕の提案はかなり受け入れてもらえた。

正直、構造が上がり始めてからも、この建物は果たして完成するのだろうか?と半信半疑だった。工事がだいぶ進んで内装に入った頃、手持ち無沙汰の職人達がボーッと天井を眺めているのを見て、やっと、これは良い建物になる!という確信を得た。

4年もの間、中国的システムに対して愚痴りながらも、それを心のどこかで楽しんでいた。まあ、そのくらいの気構えでなくてはココでの仕事はできない。来たばかりの頃は、中国の建築生産のシステムが分からずにとまどうばかりだったが、試行錯誤を繰り返すうちに、中国でクオリティーの高い建物を作るコツが掴めてきた気がする。次からはもう少し効率的に仕事ができると信じたい。

いろいろ思い出されるなぁ。

…と、センチメンタルな気分に浸りたい所なのだが、オープニングが終わって一区切り付くまではまだまだ気の抜けない状況が続く。格好悪い家具を発注しないように目を光らせたり、雑誌の取材対応をしたり…まだ仕事は残っている。

つーか、オープニング本当に間に合うの?って状況なんですが…

雑誌発表の状況はこちらで紹介しています。日本の専門誌での発表はもう少し先になりそうです。最も一般向けだと思われるSANKEI EXPRESSの記事はこちら

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計画は壁の上で

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何度か登場させてきたこの写真。flickrに載っけていると、時々「使わせて欲しい」という連絡がくる。

実は2006年から、イギリスの総合建築/都市エンジニアリング・コンサルタント企業、Arup内のプロジェクトチーム"foresight"が編集した教育ツール"Drivers of Change"にも使われている(一気に書いてみたが、長い…)。

教育ツールといっても見た目はただのカードセット。未来の都市/建築/生活にまつわる問題点や疑問が一枚づつカードに分けられ、表には写真と概要が、裏には関連する図表とともに解説されている。企業の戦略立案、ブレインストーミング、研修などの使用のために開発されたとか。ちなみにこの写真は、「アーバニゼーション(都市化)/交通」の項にある。

最新版の"the rainbow set"を1セット送って貰ったが、内容はさすが頭脳集団Arupの面目躍如といったところ。デザインもカッコ良く、企業エグゼクティブの机の上の飾りとしてもグッド(おいおい)。

実物が手元に来ていたのでとっくに売られているものと思っていたが、発売は2009年春からなんだそうで。出版元は(たぶん)スペインのGGことGusutavo Gili社から。

で、カード。

アメリカのサスペンス・ドラマ、例えば24とかプリズン・ブレイクを見ていると、壁の上に写真やらスケッチ、新聞記事、表、などなどを壁一杯に貼って、それらを動かしながら計画を練るシーンがしばしば出てくる。日本でも、「仕事術」系の本では、必ずと言っていいほどカードやポストイットを使った情報整理法が紹介されている。断片的な情報を小さな紙切れに入れ、それらを組み合わせて新しいアイディアを得ようとするのは、そんなに新しい話ではなくて、例えば「知的生産の技術」で梅棹忠夫氏が紹介、1970年代の日本で大ヒットした「京大カード」や「スクラップブック」なんかもそうだろう。

そういや、生前の父親の書斎も新聞の切り抜きやカードで埋め尽くされていた…。並べているのはついぞ見なかったけれど。当時の「知的になりたいヒト」たちはこぞってカードを買い求めていたらしい。

最近のオフィスでは、色んなものが貼れるように、壁を全面コルク貼りとしたような会議室も見かけるようになっている。そんな「紙切れ並べ型」のプロジェクト・スタイルが復活して来ているのは、コンピュータの浸透が大きいんだろうな、なんて思っている。僕だって、今話題のコンピューターと今話題のインターネットを使って、世界の片隅で今話題のデザインをやっている一人だけれど、コンピューターというやつは一覧性に欠けていてどうにも具合が悪い。一度に全部ひろげて見たい時ってあるでしょう?その欲求不満が、オフィスの壁へと向かって行っているのだろう。

いま自分のオフィスには大きな壁はないけれど、ゆくゆくは、なんでも貼れて、なんでも書ける大きな壁が欲しいなと思っている。

いつのことになるやら…

知的生産の技術 (岩波新書)

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中国の真空管アンプ事情

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半年を費やした中国オーディオ調査、今日でひとまず完結、の予定。

アンプとスピーカーが一通り揃い、ホクホクしながら聴いていたら、アンプの調子が悪くなってしまった。どうやら、酷使しすぎたのと、変圧器にトラブルが発生したのが原因のようだ。週末はプロのレコーディング・エンジニアがスピーカーを試聴しに来てくれるというのに…というわけで、今のアンプは今後ゆっくり修理/改造をすることにして、タフな中国製アンプを新たに購入することにした。予算は思い切って2万円。オーディオの値段としては安いかもしれないが、中国では平均月収にも匹敵しようかという大金だ。金銭感覚が中国化している僕にとっては、まさに清水の舞台から飛び降りる思いである。仕事にフィードバックできる可能性も皆無で、自分を納得させる理由も見つからないし。

「世界の工場」中国にとって、作っていないモノなど最早ない。高級オーディオも然りで、だいたい、ケーブル1本にお金持ちが数百万出してしまう利益率の高い世界を、商売に目ざとい中国人が放っておくわけがない。

前にも書いたように、中国ではいまだに真空管を製造している。有名なのは元国営企業の「曙光」、オーディオ専門で成功した「Full Musuc / 天津」、イギリスでチェックする事で高い付加価値をつけている「Golden Dragon」など。電化製品の生産が盛んな中国の南方では真空管アンプも沢山作られている。「AudioSpace」、「Cayin」などは特に有名で、日本にも輸出・販売されている。ただし、中国国内の数倍の価格でね。他にも、日本に代理店を持たないアンプメーカーが乱立している状況のようだ。

アンプメーカーがなぜ乱立するのか、といえば、「基礎技術が低くて済む」というのもあるだろう。高精度のマイクロチップがあるわけでもない。高い工作機械が必要なわけでもないし、クリーンルームだって必要ない。作ってみて、音がイマイチだったらトライ・アンド・エラーで改良してゆけば良い。そして、その作業に必要な人件費は安い。中国は、「そんな高い技術力がなくても、マンパワーをかければなんとかなりそう」な製品にめっぽう強い。このニッキで何度か取り上げた機械式腕時計もそう(「なんとかなって」いない製品もかなりあるが)。自分自身の設計にも、その中国の特性を生かそうと絶えず考えていて、最近の「木とプラスチックのパーティション」もその一つである。

北京の、女人街というところにある「中古電気市場」。薄暗く湿っぽく、そして熱気に満ちているアジアン・バザールの中に、真空管アンプを売る4畳半程度のブースがある。壁にはカラヤンとケニーGのドでかいポスター。店主のオバさんは、その片隅で自作のアクセサリーを売っている。友人達と一緒に、オバさんに片っ端から試聴させてもらい、悩んだ末にこれに決めた。

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EL34という真空管を使ったA級プッシュプルアンプ、1980元(約3万円)。勢いに乗って予算オーバーしてしまった。メーカーはYaland(雅燃)といって、まだ世界展開の途上にあるようだ。余裕を感じるパワー感。造りもしっかりしており、デザインも悪くない。そして、中国では珍しい箱付き・1年の保証書付き!驚いていたら、オバさんに「ウチは正規代理店だからさ!問題あったらいつでも持ってきな!」と自慢された。なんちゅうショボい正規代理店だ…

オバさんは、よく日本人のオジさんが来て、いくつもアンプを買ってゆくよ、と言っていた。オーディオファン/音楽ファンの方、中国ミヤゲに真空管アンプはいかがでしょう。日本で買うより明らかに安い。但し、たっぷり試聴して納得してから買いましょう。

そして、真空管アンプは重い事を忘れずに。買ったアンプは17キロもある。エコノミークラスは20キロまでで、まあ8キロくらいのオーバーなら多めにみてくれるから…事前に計算しておいたほうがいい。

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構想2ヶ月、製作3ヶ月

真空管アンプで挫折してしまったのは今年の春頃。いや、挫折というべきでないな。転進したというべきだな…大本営発表みたいだけれど。

転進先はバミューダ沖ではなく、これ。

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スピーカーの設計・製作だ。スピーカーというのは、ユニット(磁石がついてて電気で震えて音を出す部分)と、エンクロージャー(箱)の2つからなる。そして、その箱の形や素材が、音質に大きな影響を及ぼす。ユニットの方は余程のマニアでなければ作れない精密機器だけれど、箱の方ならなんとかなりそうだ。

「日本スピーカー自作界」は、なかなかに奥が深い。音楽/オーディオ評論家の長岡鉄男氏、という方が最も尊敬されていて、彼は生涯に600種類のスピーカーを設計・製作したという。遺された図面や著作は今でも書店で買える。パーツは、「日本スピーカー自作界のメッカ」こと秋葉原のコイズミ無線に揃っている。日本に帰った時に一度行ったのだけど、仕立ての良いスーツをピシッと着た、会社ではそこそこ高い地位に居るであろうオジサマ達が数人居た。日曜大工がてらスピーカーを組むんだろうか。

長岡大先生の著作を参考に、設計を始めてみると、これがまた結構分かりやすいし楽しい。音を形にするというんだろうか、音の流れや反射を考えながら箱の内部空間を設計するのはなんだか建築的な作業でもあった。職業柄、空間を図面化するのは得意である。生まれて初めて建築をやっていてよかった、と思った。冗談です。

一緒に仕事をしていた内装屋の親方を「内装なんかやっててもこの先儲かんないぞ!スピーカーの箱なんかどうだ!下手すりゃ箱だけで数万元で売れたりするんだぞ!」と、まあ嘘ではないけれど一般的でもない例を引っ張りだしてだま説得し、2種類のエンクロージャーを作ってもらった。「現場がある時についでに作るから」と2ヶ月以上待たされた。

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上の写真はバックロード・ホーンと言うタイプ。中にホーンのような音道を組み込んである。下のものはバスレフというタイプ。作ったばかりの時は中低域がモコモコしてしまっていたが、スタイロフォームの塊を中に入れたり、中のグラスウールの位置を調整するうちに改善されてきた。いろんな人に聴いてもらったけれど、下の方が評判が良い。僕個人は上の奴を気に入っているが、確かに少々クセがある。

まあどちらも、総予算2−3万円で作ったスピーカーの音とは思えないのは確か。そこらのオーディオセットには負けない…と思うんだけど。


世界でただひとつ自分だけの手作りスピーカーをつくる


長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術 基礎編

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今月の草場地

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9月10日から一週間ほど東京へ戻っていた。いくつかの打ち合わせをこなし、いくつかのパーティーに参加し、家族や友人と食事をし、ビザの申請や各種料金を払い込み、北京では買えないガジェットを買い込み、20日から始まるMizuma & One Gallery展覧会の進行状況を見届けるべく北京に舞い戻る。

ジュン・グエン=ハツシバさんの作品。上部に浮かぶ無数のペーパー・オブジェクト(1000個以上あるという)は、ヴェトナムの伝統的な副葬品。お盆の時等に燃やし、黄泉の国の死者へ贈るという。部屋は薄暗くされ、壁は全てブルーに塗られ、まるで海底のよう。床に置かれた鏡面仕上げの地球儀には、覗き窓があり、覗くと、世界地図の上に数字が書かれているのが見える。世界各地で起った天災や大量殺戮の座標・時間がプロットされているという。

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もう一つの作品。これもまたヴェトナムのお盆グッズが参照されている。走馬灯のように、なんて言うけれど、灯籠やら蝋燭に死のイメージを重ね合わせるのは世界共通だ。

力の入った展覧会なので、オープニングに来れなかった方も期間中に足をお運び下さい。

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近くの北京ファインアーツでは名和晃平氏の展覧会。この部屋の設計は迫さんがやったという。東京的な感覚をココまで持ってこれる力量はさすが。

草場地には、オリンピック前までにさらに4−5軒のギャラリーがオープンしている。

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その一つ、リー・スペース。学校を卒業したばっかりの作家/または学生の作品に力を入れている。うねった床を作ってしまうという力の入れようだが、職業柄、細かい所に目がいってしまう。なんか文化祭みたいだよなぁ、と思ったが、ギャラリストの人達の「若手の作品を壁にそのままかけたのでは、もっとみっともない。多少クオリティーは低くてもパワーを感じさせる展示をした方がいい」との話を聞き、なるほどと思う。

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北京空間という新しい画廊のそばで見かけたインスタレーション(?)。雨が降ると面白いことになるかもしれない。

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ジュン・グエン=ハツシバ "The Globe Project in Beijing"展のお知らせ

9月20日(土)より、北京/草場地のMizuma & One Galleryにて、ジュン・グエン=ハツシバ氏による開廊二回目の展覧会"The Globe Project in Beijing"が催されます。私共は、グランドオープニング時に行った内装の設計に引き続き、メイン・ホールを一杯に使った大型インスタレーションに関する技術的なサポートをさせて頂きました。

オープニングレセプションは、9月20日(土)15:00ー17:00に予定されています。東福も現地に居る予定ですので、皆様お誘い合わせの上、是非いらしてください。

詳しくはこちら

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これも終わっちゃってますが。

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入口に掲げられた開幕式のコンセプトドローイング。北京の地図の上に巨大な足跡が点々と…開幕一週間前に完成したばかりとか。

9月2日まで、中国美術館で開催されていた蔡国強"I Want to Believe"展。ニューヨークのグッゲンハイム美術館で行われた個展の巡回に、オリンピック開幕式の花火パフォーマンスを題材にした巨大なドローイングを加えた展覧会。会期が二週間そこそこしかなく、非常に短い。オリンピックにぶつけるためにかなり無理をしたんだろう。

中国美術館は中国でかなり権威ある美術館だが、設備がとても古く、空間も現代美術向きではない。ベニューに問題はあるけれど、展示のヴォリュームはかなりのもので、作品は一度見てみたかったものばかりだった。展示の仕方がちょっと乱暴なのは残念だった。少なくともこの美術館のテカテカの大理石の床はなんとかして欲しい。

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レセプションの模様。一番手前が蔡氏。日本で活動した時代もあり、日本語も堪能…らしい。同行させて頂いた方は、蔡氏とは古い知り合いだったが、それでも簡単な挨拶くらいしかできなかった。だから、僕は未確認。

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その後、東京とNYからいらした美術関係者の方に同行して、北京ダックの有名店「大憧」へ。席が空くのを待っている間は、ダックを焼いている所を見る事ができる。僕はこの店の「白菜と栗のサフランソース」が好きで、これは北京一旨い料理だと思っている。ダックのスープはクセがあり、美味しいものではないけれど、それが栗と白菜と合わさると非常に上品な味になる。この料理を食べている間、皆が無言になってしまうほどの逸品。

北京で食べるならコレですよ。

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サッカー見て来ました

くれーなずーむまちのー。

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ここ数日の北京は、晴天に恵まれている。湿度も下がって非常に過ごしやすく、秋の雰囲気さえ感じる。オリンピックが終われば、一気に秋に突入するんだろう。

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土曜日には、S事務所のHさんに誘って頂いて、オリンピックのサッカー男子を見に行って来た。日本戦ではないけれど、イタリア対ベルギーというカード。「東麻布で彼にサッカーを観させたら右に出るものは居ない」と評判の竹森君から、「なんか、イタリアの10番が注目らしいですよ、メンバーは全然知らない選手ばっかりです」という、特に役に立ちそうもない事前情報を仕入れてから向かった。


(クリックで拡大)

会場は1959年に人民共和国十周年を記念してられた「十大建築」の一つ、工人体育場。十大建築は、共産主義革命の勝利を体現すべく、全てが建設決定から竣工までが一年以内という驚異的なスピードで建設された。だから、設計も大味だし施工も荒い。逆に言えば、「短期間でそれっぽいものを作る」テクニックは随所に見られ、面白い建物とも言える。

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監視員達は等ピッチに並んでおり、どんなに試合が盛り上がろうともずうっと観客席を凝視している。無駄な動きが一切なく、おそらく解放軍から派遣された人達だと思う。

中国人の観戦マナー問題は、日本のメディアで色々報道されているようだ。バドミントンのオグシオ戦での応援を取り上げた夕刊フジの記事。スマッシュのかけ声「シャー!」に「殺」の文字をあてはめ、「殺せ!殺せ!である。とても五輪とは思えない光景だ」と結んでいる。うーん、僕は現地に居た訳ではないし、中国でバドミントンを見た事がある訳ではないので、確かな事は言えないけれど…どうだろう?ちょっぴり飛躍してる「釣り記事」かもしれないなと思う。ローカルにも聞いてみたけれど、それは単なる掛け声じゃない?と苦笑していた。まあ、僕も彼女も、その一方で「でも調子に乗ってやりかねないよな…」、とも思っている訳だけれども。

日本での報道を見ている人達にとっては、中国は何かにつけて日本を敵視している、と思うかもしれないが、僕はそのあたりに少々温度差を感じている。中国はそこまで日本の事を気にしていないのではないか。ほら言うじゃない、「愛の反対は無関心」だって。中国での報道を見ていると、日本はワンオブゼブの外国に過ぎないのではないか、と思えてくる。圧倒的に優位なスポーツの世界なら尚更だ。

とはいえ、サッカーはちょっと違うようだ。中国人はサッカー大好きなのにも関わらず、ナショナルチームは国際的にはイマイチどころか、日本にすら敵わない。そういった苛立ちが中国人観客のマナーをますます悪いものにしているようだ。日本戦では、訳の分からない所でブーイングをしたとかで、親中派の日本人の友人も憤っていた。

中国のサッカーチームに対する苛立ちは報道にも現れているようで、先日は、テレビやラジオで「中国対ブラジル戦を観戦するべきかどうか」という内容で盛り上がっていたそうだ。「どうせ勝てないし、万一勝っても決勝トーナメントに行ける訳じゃないので見なくてよい」とか、「この先ワールドカップもオリンピックも出れないだろうから見ておくべき」とか…。どちらにしても中国人らしい諦観と合理主義だ。残酷と言えば残酷。

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PKで一斉にカメラを向ける観客達。あとで良い写真や映像がメディアで見れるんだから頑張って撮らなくてもいいのに…。という僕も彼らにカメラを向けている。

試合は非常に面白かった。開始20分でベルギーがレッドカードを食らってPKで1点失点。これでイタリアのフルボッコかと思われたが、ベルギーは10人で大健闘。3点を挙げて3ー2で勝利した。

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喜ぶベルギーの選手達。

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バレーボール見て来ました

スポーツ観戦のチケットというのは、大抵そんなものなのかもしれないが、オリンピックのチケットの在処にはかなりのバラツキがあるそうだ。会社の接待用に大量に買い占めた末に大量に余り、さして興味の無い社員に配っている所もあれば、欲しくても手に入らず、ネットオークションで何十倍もの価格で落札している人もいる(なんでも、開会式のチケットは最高で30万元=約450万円で落札されたとか)。ある所にはますます集まり、無い所には全然ないという、収穫逓増の法則がはたらきまくっている。完全な市場経済の国になっているな、中国は。

僕は、人気競技を狙いすぎたせいでチケットの抽選をことごとく逃してしまっていて、いいもんねー、テレビで観るもんねー、路上でマラソン観るもんねー、とイジケて居た。一枚もないので収穫逓増の法則もはたらきようがない。4年前から北京に居るのに一つも観れないなんて寂しすぎるなぁ、人気競技でなくてもいいから、せめて会場の雰囲気は味わいたいよなー、と思っていたところ、友人に「チケット余ったから行く?」と誘われ、二つ返事でOKしてウキウキ行って来た。幸い、スタッフ達には休みを取らせている日だった。

朝、タクシーを広い会場へ。期間中はタクシーが激減しており、なかなか拾えず、近くに並んでいた人と相乗りする。運ちゃんと3人でオリンピックの話をワイワイしつつ向かう。運ちゃんは英語が驚くほど達者で、オリンピック期間中はかなり荒稼ぎしているらしい。昨日はアメリカ人3人を乗せて万里の長城へ連れて行き、600元もらったと自慢していた。彼らも幸福、ワシも幸福、と言っていた。そりゃ幸福だよ、相場の倍ぼったくってるんだもの。

女子バレーボール、ロシア対アルジェリアとブラジル対カザフスタン。全国ウン千万の女子バレーの方達には申し訳ないけれど、どのチームがどのくらい強いか、全く分からない。ルールもイマイチで、リベロというスパイクを打っちゃいけない人が居る、という位の知識しかない。

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会場は、北京理工大学という大学の中の体育館。学生ボランティア達が夏休み返上で観客の誘導に精を出している。「いらっしゃいませ」「こちらへどうぞ」「ご協力ありがとうございます」と、今まで聞いた事も無いくらいの、清く正しく美しい中国語で話しかけられる。誇らしげで爽やかなスマイル。一人っ子政策の影響で自信だけはイッチョマエな大学生ばかり相手をしてきた僕には、驚愕だった。あの小生意気な学生達はどこへ!

やればできるじゃないか、中国!

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大会マスコットと写真を撮るべく、行列をする人々。ボランティアが列を作らせているとはいえ、キチンと並んでいる事に感動。これが一昔前だったら、人々が詰めかけて大混乱、後には傷だらけで泥だらけのキグルミが残されていただろう。

やればできるじゃないか、中国!


(クリックで拡大)

会場。けっこうコジンマリしている。学生ボランティア達は、会場にウェーブを作らせたり、フラッシュを使わないで下さい!と指示したりと忙しい。

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ロシア対アルジェリア。右端に居るロシアのリベロは、確か身長が174センチと言っていた。他の選手がデカイ!2メートル以上の選手が何人も居た。デカイ!とかカワイイ!とか頭小さい!とか、バカ丸出しの解説しかできなくて申し訳ないが、ロシアの選手の方は色の白さで遠目には良く見えるが、実は可愛さで言えばアルジェリアの方が上なのでは?と、試合とは何の関係もない事をユルユルと考えていた。

観客は多くが中国人。中国の試合ではないので、かなりピースフルな雰囲気。同じ旧共産圏だからか、ロシアを応援する姿が目立った。いや、中国はいちおう今も共産圏か。

スパイクが自分の顔に当たったら首がモゲるだろうな…とか、キン肉マンの超人オリンピックのような超人達の戦いを想像していたけれど、端から見ている限りは鼻血か鼻骨骨折くらいで済みそうな感じだった。

試合結果はロシアのストレート勝ち。この日行われた予選6試合のうち、5試合がどちらかのストレート勝ち(日本はキューバにストレート負け)。国によって実力差大きなスポーツなのね。

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ブラジルは、スパイクがフロアに突き刺さる感じで、練習のときから明らかに強そうだった。体格も全く違う。試合が始まっても実力差は歴然。カザフスタンは2セットを連続して落としてフルボッコ状態で、だんだん可哀想に思えて来た頃、自分のすぐ前に座っていた中国人の若者がカザフを応援しはじめた。オリンピック会場には「マナーの良い中国人」を演出する為に仕込みの応援団が用意されているらしいが、彼は両親と見に来ていたので仕込みの可能性は低いと思う。

彼をきっかけに、会場全体はカザフの応援一色になり、ブラジルの応援団が逆に可哀想になるくらいの「加油!カザフ!」の大合唱。当のカザフの選手達もどうして自分たちが応援されているのか分からず、頭の上に大きな「?」が浮かんでいるような状態だった。

中国人のメンタリティーが分かって来た僕の推測では、それはたぶん
・旧共産圏のよしみから
・判官びいき
・中国人は北方の白人女性が好きだから
・折角チケット買ったのに、このまま終わったのではつまらないから
大方そこらへんの理由からだろう。特に最後の可能性が大きい。

とにかく、中国即席応援団のおかげで、第3セット目のカザフはデュースまで持ち込む大健闘。負けてしまったけれども、観客達も満足そうだった。

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セットの間には急遽養成されたチアリーダー達が。いまいち揃っていないのが微笑ましい。

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CG処理…

始まる前から予想された事だけれど、色々噴出してますな。

オリンピックの開会式の花火の空撮映像。その殆どがCG合成だった、というニュースが。今見返してみると、特に発射の瞬間がうさんくさい。あの映像を見ながら、「あれ?北京の上空ってもの凄い航空管制が敷かれてるんじゃなかったっけ?地対空ミサイルで撃墜されないの?」という疑問が一瞬脳裏をかすめたけれど、まさか合成映像とは思わなかった。

オリンピック関連のCGの殆どを製作しているのはクリスタルCG(水晶石数字科技有限公司)という、中国最大のCG制作会社だ。この会社、北京の有名プロジェクトのパースやムービーは殆ど作っているので、建築関係者にはかなり名が通った存在だ。テレビCMなどにも仕事が多く、日本で目にする中国産CGの殆どはこの会社のモノだと思っていい。

とってもとっても儲かっているらしく、空港にデカデカと広告があったりする。また、自社ビルはCCTVの設計でおなじみ、オランダのOMAに設計を依頼しているそうだ。確かにココのCGは格好良く、一度は頼んでみたいなぁ…と思っているけれど…高くて手がでない。せいぜい、この会社から独立して細々とやっているレンダラーに頼むのが関の山だ。

話はそれたが、件の映像も、おそらくクリスタル製だ。

このニュースがウェブ上に出た時、僕が開会式で大興奮していたのを知る人から慰めの言葉(?)を頂いた。

・国威発揚のためにはやむを得ない(ついでに女の子の口パクも)
・レニ・リーフェンシュタールの「オリンピア」だって、市川崑の「東京オリンピック」だって、別撮りだらけじゃん。

って、慰めになってるか?2つ目にいたっては、記録映画であってライブ中継じゃないし…。そもそも僕を慰める意味がよくわからない。

まあでも、有り難うございます。

ちなみに、勘違いしている人が居るみたいだけれど、足形の花火は実際に打ち上げられている。Youtube上にもメイキング映像(の番組?)が上がっていて、準備や練習の様子を見る事ができる。

花火を担当したアーティスト、蔡国強の大規模な個展が、19日から中国美術館で始まる。CG処理は彼の指示ではないだろうけれど、展覧会の前にちょっとミソがついちゃった感じだなぁ…

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始まってしまいましたね

北京のあちらこちらに「オリンピックまであと何日」の表示板がある。最初に来たときは余裕で1000日を超えていたのに…。感慨深いものがある。

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先週末、韓国の設計事務所、IROJEの北京代表の趙さん、松原事務所の勝田さんと飲んでいた時に、来週の開幕式をみんなで見ましょうよ、という話になり、IROJEの事務所を提供してもらって「開幕式を観る会」をすることになった。飲みながら話をしているときには「ロシア人のダンサー雇ってさぁ!」なんて盛り上がっていたのだけれど、自分にモンゴル出張の予定があるのをすっかり忘れていた。その上、出張から戻るなり風邪でダウン…。趙さんと勝田さんに準備の殆どを頼りながらも縮小に縮小を重ね、最終的には「ゆるゆる」でコージーな感じで楽しみましょうよ!という会になった。でもでも、突然の誘いにも関わらず20人くらい集まってくれて、楽しく観る事ができた。皆さん有り難うございました。

2年程前、北京のバーで、開幕式の仕事をしている、というデザイナーと話をした。チャン・イーモウを頂点として、セクション毎に世界各国の演出会社が関わっているんだそうだ。香港出身で、イギリス系の会社を手伝っていた彼女は、どんな内容かはもちろん言えないけれど、歴史に残る凄い開幕式になるわよ、とだけは教えてくれた。

政府高官へのプレゼンが当日になって突然セットされたり、逆に突然キャンセルされたりで、とっても大変そうだった。チャン・イーモウは政府の言う事を良く聞いているわよ、そういった意味でも凄いヒトよ、とも言っていたので、「この部分はあんまり良くないな、後からムリヤリ突っ込んだんだろうなぁ」とか想像しながら開会式を観ていた。中国の仕事、とりわけ政府絡みの仕事は、政府高官からの横槍が度々入り、それに対応するのに膨大なエネルギーを必要とする。いくら国を代表する映画監督と言えど、場所が場所だけに政治圧力と無縁では無かっただろう。それをあの一連の演出にねじ込んでしまうのだから大した力量だ。

しかしまあ、凄い演出だった。北京全体を使ったダイナミックな花火。蔡国強(ツァイ・グオチャン)という人は、20年程前に火薬の爆発を使って万里の長城を延長する、というアースワーク的なパフォーマンスをやったくらいの人なので、デカい事やるだろうなぁとは思っていたけれど、分かっちゃいたけどやっぱり凄い。

エンターテイメントとしても、アートとしても、そしてもちろん、中国自体のプロモーションとしても一級だと思った。中国の数のパワー、テクノロジー、歴史…がいかんなく注ぎ込まれている(しかもお得意のワイヤーアクション付き!)。現代的に洗練されたマス・ゲーム!

このところ、海外メディアの報道内容が単なる中国批判を通り過ぎ、なんでもかんでもネガティブな内容に持って行こうという奇妙なバイアスがかかっている状態が続いていた。中国は問題だらけの国なのは事実で、問題をあげつらえばキリがない。いくら中国の自業自得とはいえ、報道の優先順位に首を傾げる事が多かった。

でも、このセレモニーに関しては、どのメディアもほぼそのまま放送せざるを得ない。中国は、バイアスが解除されるその僅かな一瞬を、最高のアーティスト達を動員してコジ開け、世界の視聴者に直接アピールする事に成功したのではないか。「文化」で革命を起こそうとしたくらいの国だから、アートの持つ力を利用するのはお手の物なのかもしれない。海外メディアの中国報道に対して感じていたモヤモヤが、スカッと晴れたような思いがしたのは、僕が中国人化してきている証拠なのかな?

地域によって格差はもちろんあるけれど、モノの生産に関しては日本の優位性はかなり少なくなって来ているように思う。残るはコンテンツ力だけれど…中国はコンテンツに関してもメキメキと力を付けて来ているのが、このセレモニーからもハッキリと感じられるだろう。日本が、本当に脅威を感じるべきなのはそこだ。毒ギョーザや段ボール肉マンも大事かもしれないけれど、そんなニュースばかりを見るのは、本当の「中国の強さ/怖さ」から目をそむける事にしかならない。中国を敵視するのは自由だけれど、敵なら敵をキッチリと見極めよう。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」だ。

おいおい結局、孫子かよ。

正直、今までは外国の教育を受けている、もしくは外国人である、というだけで仕事ができている所があった。これからは、中国の凄まじい発展をどうキャッチアップしていくか、というのが重要になってくるなぁ。色々考えさせられた。

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誰かの国の選手団が入場するたびに乾杯。すっかり二日酔いになってしまいました…

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のどか

先日、関わった仕事が着工するというので地鎮祭に呼ばれ、5時起きで行った。

敷地についたが、施主はおろか、ロッキングチェアでラジオを聴くオッサンを除いて、誰もいない。祭壇の準備もない。

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のどかだ…。


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唐山と地震と

1500キロも離れた北京で揺れを感じるなんて…想像を絶する。

北京からそう離れていない所に、唐山という都市がある。今から約30年前、ここをマグニチュード7.8の直下型大地震が襲った。犠牲者は発表によると24万人以上、本当はその倍は居たのではないかとの説もある。92%の家屋が倒壊(真偽の程は確かではないが、残った建物の殆どは日本統治下に建てられた物で、そのため当地では日本の建物に対する信頼が厚いと聞いた)。未曾有の大災害であったにも関わらず、中国政府は他国の救援を断り、被害を拡大させた。

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唐山にある「抗震記念館」。「抗日」ではない。

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市内には、震災を受けた工場等がそのまま保存されている場所がある。一部は公園として整備される予定だと言う。

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記念館の中の展示では、中国国内から派遣された救援隊の活躍がヒロイックに描かれていた。中国人民の勝利。非常に政治的な内容だ。何もかもが政治に利用されてしまうというのは中国ではいつもの事で、今回の四川省の大地震とて例外ではない。テレビの特別番組には、本日現地入りした胡錦濤氏が被災地の視察風景や、救援隊の美談がふんだんに織り込まれている。

だからといって日本の報道が偏向してないかというと、そうではないのが悲しい所だ。中国の構造設計に関して、日本の某テレビ局の取材を受けた人の話を伝え聞いたが、「中国ってやっぱり酷いですね」というストーリーありきの取材だったらしい。

僕は、中国で大規模施設の設計経験が豊富とは言えないが、幾つかの例を思い返してみると、中国の耐震設計は日本ほどには綿密ではないものの、案外ちゃんとしている、という印象がある(凄まじい勢いで建設技術が進歩している国なので、最近設計された比較的新しい建物に限定させてもらうけれど)。今回倒壊した建物も、中層までの比較的古い建物が多いようだ。

あまり知られていないようなのでついでに書くが、建物の避難や消火設備に関する法規についても、日本と同等、それどころか日本より厳しい所も散見される。意外かもしれないが建物の身障者対応もかなり厳しい。「中国だったら法規も未整備だろうから、なんとかなるだろう」とナメた図面を持って中国に乗り込み、痛いメに会った僕が言うんだから間違いない。

日本のメディアー日本人自体がそうなのかもしれないが—は、どうしても中国を「民度の低い」、精神的に/文化的に/技術的に立ち遅れた国として見たがる所がある。確かにメチャクチャな所はあるが、本当にそのとおりの国だったら日本にとって何ら脅威ではないだろう。製品の生産量だけではなく、イビツではあるが多方面で凄まじい勢いで発展し、一部では日本を凌駕しつつあるから脅威なのだ。今の日本の中国報道は単なる気休めだ。本当の脅威を見極めてから恐れるべきだ。本当に、案外ちゃんとしてるんだから。あくまで「案外」だけどね。

話がそれたが、政治に利用されやすい大災害においては、迅速かつ最大限の援助を行うのはもちろんだが、チベット問題等の諸問題がウヤムヤにならないよう冷静にウォッチする事も重要だ(チベットの一部は震源から近いにも関わらず、被害状況は未発表の部分が多く、海外メディアも入れないという)。


日本からの救援隊は青川県という場所で活動を開始した模様で、中国のテレビでも大きく報道されている。もちろんこの報道にも政治的な意図があるんだろうが、同じ日本人として素直に誇らしい事で、ぜひ地震国日本のノウハウを生かして活躍して欲しいと思う。

来週には、ある日本人建築家が現地入りするという。また、アーティスト、ロンロン&インリによる写真芸術のギャラリー、三影堂撮影芸術センターでは募金やチャリティーオークションを開催するという。北京に居ながらこれといった活動ができてない僕としては、本当に頭の下がる思いだ。

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第3ターミナル

一週間程日本に戻っています。

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とにかくデカい、の一言に尽きる。なんでも、世界最大の建物なんだそうだ。ノーマンフォスター設計の北京空港第3ターミナル。車寄せのキャノピーのデザインは、錯視のおかげで、ただでさえデカい建物をさらにデカく見せている。

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中は曲面の屋根がひたすら続く大空間。中もやっぱりデカい。

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たいていの空港ターミナルは、出発旅客と到着旅客を効率的にさばくために、到着ロビーの上に出発ロビーが乗っかる構造になっている。そのため、出発ロビーは太陽光が差し込む開放感に溢れた場所にしやすいのに対して、到着ロビーは天井が低く、薄暗い場所となりがちだ。南国の島国に行っても、薄暗い場所で入国審査を受け、薄暗い場所で荷物を探し、怪しげな白タクの勧誘を振り払いながら薄暗いタクシー乗り場からホテルに向かわなければならない。薄暗さのおかげで、初めて訪れる国への期待感よりも不安の方がまさってしまう。

そもそも、海外からやってきたお客さんや、故郷へ帰国してくる人を明るい空間で迎えるのが筋ってもんじゃないか?出発ロビーを利用する時は、やっと帰国できる安心感や、目的地に向かう高揚感がある。出発ロビーは薄暗くたっていいから、上下逆にした方がいいんじゃない?技術的な問題があるのだろうが(たぶん物流やセキュリティーの問題だと思う)、空港を利用するたび、これって何とかならないものなの?と思っていた。

このターミナルでは、出発客は、到着ロビーの上のブリッジを渡って出発ロビーに入る構造になっている。一体的な空間のおかげで、到着ロビーもかなりの開放感がある。大きな敷地をふんだんに使えるからこそ出来る芸当だ。

この第3ターミナル、国内線用のC、オリンピックのチャーター機専用のD、国際線用のEの3つのターミナル(AとBが無いのは第1/2ターミナルと混同しないようにという配慮だそうだ)からなっている。国際線に乗るためにはチェックイン後、さらに3つのターミナルを貫通する電車に乗らなければならない。きっと、搭乗口までの距離も世界一だと思う。ただ、やたらと歩かされる代わりに、長い列に並ぶ事は殆どない。このターミナルが完成するまでは、北京空港の行列を見るたびに憂鬱な気分になっていたが、ましになって安心した。

かわりにますます強く感じるようになったのは成田空港の不便さだ…。滑走路とターミナルの配置が悪いため、飛行機は着陸してからも延々と空港内を走り回る。まるでバスみたいだ。やっと薄暗い到着ロビーに吐き出されても、ホッとする事はできない。まだ家までは3時間もかかるのだから。

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Mizuma & One Gallery

この数カ月取り組んできた北京のギャラリーが、4月26日(土)、ついにオープニングを迎えます。皆様ぜひお誘い合わせの上お越し下さい。

詳しくはこちら

20080504追記:いらして下さった皆様、有り難うございました。

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89万元

聖火リレーがちょっと凄い事になっている件、およびそれに対する周囲の中国人達の反応について…皆さんは興味ある所だろうけれど、それについては改めて書く予定です。そういっていつもサボってしまうんですがね。

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先日紹介した長城近くの敷地に、もう一度行く機会があった。数日しか違わないのに、桃の花が満開になっていた。霧が立ちこめる谷にポツポツと上品なピンク色の花が咲いていて、その向こうに微かに長城が見える。なんとも幻想的だ。赤茶けた山間に広がる幽玄の世界。漢詩に詠まれているのはこういう風景なんだろう。

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そのあと、宴席に呼ばれ、レストランに向かった。固辞するも、強引に上座に座らされる。中国の習慣における上座は、ゲストではなくホスト側が座る…ということはカネを払う人が座るということだ。「あそこって奢る側が座るんでしょ?」なんて我ながら情けない事を言うと、いいからいいから、お前はここでは外人なんだから大丈夫!と言われる。

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出て来たお酒は茅台酒だったが、ちょっとラベルのデザインが違い「国賓 内部特供酒」と書かれている。袋には「89万元(約1300万円)の価値!」と高らかに書かれている。なんでも、政府内部に特別に提供される白酒で、過去、オークションかなにかでその値段がついた事があるんだそうだ。ロマネ・コンティなんてメじゃない。コップにナミナミと注がれ、これで15万元くらいだな、なんて思いながら口をつける。2本空けたので2600万円。外人で良かった。


実際の値段は、一本500元くらいだろうな。

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長城の中身

このほど、ある仕事の敷地を見に行って欲しいと頼まれ、万里の長城の近くへ行った。

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白い車が停まっている辺りが敷地。あいにく敷地からは見えないが、少し距離を取れば奥に万里の長城を望む事ができる。以前紹介した八達嶺なんかは、休日ともなれば凄まじい観光客で溢れかえるが、この辺りの長城はほとんど観光地化されていない。

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敷地から十分も歩けば、その長城に直に触れる事ができるが、なにぶん無名の場所なので人影もまばら、というかゼロに等しく、代わりにリスが沢山居る。道端では養蜂をやっていたりして、のどかな風景だ。

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当たり前だが万里というくらいだから長城はとっても長く、部分によって建造年代も違えば建造方法も違う。この辺りの長城は八達嶺あたりのレンガ造とは違って、花崗岩が使われている。石の刻み方は紫禁城のそれと同じで、観光資源としても貴重なモノだという。この長城に至る道は整備され、将来、修復、公開が行われる予定だという。クライアントは、それを当て込んで敷地の購入に踏み切った。

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その長城。谷底を流れる沢の部分でぶった切れて居るので、断面を見る事ができる。中身は、平たい石を土で固めながら積層させて作られている。しかし、このぶった切れた部分の石、かなりの量になりそうだが一体どこへ行ったのだろう…

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付近の農家の中には、なぜか同様の石を土で塗り固めた外壁の物が散見される。そんなに古い物ではなさそうだ。

え?まじで?いや、まさかね…。だって、世界遺産でしょ?

確たる証拠があるわけではないのであんまり突っ込まないでおくが、材料が建材等に流用されているために長城の破壊が進んでいるというのは本当の話らしい。ローマのコロッセオやパンテオンは、今はレンガむき出しの荒々しい建物だが、建造時は大理石で覆われた美しい建物だった。ところが時代が下ると大理石は剥がされ、砕いて石灰にされ、他の建物に転用されてしまった…そんな話を思い出した。ユネスコ?世界遺産?なんぼのもんじゃーい!てなもんである。

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疑惑はひとまずおくとして、この外壁は味があってなかなかよろしい。

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今は季節的に水は流れていないが、川の護岸も同様の工法で行われている。これも、味気ないコンクリート板を並べるよりずっといい。

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ある農家の居間で食事。以前にも書いたが、長城近くには、このように副業として観光客に料理を提供する民家が多くある。出される料理は農家菜とか、農飯とか呼ばれる。山菜類を含むオカズを、ヒエやアワなどの雑穀を使った素朴な主食とともに食べる。とくに、ギョーザの具のような物をヒエで包んで蒸した饅頭が美味しかった。オカズの味付けは濃いめ。

中国に限らず、食事は都市部に行けば行くほど、米や麺、饅頭類を食べる量が減ってゆく。また、北へ行く程、オカズの味付けは濃くなる。過酷な労働を行う農村部では、エネルギーを多く摂取する必要がある。南方ではサトウキビが育つので糖分を取る事ができるが、北方ではそうはいかず、穀物を多く食べてカロリーを稼ぐ。結果、味の濃いオカズでコメを掻き込む食生活になる(もっと北になるとジャガイモ中心になる)。世界中の宮廷料理や高級料理でコメが出されないのも、我々が高級料理店で御飯をオカワリするのに何となく気が引けるのも同じ理由だ。

「中国通」の人の中には、「中国では御飯は最後にちょっとだけ頼む」のが通の証拠、とでも思ってる人が多いが、それは高級料理の席でのこと。実際の中国人ー特に北方の労働者達ーはコメをよく食べている。まあ僕がそういう人たちの世界にどっぷりと浸かっているだけなんだが。

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天津タクシー観光

長らくご無沙汰してしまいました。

時間が経ってしまい、ウロ覚えになってしまっているが、タクシーのオバちゃんに連れて行ってもらった天津の建築をご紹介。オバちゃんは租界の西洋建築を勧めてきた。租界といえば上海。ご存知の通り上海にも西洋建築が数多く存在していて、正直、天津のモノは規模、質ともにそれらに劣っている点は否めない。ただし、天津の租界の数は上海のそれを上回っており、各国のお国事情を見比べることができ、また上海のように著しく商業化されていないため街の雰囲気がいい。今まで何度か天津を訪れているが、租界以外の地域が中心だったため、街の汚さや建物のクオリティーばかりが目に付いていたけれど…いやあ、なかなかいいところですよ、天津。

途中、「これはフランス風の様式だからココはフランス地区だな」なんて言うと、オバちゃんは「どうして分かるの!!」と驚く。身振り手振りで「屋根がこういう形なのはフランス風」なんて説明すると「凄い!!」しきりと感心している。僕の建築史の知識なんて高が知れているので、はっきりいってマユツバなんだが、褒めてもらえてなんだか嬉しかった。

まずはドイツ租界からイギリス租界へと車で移動してゆく。
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イギリス租界で異彩を放つノッティー(「イボイボ」の意)・ビル。1937年竣工、設計はイタリア人のボネッティとある。近代的なフレームにゴテゴテと過剰な装飾が張り付いている。

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張学良の弟、張学銘が住んでいた家とのこと。


続いて、日本租界に入る。他の国の租界に比べ、こじんまりとした建物が多く見劣りするけれど、溥儀や孫文ゆかりの建物があり、近現代史の息吹を感じることができる。
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日本租界にある、武徳殿。元々は武術の演舞場だったようだが、現在は病院の図書館として使われている。戦前日本において、国家的な様式と認定された「帝冠様式」(上野の国立博物館が代表的)。西洋的な建物に日本風の瓦屋根が乗っかるという「日本は西洋を押さえつけるんだぞ」的な様式で、これが日本租界の入口に鎮座している。

話はそれるが、近くにはつい最近場所を変えてオープンした伊勢丹がある。オバちゃんの話によるとオープン日には支配人までが入口に立ち、客を出迎えたというが、これが中国人を喫驚させたそうだ。これは良い効果を生んだ例のようだが、中国では、「偉い人は偉ぶらなければならない」という事も一方ではあるんだそうだ。例えば、日系の企業の中国工場では経験豊かな工場長が日本から派遣されて来る。そういったベテランの方々が自ら率先して掃除や片付けをしたりすると、中国人は「偉い人は偉い人なりの仕事をするべきだ」と困惑してしまうのだという。中国ビジネスは本当に難しい。

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清朝の崩壊から満州国での即位までの2年間程、溥儀の居城であった静園。孫文も一時期滞在していたという。抑制の効いた、美しい建物だが、変な写真でごめんなさい。数年前に大規模な修復工事を終え、この建物は公開されている。仕事の合間だと、開館時に訪れるのは難しいな…。

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他の租界とは比べ物にならないくらい整然としたイタリア租界。都市計画もカッチリとされ、清潔感があふれる。ファシズム期の近代様式の住宅が可愛らしく並んでいて、さながら戦前のイタリアの住宅展示場のよう(もちろん、戦前にはそんなものはない)。洋館を買う予定の方、ココが一番オススメですよ!(笑)

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入口に建つ銀行は、イタリア・ファシズム期の新古典主義建築特有のレリーフを持つ。

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地区中央のロータリーの角には、鐘楼のようにデザインされたバルコニーを持つ建物が対で建っている。

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イタリアレストランが入っていたりする。一部区画は商業地化が進んでいるようだが、この地域は閑静そのもの。

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続いてフランス租界も訪れたのだが、日没になってしまい、良い写真がないです…

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和諧号

日/月曜と、天津/上海へ出張。日曜夜に待ち合わせの予定だったので、ちょっと早めに北京を出て、天津の街を廻ってみようと思い立った。日曜日だし、ちょっとくらい観光したってバチはあたらないでしょう!と。天津には2・3回行っているが、いずれも車に便乗し(というより拉致られ)ていたため、電車で行くのは初めて。さらには一人で電車に乗るのも実は初めて。

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北京駅。建国十周年を記念して建てられた十大建築の一つ。工事期間は8ヶ月弱、設計を含めても1年足らずで完成した驚異のスピード建築だ。共産主義革命パワーによって成し得た、ということになっている。共産中国も最初の数年間は、素晴らしく運営されていたらしい。数千年もの間、汚職まみれの政治に耐えて来た人々には、夢の社会が到来したように感じられたことだろう。ユートピアへの熱狂が現場に満ちていたのだろうと想像する。

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春節前なのでかなりの混雑。荷物のX線チェックを受けて入る。機械に通しているだけの素通り状態。ホールは、なにか懐かしいような、賑わっているのにどことなく物悲しいような。東京で言えば一昔前の上野駅のような雰囲気。

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このシャンデリアは十大建築に共通した装飾。中華風でもあり、古典主義風でもある。

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コンコース。出発の30分前に改札が開き、ホームへと出られるようになる。コンコースは待ち合いも兼ねていて、座り込んで待つ人、通り過ぎる人でごった返している。発車前に改札が開くシステムは中国独自のものだと思っていたけれど、小津安二郎の「東京物語」に似た描写があった。日本も昔は同じだったんだね。

しっかし、日本の新幹線の運行システムは凄い。数分おきに超特急をバンバン発車させてるのに、大事故を殆ど起こしていないなんてとても信じられない。

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押し合いへし合い改札を通り、ホームへドヤドヤと降りる。怒号ーといっても本人達は普通に喋っているみたいだがーが飛び交う。

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「日本企業から東北新幹線「はやて」の技術提供を受け、吸収した上で中国が独自に開発した」という<(突っ込みどころ満載の)中国オリジナル>新幹線「和諧号」。内部の作りまで含めて日本の新幹線そっくりで、日本人にとっては勝手知ったる感じでとても快適だ。LED表示の位置まで全く同じで、一瞬、新幹線に乗っているのかと錯覚するほど。途中、165キロくらいは出し、北京ー天津間を1時間強でつなぐ。車両のポテンシャルとしては300キロまでいけるらしいが、頼むからそんなに出さないで欲しい。

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そのハイテク車両の向かい側に止まっているのは古色蒼然とした(古式ゆかしいとも言える)車両。煙が立ち上る。

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天津駅についた…はずなのだが、何かがおかしい。大都市天津にしてはあまりにもみすぼらしい駅舎。よく見ると「臨時駅」と書いてあり、聞くと天津駅は大改装工事の真っ最中で使えないのだそうだ。ホテルまでブラブラ歩いていこうと思っていたが、全然違う所に着いてしまったのでタクシーを利用するしかない。中国の場合、地方都市に行けば行くほど規律がゆるみ、悪どい事を考えるタクシーが増えてゆく。その場合の対処方法もあるにはあるのだけれど、いちいち怒ってみせたりするのは面倒なので、見るからに人の好さそうなオバちゃんが運転しているタクシーを選ぶ。管理されたタクシー乗り場で並んでいると運転手は選べないけれど、駅前のカオスのお陰で、よりどりみどりだ。

早めに出たとはいえもう4時近く。観光スポットは夕方には閉まってしまう。「夜まで時間が沢山ある。私は建築師なので、天津の建物を見て回りたい。あなたが思う良い建物に連れてってくれい!」とカタコトの中国語で伝えた。

次回は、そのオバちゃんのセレクトした建物を紹介。

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中国本

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期待と不安に満ちた北京オリンピック。過去、これほど愛憎入り交じった感情と共に日本人から眺められたオリンピックも無かったのではないか。

迫り来る北京五輪をにらみ、日本では中国関連本が凄まじい勢いで出版されているが、殆どの論調は中国脅威論と中国期待論、そのいずれかだ。暗い面に目を向ければ明るい面が露光過多で吹っ飛んでしまい、明るい面に目がくらむと暗い面は見えて来ない。政治経済の面でも、文化の面でも、現代中国は文字通りコントラストが強すぎる。「中」がない。自らを「中」国と名乗り、思想的にも「中」庸を美徳とする国を語る本であるにも関わらず、だ。

脅威論も期待論も、両方とも目を通すことを心がけているけれども、脅威論の方はひたすら読者の不安をあおりまくるし、一方はこちらが心配になってくるくらい楽観的だし…どっちを読んでいてもシラケてきてしまう。

一般に「悲観論好き」と言われる日本人相手には、本来は不安を煽るタイトルの方が売れるはずだ。ただ、中国本を買う人の中には、中国と関係してビジネスをやろうとしている人も多く、こちらのターゲットも押さえておきたい…そんな出版側の都合が、両極端な状況の一因となっているのだろうと思う。

中国が世界をメチャクチャにする
"China Shakes The World"という原題がこのような邦題になる所に、出版社の戦略が見えかくれする。中国が米国やヨーロッパの中流階級の仕事を奪っていく。同時期に読んだ「フラット化する世界」では、情報網の発達で起こるインドや中国へのアウトソーシングを賞賛していたけれど、見方を変えればこうも変わるのかと感心した。

中国でつくる―松原弘典の建築
北京で活動する建築家、松原弘典氏の作品集。豊富なテキスト。特に日中関係についての冷静かつ前向きな見方は、溜飲が下がる思いで読んだ。

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UCCA

もう1ヶ月も前の話でごめんなさい。

11月の初めに、798芸術区にUCCA [Ullens Center for Contemporary Art]がオープンした。ガイ・ユーレンス卿(男爵)は中国の現代美術の有力なコレクター。2000点に及ぶという彼のコレクションを展示する大規模な美術館である。入場料30元。月曜休。

798の画廊たちが如何に大きいとは言え、700〜800平米前後のものが殆どだ。その中心に突如出現した8000㎡の美術館。北京のアートシーンの盛り上がりは頂点に達したと言えるだろう。この美術館の設立の話は、2年前からずっと噂になっていた。やっと、という感じ。

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2年前の日記に、改装前の同じ場所を撮った写真があるので、見比べてみてほしい(5〜8枚目)。古い(ある意味味があった)工場のインテリアは全て白く塗りつぶされ、完全な西欧型の美術館へと改装された。「西欧の美術のあり方をそのまま中国に押し付けるコロニアリズムだ」との批判もあるし、「こういった西欧型美術館も一つは必要だ」との同調意見もあるそうだ。

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一応、という感じで残された既存の機械。

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現在やっている展覧会は中国の現代アートを俯瞰するもの。1985年から中国の現代美術は始まった、という態度は、館長の费大为[Fei Dawei]氏の持論だそうだが、この点についてはいろいろと議論があるらしい。

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先日の日記でも触れた徐冰[Xu Bing]の作品がメインスペースに展示されている。

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中国の実験芸術の第一人者、呂勝中[Liu ShengZhong]の作品「招魂堂」。もともと中央美術学院の民間芸術の教授だった美術家で、中国の伝統的な切紙、特に「小紅人」と呼ばれるヒト形を表現に使う。この作品は元々、1990年に中央美術学院内の彼のスタジオで行われたインスタレーションだが、部屋丸ごとが忠実に再現されている。

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オープニングの規模も北京では類を見ない規模だった。プレスオープニング、招待客800人の晩餐会、本オープニング、招待客1500人のパーティ…と二日間に渡って行われた。最後のパーティはモエ・エ・シャンドンがスポンサーで、シャンパン飲み放題だった。100人くらいのウェイターたちが注ぎまくる。

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中央がボディガードに守られたユーレンス夫妻。

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パーティのドレスコードは「グラマラス」だそうで、その解釈に悩んだ。英語ネイティブの友人によると「グラマラス?聞いた事ないわねぇ。私はタキシードだと思う」との事。また、日本人の友人たちからは「吉本の芸人みたいに大きな蝶ネクタイしてくんじゃない?」とか「それに金ラメのジャケットを合わせれば完璧!」「それは確かにグラマラスだ!!」など、非常に親身になったアドバイスを頂いた。まあ僕もダテに3年以上も中国に居る訳じゃない。どんなドレスコードを課そうとも、多くの中国人客はジーンズ姿で現れるであろう事は容易に想像できた。でも、僕までジーンズ姿で行ってしまうと完全に中国人にとけ込んでしまう。外国人としてのプライド(?)を死守すべく、シャツとネクタイだけはして行った。

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会場で行われたパフォーマンス。

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ネツケ

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ご無沙汰してしまいました。仕事が区切りを迎えており、忙しい毎日です。

秀水市場という北京のオミヤゲマーケットで見つけた小さな木彫りの彫刻。獅子(もしくは犬)の顔やシッポが長さ5センチくらいの楕円形のボディに刻み込まれている。足はない。どことなく可愛らしくもあり、フリークス的なオドロオドロしさもある。そんなデザインのものを選んだ。

完成度は遠く及ばないものの、日本の根付(ネツケ)と呼ばれる伝統工芸品に似ている。根付とは、キセルや印籠を帯に留めるための留め具のようなもの。粋でユーモラスな意匠が施されたものが多く、蒐集家も多いそうだ。江戸時代の携帯ストラップ的存在とも言える(漫画「ギャラリーフェイク」のウケウリで恐縮です)。

この中国版根付も、胸の部分に穴が明いていて、紐を通す事ができる。これが果たして中国の伝統的な小物か、オミヤゲ用に作ったものなのかは不明。店頭でのバリエーションの多さ(一つとして同じものがない)や、彫刻の線のクセ、木目への気の使い方などから、装飾家具の指物師が、余った材料を使って手すさびに作ったものなのではないかと推測する。ついでに売ってお小遣いを稼いでいるのではないか。

まあ、紐を買って来て、携帯ストラップとして使ってみよう。

売り子が提示した値段は95元(約1500円)、それを30元(約500円)まで値切った。これはかなり頑張ったぞ!と思い、中国人に「これいくらだと思う?」と自信たっぷりに聞いてみたところ、「うーん、15元くらい?」とか「俺は10元以上は出さないな」なんて答えが返って来た。完全な外国人価格で買ってしまった。いや、外国人だから仕方ないんだけれども、中国人との交渉はかなりできるようになって来たなと自信を深めていたところだったのでちょっと悔しい。まだまだ修行が必要だな。

買った秀水市場は、観光スポットとして有名で、いつも外国人であふれ返っている。売り子には、英語、韓国語、日本語、ロシア語を流暢に話す子が少なくない。ブランド品のニセモノが横行しており、当局が何度も引き締めを図っているが、そこはシタタカな中国人、ハイそうですかとなる訳はなく、店はあの手この手を駆使してニセモノを販売している。ブランドに詳しい女性に聞くと、ココで売っているコピー品は所詮はB級品で、もっと品質の良いものはアンダーグラウンドで流通しているらしい。ここは元々はシルクの市場だったので、シノワズリーなジャケットやシャツ、スカーフなどを買うのが良いと思う。可愛い柄のものが沢山ある。

ギャラリーフェイク (5)

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難しい漢字#2

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ビァン!

以前紹介した、中国最難漢字と思われる「ビァンビァン麺」の「ビァン」の字。

中国人のスタッフに、難漢字に関する面白いページ(正確にはブログのエントリー)を教えてもらった。インターネット投票による難読漢字ランキングである。画像を転載するのもなんなので、どうぞリンク先をご覧ください。

1位はやたらと頭でっかちな恐ろしげな字。「悪魔払い」というような意味があるそうだ。

2位は「ビァン」がランクイン。

3位はクネクネと這いずりまわる一筆書きの字。なんでも、「一」を崩した字だという。一番簡単なはずの漢字がとっても難しくなっているんですけど…

以下21位まで、ドクドクしいながらも遊び心溢れる字が続いてゆく。

既存の字を組み合わせる事で新しい字、そしてコンセプトを生み出してゆく。漢字文化圏とはそういう「合体モノ」の文化圏なのかもしれない。中国皇帝の象徴である龍は、「角は鹿、頭は駱駝、眼は鬼あるいは兎、体は大蛇、腹は蜃もしくは蛟、背中の鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛にそれぞれ似る」という。ある中国人は、これこそが多民族を呑み込み、同化させてきた中国の象徴だと言っていた。西洋人が物事を構造的に見直すことで新しいアイディアを得ようとするのとは対照的に、漢字文化圏の人たちは、既存のアイディアを組み合わせて新しいアイディアを得るのが得意なのかもしれない。そこらに居る動物達を組み合わせることで想像上の動物のイメージを生んだように。

コンセプチュアル・アートとか、ニューラル・ネットワークみたいな言葉を一つの漢字にしたらどんな風になるんだろう、なんて空想する。

80年代~90年代にかけ、中国から日本経由で世界へ出て行ったアーティストとしては蔡国強氏が有名だが、それと並ぶ美術家に徐冰[Xu Bing]という人が居る。漢字を通して、表音文字文化圏と表意文字文化圏、あるいは、西洋と東洋の断絶を浮き彫りにする、そんな作家だ。

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798で買った"Square Word"という本の表紙。よく見ると"Square""Word"がそれぞれ一字に纏められている。この本はその"Square Word"で英文を書くための手引書の体裁をとっており、これに従えば、どんな英単語も漢字風に表記できる(はずだ)。もちろん中の文章も"Square Word"で書かれていて、"international"だとか"calligraphy"なんて字は大変なことになっている。一つ一つの漢字(あるいは英単語)を判読していくのが楽しい。

The Art of Xu Bing
この本の表紙は"Xu Bing"。読めますか?

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1ま~い、2ま~い

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以前の事。

北京から日本にもどり、職場に顔を出したら、「何、また新しいガジェットを買いに戻ってきたの?」とからかわれた。確かに、その時のカバンの中にはノートパソコン、デジカメ2台、携帯2台、電子手帳、iPodにPSPやらがギシギシと詰め込まれていた。でも、本人としては仕事に必要だから!と購入したモノばかりだ。いや、正直、ちょっと必要ないものも含まれているけれどね…仕事に全く使えないとは言いきれない!モノばかりだ。力強く言ってみても苦しいな。

ところで、夜、眠れないとき(僕は滅多にないけれど)や、電車の中で手持ちぶさたな時、皆さんは何を考えているだろうか。僕は、部屋の中やカバンの中の液晶画面の数をボーっと数えていることがある。ケータイで1ま~い、ノートパソコンで2ま~い、iPodで3ま~い…まるで四谷怪談のお岩さんのように数えていく。すると、結構あるのに驚く。たとえ、ローテク自然生活を実践している最先端ネイチャー人間だって、電卓やビデオの表示くらいは液晶やLED表示になっているだろう。

逆に、入力装置の方はどうだろう。部屋の電灯のスイッチだって立派な入力デバイスだ。携帯だって15コくらいのボタンがついている。電話、電卓、キーボード、テレビやエアコンのリモコン…挑戦した事はないが、たぶんかなりの数になるはずだ(ココで全て数えてみせないのが、このニッキの中途半端なところ)。

目覚まし時計を止めるボタンを押し、時間を確認する所から始まる、電話のボタンやパソコンのキーボードを乱打する一日。現代人はそうやって機械とコミュニケーションしながら生活している。ひょっとしたら、人間とコミュニケートしている時間より長いかもしれない。

豊かになればなるほど、家の中に表示器とボタンが増殖してゆく。文明化とは、生活の中にこれらが増えていく事なのかもしれない。為替相場の妥当性を表す「ビッグマック指数」「スターバックスラテ指数」なんてのがあるが、文明度を表す「ボタン指数」や「液晶指数」を提案したいところだ。

デザイナーが行っている努力は、そういったボタン類や表示類を整理して、洗練させている作業だ。「デザイン家電」と呼ばれるものは「えっ!スイッチどこ?」的な驚きを売りにしているものが多い。かくいう僕も、担当物件に顔を出そうとするボタンと日々格闘している…

情報の文明学 (中公文庫)

本文とは直接関係ないけれど、この本を思い出した。40年前に書かれ、今でも新鮮さを失わない予言書。読みやすい本なのでぜひ。

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リンクした

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ついに「リンク」した。

以前にも紹介したスティーブン・ホール設計の高級住宅物件"Linked Hybrid"(物件名は「当代Moma」)。写真家の木田さんからブリッジ部分のリフトアップが始まったとの話を聞き、担当者のHさんの御厚意で現場を見学させて頂いた。ブリッジの殆どは地面で組み立てられ、ジャッキを用いて上まで引き上げられて固定される。コンピューターで制御しながら、1分間に約30センチづつ上げていくという。

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数週間で9本ある橋全てが架かる予定だそうだ。普段地味な工事現場の、祝祭的な瞬間だ。デヴェロッパーがもっと盛り上げれば、絶好のプロモーションの機会なのに…と思った。まあ、部屋のほとんどは売り切れているそうなので、今更プロモーションする必要もない、ということかもしれない。

ちょっと技術的な事に触れさせてもらう。同業者の方は、このブリッジの設計が技術的にいかに大変か、想像できると思う。ビルというのは、風や地震の影響で、一つ一つが勝手にフラフラと動き続けているので、タワー同士の距離も変わり続けている。そこにシッカリと橋をかけてしまうと、重いタワーが動こうとする力が橋に集中し、橋は崩れ落ちてしまう。だから、橋は固定せず、「乗っかっている」イメージの設計にする必要があり、橋の周囲には「動きシロ」が必要になる。橋が自由に動きながらも、隙間風が吹き込まないように、雨が漏らないように、そして何よりそれが見苦しくならないようにするのが難しい。こういう部分を「エキスパンション・ジョイント」と言って、この物件では50センチの「動きシロ」を見ているそうだ。自分の部屋のローカが前後左右に50センチフラフラ動く事を想像してもらえば、その設計が面倒なことが分かってもらえると思う。

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モンゴルなめんな

国慶節。ローカルたちはお休み中だが、僕だけは出勤。時折現場から質問が飛んでくる以外、オフィスは静か。仕事がはかどる。

先週末、2年ぶりに内モンゴルへ行った。最近大相撲関係で何かと話題になったモンゴル国(中華的にいえば外モンゴル)ではない。中国の内モンゴル自治区のオルドスという都市だ。

モンゴルというと、タイソウな奥地を想像する方が多いかもしれないが、実際は、区域内に入るだけなら北京からそう遠くなく、飛行機で1時間足らずで省都フフホトに着くことができる(ただし、内モンゴル自治区全体はモンゴル国を取り囲むように東西に細長く伸びているため、北京から西端までの距離は福岡までのそれとそう変わらない)。また、資源にも恵まれ、産業も発達している。羊毛をはじめとした繊維業、農業、鉱業があり、一人当たりのGDPは北京や上海などの沿岸部の都市に匹敵するという。

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中秋節とゲッペイと

今日は中秋節の前日ということで、例によって月餅があちらこちらから届いている。今年は3箱で計30個くらい。頂けるのは有難いんだけど、こんなにもらっても食べきれないよ…毎年半分以上はダメにしてしまっている。箱を開ける気にすらならない。日本の年末に飛び交うカレンダーと似た感じだが、こちらは食べ物だけに始末が悪い。

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過剰包装の極致。

今日は中秋節を祝って施主、現場、ローカルとの食事会だった。どの道も大渋滞で、タクシーが使い物にならない。仕方なく降りてレストランまで歩く。食事中は乾杯合戦。居る人間のすべての組み合わせで杯を干しあう感じだ。16人いたら、一人一人と15回。そしてゼネコン全員と1回、施工管理全員と1回、施主全員と1回、出席者全員で1回…合計19回のイッキ飲み。「毎年コレで日本人駐在員が2・3人、急性アル中で亡くなってるんだよ」との牽制もむなしく、結局飲まされる。

明日から、国際交流基金主催の展覧会が798で開幕する。ギャラリー3つを使った大規模なもので、参加する作家も有名どころ。作家さんの4分の3ほどは来中して設営を行っているとの事だ。先週行われた北京アートフェアや、他の日中国交正常化30周年記念イベントとの相乗効果で、日本の美術、ファッション、デザイン関係者が北京に勢ぞろいした印象だ。テレビや雑誌で見知った顔が北京の工場の中をゾロゾロ歩いている…ちょっと面白い風景だった。

本日、プレス向けオープニングが開かれ、展覧会を覗かせてもらった。中国で、空間を贅沢に使った展示ばかり見てきた目には、少々詰め込み過ぎに感じられた。まあ、中国に於ける初めての大規模な日本展なのだから、これくらい網羅的な展示をした方が良いという判断なのだろう。展覧会の模様は、様々な媒体で紹介されると思うので、そちらを御参照下さい。

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今、798で一番注目されている展示は、Continuaのアニッシュ・カプーア展。まさしく「空間を贅沢に使った」展示の極致で、大空間全体を使った巨大なインスタレーションがある。おそらく、カプーア作品の中ではテート・モダンのタービン・ホールで行われたインスタレーションに次ぐ規模だと思う。

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会場全体に渦巻上の経路、兼「風道」が作られている。中央上部に換気口があり、そこから静かに空気が吸い出されている。入口から換気口へと流れる空気は、会場全体に見えない空気の渦を作り出す。唯一、そのスパイラル状の流れを可視化しているのは中央から立ち上る霧だ。霧の竜巻に手を触れると、たちまち文字通り「霧散」してしまうが、10秒程で元に戻る。この手で自然を操るような、そんな体験がある。簡単な「機構」で、未知の「気候」を会場内に作り出す手腕は流石の一言だ。必見。

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もう一つ、大がかりなビデオ・インスタレーション作品が草場地のUniversalstudios-Beijingで展示されている。邱黯雄[Qiu Anxiong]の作品。入口は古い列車の中に直結している。すべての車窓には、近代中国の事件をまとめたビデオが繰り返し流されている。列車を降りると、真っ暗な倉庫の中に列車が置かれているのが分かる。つーか、この電車どこから入れたのよ!

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(写真がブレブレですみません)

日本でこんな大規模な展示が行われたらちょっとした事件である。少なくとも雑誌やテレビが放っておかない。こんな展示がサラリと行われているのが今の中国なのだ。

観た人に印象を聞くと、「日本人は、文化の中心は日本だと思っている所があるけれど、それが滑稽な事がよく分かるよね。完全に置いていかれてるもの!そして、追いつくのも不可能。中国の方がスピードが速いもの!」なんて答えが返ってきた。もちろん「そうそう長くは続かないでしょう」という冷静な意見もある。でも、このムーブメントが一過性のもので、やがて消えて無くなる砂上の楼閣だとしても、やった事実は記憶や体験として残る。残ってしまう。以前にも書いたけれど、その本質がどんなものであったにせよ、リニアモーターカーを作り/走らせた事実、有人宇宙飛行を成功させた事実は残り、次世代を準備することだろう…

月餅を頬張りながら、そんな事を考えていた。(結局食べてる)

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天壇

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本日から東京へ4日間ほど帰国します。バタバタとした帰国になりそうです。

ソフトのテストもかねて、天壇の映像と写真を。トップページにはうまく載せられないので動画は「続きを読む」の後に。

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iPodなの?

新しいiPodが発表され、さぞ日本では盛り上がっている事だろう。正直、僕も欲しい、というか触ってみたい。誰か買って触らせて下さい。

その盛り上がりに合わせて、というかその盛り上がりをよそに?、今日は中国製iPodモドキの話題を。

Engadgetのこんな記事こんな記事を読んで、中華コピーが存在しているのは知っていた。しかし、昨今は当局の取り締まりも厳しいらしく、いくら中国といえどもそんじょそこらで堂々と売られている訳ではない。こういうモノは秋葉原とかの方が手に入りやすいのかもなぁ、なんて思っていた矢先、某市場の売り子が弄っているのを発見してしまった。遠目に見ても、禍々しいオーラを放っていた。

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表面の仕上げはほぼ同じだが、止せばいいのにリンゴマークと「iPod」の文字がプリントされている。なんという脱力感。

触らせてもらうと、中国らしく、機能は色々と詰め込まれていた。スピーカー/マイク内蔵、動画対応(ファイルは良く分からない形式)、画像対応…等々。中には、カメラやFMチューナーを内蔵しているモデルもあった。もちろん、全部の機能がキチンと動くかどうかは分からない。電源を入れると、リンゴマークと「iPod」のロゴが出、ごくごく普通の(というか安っぽい)MP3プレーヤーが起動する。だからたぶんAACには対応してないしiTunesと同期するのも無理っぽい。農民を集めて組み上げさせたような製品なので、品質は到底期待できない。話のネタ程度にしかならないオモチャだと思った方が良い。

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ケースはこんな感じ。「肉薄感」がある。薄く感じるという意味じゃなくて「本物に肉薄している」感がある。「ニクウス」じゃなくて「ニクハク」だ。しつこいか。

価格は自称8GBモデルが500元(8000円)、自称1GBモデルが100元。売り子の言い値なので、交渉すればおそらく200元(3000円)、70元(1000円)程度には下がるだろう。

余談だが、こちらの記事によると、中国で一番売れているMP3プレーヤーは「魅族」のモノなんだそうだ。価格はほぼ同じ容量の(旧)iPod nanoの半分くらいで、FMチューナーやら動画にも対応した全部入りモデル。デザインもiPodを多少引きずっているがカッコよく、米国などでも人気があるらしい。

なぜこのようなコピー製品が中華圏に蔓延るのか。まだ発展途上だから、という説明もありうるだろう。確かに戦後日本のモノ作りが、精密機器だったらドイツやスイス製、クルマや家電製品だったらアメリカ製、バイクだったらイギリス製…そういった海外製品のコピーから出発した点は否定できない。でも、それでは経済的に十分発展している台湾や香港で、今だにコピー産業が盛んな事が説明できない。まだ台湾は発展段階なの?

ある中国人は「ノー・コンフィデンス」、つまり自信がないんだよ、という一言で片づけていた。そうかもしれないけれど、いつも自信満々の中国人を見ている僕としてはそれが全てとは思えない。

あるフランス人は「中国人は構造主義的な考え方ができない」と言っていた。つまり、良いデザインなり製品なりが、なぜ良いのかを根本的に問い直して要素を抽出することができない、という事だ。そりゃあ、貴方の国では構造主義はお家芸でしょうけど、構造的に考える事が創造行為の全てでもないでしょう。中国人に対する差別意識が見え隠れしていて、どうしても同じアジア人として反発を感じてしまう。中国人が構造的な考え方ができない民族だったら、どうして「構造的に面白い製品」を面白いと感じる事ができるのだろうか。良いと思ったからこそコピーしようとするのではないか。

僕は、アジアでコピーばかりが作られている現状を分析する事を通して、逆にアジアらしいデザインができるのではないかと考えている。だから中国のコピー製品には非常に興味がある。リサーチというには程遠い段階だけれども、おいおいココにも思うところを書いていきたい。

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オリンピック一年前の雑感

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8月8日の空。オリンピックだけに「国際」を切り取ってみた。

北京オリンピックまであと1年となったそうだ。様々なイベントが行われたようだ。1年前の北京の様子を取材するために各国のメディアが上陸中だという。東京オリンピックの前年もこんな熱気だったのだろうか、なんて考える。

ここのところ、北京は雨ーというより雷雨―が続いていたのだが、8日は突然晴れ上がった。北京のこの時期は雨が多い季節で、オリンピック当日も雨の可能性が高い。北京は日本の諸都市のように水道関係のインフラが整備されていないので、ミサイルを雲に発射して雨を降らせる事をやる。開幕式にはこの技術を逆に利用して、会場の周辺だけ晴れの状態を作り出す作戦が進行中だという。自然まで制御しようという中華的な発想だ。日本人だったら会場に屋根を作る事を優先させただろう。「鳥の巣」にも開閉式の屋根は計画されていたが、技術的な問題と予算の関係で中止になったそうだ。

北京には数々の著名建築家による注目プロジェクトが進行中であるけれど、その殆どが中国的であることから切り離れている。大きくても、やはり外国人のデザインが建っているなぁ、という印象だ。ところが「鳥の巣」の工事現場の前に立って感じるのは、この建物が多分に中国的であるということだ。どんなベテラン設計者を案内しても、みんな車の窓に齧りついて見ている。前にもココに書いたけれど、自己顕示欲の発露とすさまじいエネルギーの蕩尽、もっとはっきりいえば「ムダ」感を放射している。万里の長城のそれに通じるものがある。

中国人のデザイナーにその話をしたら、「でもそれってネガティブだよね?」と言われた。ネガティブな言い方かもしれない。ただ、長城やピラミッドと同様、この建物も歴史に残るオーラを放っている。やっぱムダなものが歴史に残るんだろうなぁ、そんな事を考えさせられる――僕が合理的であることに汲々としている横を、あっさりと抜き去られた気分だ。中国人は近代の合理精神を突き抜けて行ってしまったのかもしれない。

食品問題、衛生問題、マナーの悪さなどを取り上げて、「本当に北京でオリンピックは出来るのか」というような論調が目立つ。僕は中国で仕事をしている身なので、中国にシンパシーを感じている分を割り引いて聞いてほしいが、やっぱり中国人は成功させるだろうと思う。何をやるにしても「帳尻を合わせる」事が得意な人たちだからだ。

政治にしてもそう。これはある日本の方の意見なのだが、日本は官僚が政治をやってる国だから全ての面で整合性を取ろうとする。対して中国では細かい事には目をつむり、大崩壊させないようにファジイにコントロールしてゆく…とても納得がいった。現代中国のドタバタは、絶えず帳尻を合わせ続けているプロセスなのかもしれない。胴体着陸くらいはするかもしれないが、墜落はしないだろう/問題は起こるが、社会が大崩壊することはないだろう…人と政府との間に、そんな奇妙な信頼関係がある。

僕のやってる仕事も、帳尻合わないかな…

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8月9日の空。滅多にない快晴。

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これからはサンヨーです

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新しいカメラを買い、北京に来る友人に持ってきてもらった。サンヨーのXactiという、動画に特化したデジカメだ。まあ、今お店にあるほとんどのデジカメは動画機能があるわけで、それらに比べてこれのドコがドウ特化しているというのか?それを説明しはじめると長い割にツマラン日記になってしまうので省くことにする。知りたい人はサンヨーのHPでも見て下さい。

サンヨー製というのも気に入った。俺デジカメ買おうと思うんだけどどれにしようかな、やっぱニコンでしょう、キャノンも捨てがたいな、いやいやフジもなかなかいいぜ、ところがどうしてパナソニックも頑張ってるよ、なんて話になった時、一昔前までは、我らがリコーは明らかに蚊帳の外だった。当時他社がシノギを削っていたズーム倍率競争や画素数競争から距離を保ち、「広角」だとか「乾電池が使える」だとか、開発が面倒な割に地味なセールスポイントが災いした。

ところがそんなところにリコー渾身の製品GR DIGITALが大ヒット。広角というのもあって同業者に一気に浸透してしまった。街でリコーを携えた集団を見かけたら建築設計者の集団だと思った方がいい。おおむね収入の低い人達なので光文社系の雑誌を愛読しているお嬢さん方は近寄らない方がいい。ただでさえモテない僕としても、そういった人たちからはできるだけ距離を置きたい。

(話はそれるが、海の向こうでは、建築関係者はコダックのデジカメを使ってる人が多い。コンパクトなくせに21ミリの広角をカバーする。)

「押し目買い」を旨とする僕は、そろそろリコーは売りかな、と思い始めた。そこへ来てふと目に留ったサンヨーだった。

とにかく、動画に特化したデジカメ。逆に言うと、動画はそこそこ撮れるけれどもビデオカメラには及ばないし、写真は撮れるけれども普通のデジカメに比べればちょっと貧弱、つまり中途半端だということだ。まあでも、動画って一度は撮ってみたいじゃない?芸能人でも成功すると皆映画監督をやりたがる。きっと、動画への憧れって、人間に刷り込まれた本能のようなものなんだろう。貧弱ではあるが、少なくともそんなプチ本能をプチ満足させるカメラではある。

おっし、俺も中国を舞台に愛あり涙ありの一大スペクタクルロマン大作を撮るぞ!と一念発起し、試し撮りを始めたけれど、難しいね、動画って…皆さんにお見せできるような動画が撮れるのはまだまだ先のことになりそうです…

麻布十番祭が近づいていますね。ビザも切れるのでその頃に帰国します。当日は、麻布十番ロケを敢行予定。

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Sanyo Xacti DMX-CG65(K)

RICOH Caplio GX100 VF KIT

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驚異の建築

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(クリックで拡大)

中国の建築専門サイト、ABBSの掲示板より、「この案を見たとき、吐きそうになった」とのスレッド。看板の後ろ側では、実際に工事が進行中のようだ。

…直喩だ。…いや、でもこの看板を見る限り、この建物の用途は音楽にぜんぜん関係なさそうだ。

大学で初めての設計課題は、「ユングの家」という題だった。大学入りたて、しかも理系の小僧たちにユングと言ったってピンと来るわけがない。中に、アルファベットの「J」の形をしたプランを描いた生徒が居た。なんでもユングの頭文字の「J」なんだそうだ。「バカモンッ!」センセイの雷が落ちた。

シュンとしてしまったその生徒を「ユングが『Y』でなくて『J』だって知ってるお前ってすげーよ!」と皆で慰めたのを思い出す。今思えば単なるイヤミだな。いや、それがイヤミにならないくらい、僕らは無知で無垢だったんだよ。きっと。

…まあとにかく、設計のセの字も知らないような僕ら、設計に関してなんらタブーを感じていなかった僕らでも、せいぜい「J」止まりだったというわけだ。ユングの胸像の形をした家や、似顔絵の形のプランを描くのは、いくらなんでも憚られた。まあ、銅像や似顔絵は制作が面倒だっただけなのかもしれない。でも、少なくとも、そんな面倒を乗り越えてまでやり遂げたいものではなかったということだ。

で、このピアノ&バイオリン。そんな可愛らしい次元はとっくに突き抜けている。日本の片田舎にあるポット型喫茶店なんかメじゃない。グランドピアノの3本足まで忠実に再現しようとするこの意欲、ぜひ見習いたいものだ。

掲示板の書き込みには面白いコメントが書かれている。

「おお!この案にはル・コルビュジェの『近代建築の五原則』が実践されているぞ!
1.ピロティ
2.屋上庭園
3.自由な平面
4.自由な立面
5.横連窓
全部ある。巨匠も天国で喜んでいるだろうよ!」

…気付かなかった。確かに。

「施主は誰だか知らないが、天才に違いない」

…まったくだ。

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スローガンシティ #1

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街中であろうと職場であろうと、北京にはそこかしこに赤いバナーがベタベタと貼られている。内容は、スローガンじみたメッセージ、スローガンじみた標語、スローガンじみた注意書き…そしてそのものズバリのスローガン。功利主義者であり、自我の塊である中国人が、スローガンに書かれているからといってハイそうですねと従うとは到底思えないのだが…スローガンを書いている本人すら、その効果に疑問を感じているに違いない。

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中国の赤 #1

今日はヴィヴィッドな写真を。中国の赤。撮り貯めた写真から切り出してみた。

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そういえば、今日の僕はシャツもパンツも赤い。

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フートンファサード

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垂れ流しシリーズ2。

胡同地区。開発のアオリを受けて取り壊されまくっているとは言え、北京の2環路の内側ではまだかなりの数を見ることができる。観光コースには故宮、鼓楼周辺エリアなどがあるが、場所によって微妙に差があるようだ。これは故宮の東、北京駅近くのもの。それぞれの入口の設えが凝っている。ルネサンス風、中世風、そしてもちろん中華風…。たった10分程度歩くだけでも様々なバリエーションを見ることが出来る。それぞれの住宅の全体的な佇まいは殆ど変わらないし、材料も変わらない。でも、入口だけは頑張って自己主張している。中国人のメンタリティを見るようである。

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幾つか写真に収めながら、これを集めるのも面白いかなぁ、なんて考えていた。ベッヒャーの「インダストリアル・ファサード」という写真集を思い出した。工場を正面から撮り続けたシリーズ。アマゾンに無いかな…?と探していたら、"TYPOLOGIES"という纏まった作品集があり、買ってしまった。

TYPOLOGIES

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陸の孤島と私有財産と

某巨大掲示板や、いろいろなニュースサイトで話題になったニュース。以下、引用の上に超省略/超意訳。

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重慶のディベロッパーが、立ち退きを拒否した住民の家の周りを9メーター以上も掘り下げ、島にしてしまった。地元紙ジンバオ日報が報じた。住民は立ち退き料として約3億円を要求しており、ディベロッパーは対抗措置としてこの手段に出た。「3億円を欲しがり続けるか、この世の終わりまであそこに居続けるかです」とは不動産会社のセールスマンのコメント。

写真つきAnanovaのページ

******************

まさに、相対的な「地上げ」(笑)。つーか、立ち退こうにもこれじゃ出れないんじゃない?と、突っ込みたくなる。凄い画像なので、是非ご覧下さい。

中国では地下部分は丸掘りしてから工事を始めるのが普通なので、中国で建設に携わってる者としては、このような切り立ったガケは見慣れている。いやホント、さすがに「島」にはならないけれど、地下工事をやってる時は本当にこんな感じなんですよ。

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たぶん、おおかたの人は「中国ってメチャクチャ!人権無視の国!」という感想を持つんだろうが、僕の感想はそれとはちょっと違っている…というかむしろ逆で、「土地は全部国有なのに、居座ることなんて出来るんだ!」という驚きだ。結構な人権国家じゃないか。こちらに居ると、生半可なことでは驚かなくなる…

中国には有名な「拆」[chai1、チャイ]というシステムがある。突然、住宅の外壁に「拆」と書かれ、「何日までに退去のこと、どこどこに行けば立ち退き料が支払われる云々」というような情報が書かれた紙が貼りだされる。そんな強引な土地整理が中国の急速な不動産開発を支えているのだ。僕は、当然のように、居座ったものは力ずくで退去させられると思っていた。

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ところが、ローカルに聞いてみるとそうでもないらしい。ディベロッパー関連の仕事を殆どやっていない僕が知らないだけで、実際は、似たような問題があちこちで起こっているんだそうだ。たてこもりは借家人の唯一の対抗手段らしく、「釘子戸」[ding1zihu1:ディンズフー/釘で打ちつけた家の意]と呼ばれるという。

もう一つ疑問なのは、今、なぜこのショッキングな画像付ニュースが重慶の地元紙から出てきたか、という事だ。ご存知の通り、中国の新聞をはじめとしたメディアは政府の強力な影響下にある。私有財産権の衝突をそのまま絵にしたようなこのニュースを、どうして報じる事ができたか。

ひょっとしたら、きょう(18日)閉幕する全国人民代表大会と関係あるかもしれない。今回は、私有財産権の保護強化を目的とした「物権法」が成立する見込み。この法律が名実ともに「共産主義」の終焉になる可能性があり、政府内部でも賛否が渦巻いているそうだ。

このニュースが出てきたのも、そんな政争の結果なのかもしれない…ま、それは勘ぐりすぎかな。

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ここんとこの798

先週、お客さんを案内するついでに、798を見てきた。丁度展覧会のオープニングシーズンだった。ちょっと書き出してみよう。

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798SPACEでは"The Terracotta Woman"というインスタレーションが。タイトルの通り、兵馬俑を女性へとコンバートしたもの。兵馬俑は全て男の兵士であり、ある意味、中国の伝統的男社会を表現するファルスそのものなのかもしれない。女性の兵馬俑たちは、赤子をあやすものあり、出産するものあり、経血を流すものあり…一つ一つ手間のかかった力作ではある。「中国人の作家も、こんな直球なフェミニズム表現をするのかぁ」などと思っていたところ、ノルウェイの作家の作品だった。中国人にとっては分かりやすい「現代芸術」らしく、幾つかの新聞で取り上げられているらしいが、僕はあまり面白いと思わなかった。

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共和国建国以降の中国では、建前としては男女平等だ。事実、女性の社会進出はめざましく、仕事相手も女性がかなり居る。だがその一方で、人身売買まがいの売春が横行しているような所でもある。ミスコンもしょっちゅう全国放送されているし…中国人にとっては、性の商品化と男女同権は矛盾しないものらしい。そういう捻じ曲がったダブル・スタンダードが中国のジェンダー、ひいては社会全体の特徴であり、西欧世界の問題意識との差異だと思う。中国の女性作家が、そういうところに踏み込もうとしているのを考えると…ちょっとヒネリが少なすぎやしないか。

・イタリアのサン・ジミニャーノに本拠があるCONTINUA。北京の798に支店を出したお陰で、このギャラリーは一躍有名になったという。展覧会は"One Colour"。ギャラリーが白と黒だけで埋め尽くされている。カラフルな中国アートばかりを見てきた目にとっては、眩暈を生むほどの迫力だ。アニッシュ・カプーアに白黒作品があるのは知らなかった。

・イギリス系画廊、Chinese Contemporaryでは中国の若手建築家達によるグループ展。建築の展覧会ではなく、アートワーク。MADの馬岩松[Ma YanSong:ここに何度か登場している早野氏のパートナー]は虹のようなオプティカル・インスタレーション(なぜか休止中)、主題工作室の王永剛[Wang YongGuan]は溶岩を切り出したような彫刻。中でも面白かったのは、朱ロンによる絵[一部]。OMAによるCCTV、アンドルーによる大劇院、PTWのウォーターキューブ、H&Mのオリンピックスタジアムが、中国風の食卓に並んでいる。外国人建築家が主要プロジェクトを手がけている現状に対する皮肉。

Paris-Tokyo Photo GalleryではAniu & Cyrus Cornut "Urban Oceans"とLiu Ren "Someday Somewhere"が。前者は西洋人から見た中国の都市風景スナップ。あまり新鮮さはない。作者は建築畑出身の人だそうで、同業者の視点から取られたものだからだろうか。後者はやなぎみわのエレベーターガールシリーズ風のセルフ・フォト・コラージュ。後者の作品が沢山売れていた。こういった作品は、自己愛や変身願望のストレートな発露が特徴なんだろうが、この作家の場合はちょっと違う。コラージュの背景も、本人の容姿も、異様にリアリティーがある(意味は察して欲しい)のだ。何も特別ではないものが組み合わさって特別になる。狙ってやっているのか。2年前に中央美術学院を修了した作家だそうだから、25歳くらいなんだろう。

東京画廊/BTAPでは「玩画廊」展。中国語では、シニカル・リアリズムは「玩世」と略される。「世間をモテアソぶ」というような意味で、それをモジって画廊版にしたということのようだ。日本の現代美術の浮遊感と共通するものがあり、親和性が高いと思う。Beijing-Tokyo Art Projectを謳う画廊に相応しい展覧会。

・北京で一番古い写真ギャラリーと言われる798 Photo Gallery(でもまだオープンして3年程度だろう)。 一昔までは発表できなかったような政治的な作品を扱う。ショーウィンドーの中の翁乃強[Weng NaiQiang]の文革ドキュメント写真にいつも見入ってしまう。ハッセルブラッドの正方形フレームの中に捕らえられた完璧な構図。凄い。欲しいけど、2メートル角はデカすぎる。

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北京で不動産もいいかもしれない(よ?)

2年ほど前、ローカルの設計者が、「今僕がやっているマンション、買っているのは殆どが日本人だよ」と言っていた。基本設計を日本の設計者が担当しているという安心感も手伝って、投機目的の日本人達が競うように購入していたようだ。まあそれも昔の話で、最近では加熱しすぎた不動産投資を引き締める政策がとられているため、外国人は急速にマンションを買いにくい状態になっているという。ついこの前まで、海外に対して著しい優遇政策をとることで投資を呼び込んでいた国とは思えない…。

とはいえ、中国のディベロッパー達は依然として、意欲的に開発を行っていて、いわゆる「高級物件」も続々と生まれている。これは中国の富裕層自身が購買力をつけてきているという証でもある。3年前、僕が初めて北京を訪れた頃は、1万元/㎡(43万円/坪)という価格帯には、北京中心部にあるような高級物件が属していた。今では、そのカネでは、エリート若夫婦をターゲットにしているような、郊外のマアマアの物件がやっと買えるくらいだ。

現在、北京で最高値なのは王府井そばの某マンションで、6万元/㎡(300万円/坪)だとか。もしこれがそのまま東京にあったとしてもかなり高めの価格設定である。3倍とも4倍とも言われる中国と日本の物価差を考えると…とてつもなく高価な物件だ。

注目の高級物件の一つが、アメリカの建築家スティーヴン・ホール設計による「当代MOMA」という現在建設中のマンションである。「当代」とは日本語で「現代」、"MOMA"は、英語だと"Museum of Modern Art"、すなわち「近代美術館」を指してしまう。直訳すると「現代近代美術館」。言葉が微妙にカブっちゃってるし、そもそもマンションじゃないし、なんとも妙チクリンな名前だ。

中国人にとって、「モマ」という言葉はとても心地よく響くんだそうだ。まあ、日本人である我々も、本来は豪邸を意味する「マンション」という名で集合住宅を呼んでいるくらいなので、笑う立場には無いんだけれど。

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住棟間を空中で繋いだデザイン。マンションの場合、このような形は成立しにくい。理由は簡単で、通常、人は地上から目的の部屋に行ければ事足りるので、住棟間を空中で移動できるようにする必然性が無いからだ。60年代以降、このような形の建築は多く試みられてきたが、経済的な理由や技術的な理由で、かなりのモノが空想で終わっていた。中国の勢いは、建築家達の悲願を次々と実現させていっている。そして、重要なのは、そんな建築家の奇想が、付加価値として富裕層への大きなアピールとなってきているという事だろう。

中庭の池には映画館とホテルが浮かび、周囲には幼稚園と公園が配置されている。

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繋いでいる部分は、アスレチック・ジムや集会室などになっており、ここはプール。空中に巨大な水瓶を浮かべることの大変さは、大きめのペットボトルを持ったことのある人なら分かると思う。

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モデルルーム。
中国の場合、マンションは躯体のまま引き渡され、買主が内装をするケースが殆どだが、この物件は内装込みである。もちろん内装設計もスティーブンが担当している。
空調の目玉として、この物件では全面的に輻射冷暖房を採用している。専門外の方のために簡単に書くと、床、壁、天井などが「床暖房で床冷房」になっているようなものだ。管をそこらじゅうに這わせる必要があるため、コスト高になる反面、部屋内の温度分布が安定し、部屋内の湿度も安定するというメリットがある。また、ご覧の通り、部屋には空調機やその吹き出し口が必要ないため、スッキリとしたデザインが可能になる。

さらに、その熱源には地下熱を利用している。これも簡単に説明すると、「井戸の水は夏冷たく、冬暖かい」原理を応用したようなものだ。当然、もの凄い数の管を地中深く打ち込まなければならないため、膨大な初期投資が必要になる。その反面、空調のランニングコストは安くなり、環境負荷も低減される。このような大規模なエコ対応さえもが富裕層へのアピールポイントとなっている。中国はそんなところまで来ている。

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所々にビビッドな色を差していくのがスティーヴン流。扉の金物の一つ一つまで、かなり細かく設計されている。

気になる価格は1㎡あたり、3万元弱(40万円)だそうだ。坪あたり130万円。北京における一般的な高級マンションの約倍で、東京における一般的なマンションの約半分。立地や仕様などを総合的に(かつ個人的に)判断すると、かなりお買い得だと思う。東京では、スティーブン・ホールが設計したマンションは、坪300万円出してもおそらく買えないだろう。

中国スター達も続々と購入を決めているというこの物件、ご覧のアナタも一軒どうですか?ただ、現在は外国人はローンが組めないため、満額用意する必要があるそうだけれど…

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北京でWiiもいいかもしれない

日本では、PS3やWiiの発売日に人々が殺到し、大きな騒ぎになったそうだが…僕の中では今になってPSPが盛り上がっている。年末年始に暇を持て余しそうだから…と買ったゲームソフトがきっかけになって、北京の部屋で眠っていたPSPの埃を払い、再び持ち出した。

本当に今更だけど、この機械、めちゃくちゃ使えるツールだね!仕事の画像やムービーを入れてポートフォリオ代わりに持ち運んだりとか、無線LAN経由でテレビを見たりとか、iTunesと同期させるフリーウェアを使ってiPod代わりに使ったりとか…使いようによっては可能性は無限に広がる。iPodを遥かに凌ぐプラットフォームを持ってるマシンなのに、オモチャ売り場にあるというだけでイマイチ注目していない人が多いんじゃないだろうか。

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まあそれはともかく、そのPSPの電源アダプタを日本に忘れてきてしまったため、北京のシリコンバレー/北京のアキハバラと呼ばれる中関村という所に買いに行った。通算5度目くらいだろうか。行く度に新しいビルがオープンしていて驚かされる。

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「北京のアキハバラデパート」的な存在である「海竜電子城」を中心に、6つくらいの大きなビルがあり、その中に小売店舗がひしめいている(この「海竜電子城」の前が2005年の反日デモのスタート地点となったところだ)。トータルの床面積からしたら、秋葉原に匹敵するかもしれないが、店同士の品揃えは似通っているので、品種はさすがに敵わないだろう。ここは、北京の中心部からかなり離れた場所であるというのに、凄い人波だ。

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中の蛍光灯が切れていて「アタック25」状態。果たしてその人物の名は!?

答えは、道行く北京人に微笑みかけるエビちゃん。彼女も北京に進出していた。本人はきっと知らないだろう。

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日本のPS3/Wii発売日騒ぎでは、行列の中に転売目的の中国人が多く居たという。そうやってかき集められたゲーム機達が、ここに流れ込んでいる。転売されてきたものであるからして、保証書のハンコは日本の小売店のモノが押されているようだ。どのみち日本の正規サポートは受けられないので、買い求める中国人にとってはどうでも良い事かもしれないが。

お店を見渡してみると、どこもPS3はもちろん、Wiiの在庫も持っているようだ。日本で手に入れられなくて困っている方は、北京で買うというのもあるかもしれない。逆並行輸入、とでも言うんだろうか。

肝心の価格であるが、地元の人たちに値段を聞いたところによると、日本での価格より1~3割高い程度のようだ。日本で人を使って買わせ、中国国内に持ち込む手間を考えると、驚くほど安いと言えるだろう。日本へ逆に持ち込んだとしたら倍ぐらいの価格設定をしないと割に合わないと思う…どうやら、かなり薄利多売のビジネスのようだ。

ちなみに、普通の中国正規品(と思われる)デジカメも日本より1~3割程度高い。

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渡邊洋治とその作品

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(クリックで拡大します:約460KB)

昭和を駆け抜けた鬼才、渡邊洋治。

2月中旬に、早稲田大学建築学科のOB組織、稲門建築会主催で展示会およびシンポジウムが開催されます。渡邊洋治縁の建築家達が参加するシンポジウムは2月6日、18:30~、早稲田大学理工学部にて。私も、在京の折には是非行きたいと思っております。詳細は、上のポスターを参照ください。

このページのお陰で、私も少しだけ企画のお役に立てたようです。

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氷点下越え

半月近くご無沙汰してしまいました。メール下さった皆様、ご心配ありがとうございます。年末進行のせいで、バタバタと忙しい日々を送っていますが、なんとかやっています。今月のニッキは、あまり書くことができそうにありません。

10日から14日の間、東京に帰って、駆けずり回ってきました。

戻ってきた北京は、さすがに東京よりは寒いものの、予想ほどではありませんでした。と思ったら、明日は最高気温0℃だそうな…

**********

日本建築学会の機関紙「建築雑誌」12月号は中国特集号。企画として行われた座談会に、私も参加させて頂いています。興味ある方は。

こちらに当該記事のレビューがある事を教えて頂きました。

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清華大エネルギー棟

北京には、中国を代表する大学が2つある。北京大学と清華大学だ。歴史は北京大学の方が少しだけ長く、19世紀末に清朝によって設置されている。日清戦争に破れ、それに乗じた列強に国をズタズタにされた清朝が、近代教育によって対抗しようと創った大学。皮肉なことに、結果的にはそれが知識人の覚醒を促して、清朝の滅亡を早める事となった。一方の清華大学は、1911年に義和団事件の対米賠償金で創られた米国留学予備校が前身。ランボーに言ってしまえば元々はアメリカの大学みたいなものだ。

キャンパスのデザインもそういった成り立ちを反映している。北京大学のキャンパスは中国的装飾を持った建物が多く、ランドスケープの作り方や植生も中国的だ。対する清華大学は、建物の様式といい、それらに囲まれた芝生の広場といい、アメリカのアイヴィー大学ソックリな雰囲気を持っている。

一般に、北京大学は文系、清華大学は理系が強いとされる。共産主義革命や天安門事件の思想的バックグラウンドとなった文系大学と、現在の中国の高成長を支える技術に長けた理系大学、といった構図だ。

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とある建材メーカーの案内で、完成間近の「清華大学エネルギー研究棟(能源楼)」を見に行った。案内してくれた方の話によると、全てイタリアからの寄付によって建てられたという。国際社会から「エネルギー効率が悪い」と批判され、研究に力を入れざるを得ない中国と、中国マーケットに少しでも深く食い込みたいイタリアの思惑が一致したようだ。

話はそれるが、僕がこちらで知遇を得た建築関係者には、日本人はもちろん、ドイツ人、イタリア人が多い。圧倒的と言ってもいい。統計はないので正確な事は分からないが、旧枢軸国の面々が雁首そろえて中国マーケットに食い込もうとしている姿は滑稽である。もちろん僕もその一人なわけだけれども。

建物は、エコロジー対応フル装備だという。屋根には隈なく太陽電池が貼られ、外壁には熱負荷低減のためのガラスルーバーが取り付けられていて、機器類が建物を覆っているかのよう。省エネ表現主義とでも呼ぼうか。

ここまで派手には行かないにしても、日本にもこの手の建物はいろいろある。企業イメージ上、エコロジー対応をアピールしていきたい会社の本社ビルや工場などが殆んどだ。本来はこういった設備を全ての建物に採用していきたい所だが、残念ながら、必要なイニシャルコストが低減できるランニングコストに比してズバ抜けて大きいため、施主の強力な後押しなしには実現できないのが現状だ。その事情は中国の場合もそう変わらない、というかより深刻かもしれない。というのも、中国ではオフィスもマンションも分譲するケースが多く、建主にとっては電気代が安かろうが高かろうが知ったこっちゃ無いからである。ただ、そういった傾向に比して建築物件の数が異様に多いため、日本にも無いクラスの環境対応物件が幾つかある。これについてはいずれ書いてみたい。

この建物の第一印象は「すっげぇ汚れそうだな」という一言に尽きる。実際、建物では、引渡し前の大掃除が行われていた。2人一組になって一生懸命拭いている。

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ふきふき。

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ふきふき。

どうやら、人的エネルギーの方は膨大に必要なようだ。

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また来た

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再び北京へ。最高気温10度、最低気温0度前後の毎日だそうだ。かなり寒い。

中国では、政府の指導で11月中旬までセントラルヒーティングを稼動できない。外国人にとって、暖房が入るまでのこの時期が一番つらい時期と言える。2年前の今頃には、余りの寒さに近くの料理店に逃げ込んだ。店内にももちろん暖房はなく、隙間風がピュウピュウと吹き込んでくる。辛い麻婆豆腐を頼んでカラダを暖めていた。あの冬に比べれば今年は過ごしやすい。それとも慣れてしまったのかな。

このニッキで何度も触れている798芸術区。この2年の間にもどんどん発展し、今ではリッチなアーティストと画廊がひしめき、巨大資本でもない限りは新規参入は難しくなってしまったようだ。新規の画廊は、その北にある「草場地」、東の「環鉄」、僕が働いている美術学院を隔てた西の「酒廠」、といったエリアに分散しつつある。

その「環鉄」の中のCurrents - Art and Musicという新しいギャラリーの展覧会のオープニングに行って来た。その名の通り、アートと音楽とのハイブリッドをコンセプトにした画廊である。張培力[Zhang Peili]というヴィデオ・インスタレーション作家の展覧会だった。中国におけるヴィデオ・アートのパイオニアである。

文革時代のプロパガンダ映画をデジタル処理し、空間に配置した作品。大きな容積を上手く使い切っているが、先週、森美術館でビル・ヴィオラ展を見たばかりの目には、プレゼンテーションがどうしても雑に映ってしまう。

中国の現代アートに溢れかえる文化大革命のイコン。本来は中国近代史の恥部であるはずなのに、中国の現代アートにおいてはまるで大いなる遺産であるかのようである。西洋人はもちろん、中国人まで熱心に見入っている。それだけ彼等にとって、インパクトのある出来事なのだろうが、僕はもう、少々見飽きてきてしまった。

来週には暖房が入る。

プラネット・マオ―文化大革命のグラフィック・パワー
著者の王明賢は、文革グラフィックの専門家であると同時に、現代アート・建築の評論家でもある。この本はグラフィックだけで構成。

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2016

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東京タワーに「2016」の文字。青、黄、緑、赤、そしてバックの黒でオリンピック・カラーということのようだ。開催都市の決定は2009年、その審査にしたって2008年のことだ。この時期にこのイルミネーションはいくらなんでも気が早いと思うが、春に都知事選が控えている石原さんとしては何が何でも盛り上げていかねばならない。政治とスポーツの祭典。今に始まった事ではないけれど。

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セレ引け(せれびけ)

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以前、Podcastのラジオ番組で、辛酸なめ子さんがセレブについて語っていた。セレブはパーティに行ってもフードには絶対に手をつけないそうだ。つまり、モノを食べている姿を人前に晒さない。そして、シャンパンで乾杯し、15分くらいで帰らなければならない。二次会までグダグダ居るなんてもってのほか。…これを「セレ引け」と言うとか。

確かに。卑近な例で恐縮だけれども(といっても遠い昔の話だけれども)合コンでも、カワイイ子ほど終電が早い。あれもセレ引けの一種か。

先週末は、表参道で東京デザイナーズウィーク関連のオープニングパーティに顔を出した。幸いセレブではないのでガツガツ食べようと思っていたが、時間が遅くフードは終わっていた。ビールだけで久しぶりに会った友人と談笑。雑誌編集の友人は、今日3つめのパーティであともう1つ行くと言っていたので、最後の1つに同行させてもらう。

途中、抜け出して、もうすぐ正式オープンするクラブ/ラウンジのオープニングにも行く。オネエちゃんがいる方のクラブではなくって、オネエちゃんは居ても、どっちかっていうと踊りがちな方のクラブである。クラブ↓と発音する方ではなくってクラブ↑の方。第4声でなくって第2声で発音する方。

完全会員制なんだそうだ。パリにある本店はとっても由緒ある店なんだそうだ。近々にグッチの主催するパーティが予定されているんだそうだ。この店では「DJ」ではなく「セレクター」と呼ぶんだそうだ。その「セレクター」はパリから呼んで来ているだそうだ。お誘いのメールには「関係者限定の為、入口でこの番号をお伝え下さい」と暗証番号のようなものが添えられていた。

「セレクター」ってフランス語じゃないじゃん!とか、「関係者」って東福はそもそも関係者なの?といったツッコミはナシで。

これだけの事前情報が与えられた上で、期待するなと言うほうがムリというものだ。おそらく会員にならないであろう/なりたくっても会員になれないであろう僕にとっては、中を見る最初で最後のチャンス。めくるめくスノッブな世界が展開されているのでは!と期待が膨らむ。

感想は…うーむ。パリの下町のいかがわしい感じを出そうとしているが、日本人受けはしなさそうである。「これからは『ちょいダサ感』が大事なのかもしれない!」と自分を納得させた。確かに、白色系でツルツル/ピカピカに仕上げるだけで、それなりのクールネスは出せる。あえて違うテイストに挑戦したデザイナーの心意気を褒めるべきかもしれない。

ドアボーイはシルクハットにマント姿。店員の接客はすばらしかった。

余談だが、今まで行った中でスノッブだったのはサンフランシスコのクラブ。カリフォルニアは喫煙に関して特に厳しく、建物の中は基本的に全面禁煙である。裏を返すと、客がタバコを吸わないので、内装はヤニ汚れを気にする必要がないという事だ。倉庫を改装したその店は、昼はギャラリーで、夜は絵がかかったままでクラブ営業をしていた。大きな空間に、DJブースとバーカウンターだけがポツンとあって、あとは現代アートだけ。まだあるかどうか知らないけれど、来ている客も含めてカッコイイ場所だった。あの女のヒト、ジャッキー・ブラウンみたい!なんて喜んでいた。

僕が一番カッコ悪かったのは言うまでもない。

写真は北京で行われたアートフェアのオープニング。セレブはVIPラウンジに居るんだろうね。

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0.03%と0.56%

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今日はちょっとマジメな話題。と書くと読むのをやめてしまう人が多そうだけど…

以前勤めていた会社の上役からメールを頂いた。

最近は、某大手電器メーカーのドでかい研究所の設計をやっているという。大手の設計組織は、オフィス部門、商業部門、住宅部門…というように、ビルディング・タイプ別に専門分化している。私がいた頃は、比較的花形的存在だったのがオフィスで、優秀な人が沢山いた。そういう人材が次々と研究施設担当に異動しているらしい。

日本のオフィスは、供給過多が叫ばれるようになって久しい。今のところ、景気の上昇でなんとか食いつないではいるが、この先タマ数が減っていくのは目に見えている。一方、日本のメーカーは、生産は他のアジア諸国にシフトし、日本をR&Dの拠点としつつある。そういうわけで各社、国内に大規模な研究施設を急ピッチで整備しているのである。

「ものづくり」の国から「ものつくらせ」の国へ。これからの日本は、知的財産で食っていくしかない。知的財産の無い生産者は、アジアの安い労働力との競争に晒され、それは結局、人件費のカットに繋がる。格差社会は、アジアの産業構造の変化もその原因にある。

人民日報が伝えた所によると、科学技術部副部長がフォーラムの席上、「一定規模以上の企業で科学技術開発を行っているのは全体の25%、売上に対する研究開発費は0.56%、独自の知的財産権を有するのは0.03%にとどまっており、創造性の弱さは中国産業の国際競争力向上のネックとなっている」と危機感を滲ませる発言をしたという。つまり、豊富な労働力を背景に、リーガル/イリーガル含めた外国製品をコピーし続けているだけなのが中国産業の現状である、という事だ。

「ものづくり」の国から「ものつくらせ」の国への脱皮を図っている日本と、「ものつくらされ」の国から「ものづくり」の国へと変わる糸口を探し始めた中国。そういう構図が見えてくる。

写真は、CCTV/TVCCの近くに建ちつつあるコピー・ビルの広告。

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レクチャー

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意匠系の教師陣および学生を相手にした名古屋大でのレクチャーでは、様々な意見を聞くことができた。特に助教授の西沢泰彦先生は、中国近代建築史―特に満州国―の専門家で、興味深い話を伺えた。精華大の留学経験もある先生の前で北京の都市・建築について語るのは、正直気恥ずかしいものがあったが、やってみるものである。先生方も、現在の北京の建設ラッシュに驚かれ、おおいに触発された様子で、安心した。以下主な話のメモ。

・北京の主な環状線、3環路~5環路は、占領時に日本が立案した計画が戦後実行されたものである。また、占領日本は、同時期、北京中心を東西に走る長安街を西に延伸し、新都心を作る計画も立てていた。パリのラ・デファンス的な先進的な考え方であったが、結局実行される事は無かった。権力を中心…即ち故宮と中南海に集中する構図に拘ったのは、中国的なメンタリティが発揮された結果ではないか。

・清朝の北京の城壁は、取り壊され、現在2環路となっている。新中国発足時に、この封建制の忌まわしき城壁を取り壊すべきか、それとも、歴史遺産として残すべきか、大きな論争となった。残す案として、城壁の上を緑道として、市民に開放するという案もあった(中国人立案者の名前は失念)。非常に現代的な発想。

・氏は、満州に渡った日本人建築家の研究をされている。現在、チャンスを求めて中国に渡っていく日本人建築家達と比較してどうか?との問いに対し、やはり、同じ様な思いはあるだろうとの事だった。重要なのは、当時の東アジアでは、西洋人建築家による「本物」の洋風建築は上海にしかなく、日本人建築家達はそこで初めて「本物」を目にし、触発されたであろうという点である。北京に建ちつつある現代建築の写真を見ていると、少なくとも規模や量において、日本、そして東京を大きく凌駕している。日本人、そしてその他の国の建築家達が「本物」を見に北京へ行く、という現象が再び起こる可能性がある。

・助手の堀田先生からは「中間が無いね」という話があった。スケールも大きなスケールと小さなスケールしかなく、真ん中がすっぽりと抜け落ちているし、制度においても政府レベルと人民レベルしかなく、真ん中の領域が無い。全く同感だ。

・学生達は、本当に中国に可能性があるのか?まだまだ懐疑的だった気がする。僕自身にとっては、仕事をしている以上、そして日本人にとっては、大きなマーケットである以上、何らかの可能性を発見しなければならないと思っている。

僕なりに沢山の笑いのネタを仕込み、「これでドッカンドッカンとバカ受けするぞぉ」とウキウキしながら行ったのだが、思ったより皆おとなしく、ちょっとションボリしてしまった。堀田先生は「いやあ、いつもはあんなに質問なんか出ないよ。久しぶりにエキサイトしてたんじゃないかな」と慰めてくれた?けれども。中国人の学生さんや、北京に来る学生さんはみんなギラギラしていて、僕の言うことにどんどん噛み付いてくる。それに慣れてしまっていたのかな。僕はそこらへんのオジサンなんだから、馴れ馴れしいくらいで丁度いいと思う。

写真は精華大学。

図説 「満洲」都市物語〔増補改訂版〕

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スィーツ中国

中国のスィーツは概ねよろしくない。もちろん、僕が知らないだけで、おいしい甘味がどこかにあるんだろうけれど、アベレージ的によろしくない。「日本のようにボトムアップされていない」と表現したほうが良いかもしれない。コンビニで売っているような洋菓子ですら美味しい日本は、本っっっ当に恵まれてると思う。話は逸れるがナチュラルローソンで売っている杏仁豆腐は凄くおいしい。本当に逸れそうなのでやめておく。

キオスクで売っている甘いお茶を飲むたび、あるいは吉野家でコーラのペットボトル片手に牛丼をほおばる中国人を見るたび、中国人は他の食べ物で糖分を摂取しているぶん、洋菓子へのコダワリが少ないのかなぁ、なんて思ったりする。

ある日、学生食堂が完成して試食会が行われた。工事担当者の一人が還暦を迎えたとの事で、ケーキが振舞われた。へぇ、ケーキなんて久しぶりだなぁ、なんて喜んでいた。

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どっきり。

まさに「デコレーション・ケーキ」とはこの事。
ロココ調?
あくなき造形性の希求。
凄まじいホイップ・ワーク(って言うの?)。
周囲のホイップなんて空中を走っている。

以前写真を載せた、カボチャ彫刻に通じるものがある。食べモノであることから解き放たれている。良し悪し以前に――そりゃあ、僕にとっては「悪い」に決まってけど――凄い。

スポンジケーキは同じで、様々な装飾をする事だけで差別化されている。しかるに、無限のバリエーションを生み出すことができる。

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店頭にて。モザイクを入れたくなるくらい、エロティックなものもある。いや、桃をあしらってあるんだけどさぁ、よーく見るとさぁ…もじもじ。

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これなんかもう、イラスト電報状態だ。

中身は変わらず、表層で差別化するのは、中国にニョキニョキと建っていくオフィスビルや高層マンションと同じだ。「本質的でない、浅薄だ」と断じることもできるし、「飾り立てたい欲求に対して素直だ」という事もできる。

日本の一般的なビルのプランは、あまり変わらない。敷地条件の要請によって微妙に変えられているのがせいぜいだ。これはもちろん、賃貸・分譲する上での「大人の事情」からそうなっている。大胆なものが欲しいけれど、お金もかかるし、勇気もない。じゃあ、好きな飾りをつけましょうよ!そういった素直さ。

日本の皆さんが生活しているシンプルな外観のビル。その中のケーキは本当に美味しいんでしょうかね?

このケーキはまずかったです。

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名古屋の方へお知らせ

今日は「ですます」で。

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18日から10日間ほど日本へ戻ります。

私用の為、名古屋へ一日だけ寄るのですが、その合間を縫って、名古屋大学で簡単なレクチャーをさせて頂ける事になりました。

内容は中国、特に北京の建築/都市の現状についてです。面白い話ができるように頑張ります。僕自身にとっても、北京で考えてきた事を整理する良いチャンス。まずは準備時間を確保できるように頑張らなくてはね。

9月19日(火) 13:30~ @ 名古屋大学

在学生相手の、非常に小さな、非常にインフォーマルなモノになる予定ですが、頼めば外部の方もネジ込めると思いますので、興味ある方はtofuku[at-mark]03-x.comまでお問い合わせ下さい。詳細を折り返しお送りします。

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ヘルメットその後

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先日の続き。10日ほどで黒いヘルメットが出来上がって来た。なんと!指示したとおりに出来ていた。思い出す限り中国で始めての経験。当たり前の事が、当たり前に出来るだけで幸福な気分になる…糸井重里的レトリックだけど、中国ってある意味ハッピーな所なのかも知れない。

施主に見せる。「カッコイイ!」と好感触だが、欲しがりはしない(欲しがるだろうと思って余分を見込んでおいたのに)。カッコいいけれど、現場で一番権力を誇示できる白ヘルメットから換えるほどではない、ということだろう。まあ、炭鉱労働者の色だしね!

工事写真を撮る必要があったので、早速被って現場に赴く。黄と赤のヘルメットの中に、突然現れた黒色ヘルメット。工人(ゴンレン)達の視線が集中する。現場に入る度にガン見される女性達の気持ちが、ちょっとだけ分かる。

訝しげに見ていた一人の黄色ヘルメットが近づいてきて、「おまえ、どこの単位(職場)のモンだ?」と聞く。ニッコリ笑ってヘルメットを指差し「建築師だ、黒色ヘルメットは建築師の意味だ」と答える。「ああ?ああ、そうだったな。気をつけろよ」

ウソつけ! でも、一人PR完了。

黒色=建築師が浸透するまでの道のりは長いなぁ。

来年の夏までには、オリジナルTシャツを作ろう、と思う。自腹を切って関係者みんなに配り、美術館完成後にミュージアムショップで売って損失分を回収するなんて良いんじゃないかな。

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事務所ひとり

ひとりで赴任して、ひとりで北京出張所を名乗りつつ格闘している。そんな設計者は僕だけだと思っていたのだけれど、つい最近、韓国の承孝相(スン・ヒョサン)事務所から一人で駐在している趙さんという建築家に出会った。

中学まで日本に居たというだけあって、もともと日本語が堪能。その後も、建築の本などを通して、日本語に磨きをかけてきたという。谷崎潤一郎まで日本語で読んでいる知日派。彼が話す、語尾にちょっと韓国語のアクセントの残った日本語はとてもカッコいい。

彼が担当する物件は、このニッキでも以前紹介した事のある長城コミューンの第二期工事の一部、そして朝外SOHO。どちらも、SOHO Chinaのディベロップによるもの。

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ひとりで北京に駐在している点、北京と本国を行ったり来たりして仕事をしている点、語学学校に行かず(行けず)に「ぶっつけ本番中国語」と英語を使って仕事をしている点、などなど、お互い共通点が多く、すぐに打ち解ける事ができ、お互いの現場や事務所を訪問しあった。

食事の時の話題は、お互いの国の文化と中国の文化の違いについて、そして中国に何を期待しているか、に集中した。

西洋人が日本文化について語る時、必ず出てくるのがシンプリシティとマテリアリズムで、当の日本人自身もそう思い込んでいる所がある。だが、歴史的な経緯をつぶさにみると、これらは西洋人的な視点に過ぎないことが分かってくる。「日本の美」とされているモノは、多くが西洋人に発見されたのだのだから。

じゃあ、本当の日本って何なのよ、という議論があるんですよ、という話をすると、韓国でも、似たようなものだと言う。近代では、日本と韓国、どちらも西欧に認められる事をメインの目標に据え、西欧の尺度で自国文化を測って来たということだろう。

でも、中国は違う。長い歴史、バカでかい国土、とてつもない人口がある。現代に中国的尺度を打ち立てる事ができる数少ない国だ。その善悪はひとまず措くとして。

だが、中国の文化的状況を見ると、アートにしても建築にしても、やはり欧米におもねている様なところが見え隠れする。昔は他の国の存在すら認めてなかったような国なのに、今では「ドイツ風住宅」をアリガタがっている。「おいおい、大中華思想はどこに行っちゃったの?」と思う事が多い。

サッカーに例えるなら、中国の人口を持ってすれば、世界最強のチームなんて簡単にできるだろ!日本に勝った・負けたで騒ぐんじゃなくて、早くヨーロッパに対抗できるチームを作ってくれ!…そんな感覚に近い。

僕も、趙さんも、その点にちょっとした歯がゆさを感じている事が分かった。

でも、本当にそうなっちゃったら、僕らの仕事が無くなっちゃうんだけどね…というオチ付で。

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ヘルメットの色

中国の建築現場のヒーロー、「安全帽同志」(ヘルメット同志:勝手につけた名前で、正式ではありません)。
こちらは世界の建築界が注目する某現場のもの。

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以前に紹介したモノよりもチョットだけ凝っていて、ヘルメットにゼネコンのロゴがついています。さすがというかなんというか。

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現場には、2・3週間に一度は誰かしら見学にやって来ます。私、そしてローカルスタッフ3名に対して、ヘルメットは一つしかないので、来客の度にヘルメットの確保に奔走する事になります。先日、他の事務所が現場見学者用にオリジナルのヘルメットを用意しているのを見て、当現場でも設計者用のヘルメットを作る事にしました。

ローカルに聞いてみると、ヘルメットの色は属性を意味しているんだそうです。

・白:施主、施工管理会社(CM)
・黄:ゼネコン(元請)
・赤:タワークレーンなどの重機従事者
・青:下請


…設計者用の色が無い!

中国の一般的な設計者は、図面を書きっぱなして現場は放置する傾向があるため、わざわざヘルメットを作るのは珍しいのかもしれません。設計者は施主直属のコンサルタントなので、あえて作るなら白でしょうが、汚れが目立つしやだなぁ…

ローカルと相談の上、黒いものを作る事にしました。ヘルメット・メーカーに発注すると、

・黒:炭鉱労働者

だけど良いの?との意見が。この先、中国において、

・黒:炭鉱労働者または設計者

となるように、PRに努めて行きたいと思います。

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この夏、世界で最も危険な♂

1ヶ月ほど前、日本人の建築関係者たちと共に、初めて万里の長城(八達嶺)へ行きました。北京にやってきた同業者の方が必ず押える長城コミューンツアーに同行した形。

徒歩で登るのは大変ツラい(らしい)のですが、僕のような体力不足の人やモノグサな人たちの為に、ロープウェイ等の乗り物がちゃんと用意されています。一番面白いと噂のゴーカート(みたいな奴)に乗ることになりました。

そして、奴に再会することになったのです。

そう、

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世界で(著作権的に)最も危険な男…

もとい、最も危険なオス…

○ツキーに!

王府井から居なくなったと思ったらこんな所に…
なんと、兄弟分の青バージョンも居ました。

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何かが根本的に間違っているような気がするキャラクターですが…

○ツキーの背中に乗せられ、長城の上部へと向かいます。行きは、ケーブルカーのようにチェーンに引っ張られてトコトコと登っていきます。

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この日は、休日だったこともあって、かなりの人出でした。万里の長城の凄さも十分凄いですが、その上にビッシリと乗っかっている観光客の多さに驚きました。

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世界的に稀に見る、広がりの無い、リニアーな観光地。一次元的ツーリズム。これには、友達や家族が自分より前に居るか/後ろに居るかさえ把握していれば、ハグれる事はないという長所があります。短所は、どんなに頑張って遠くまで行っても、結局同じ地点まで同じ場所を通って戻ってこなきゃいけないって所ですね。

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帰りは、車両同士を連結し、ジェットコースターのように下って行きます。

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久しぶりに童心に返りました。

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オリンピック・スタジアム

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OMAの白井氏に「サイトの横に、よく見える場所があるよ」と連れて行ってもらった時の写真。

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現場見学をさせてもらおうと、様々なルートからお願いしているものの、まだ実を結んでいない北京オリンピックのメイン・スタジアム―別名「鳥の巣」。来月初旬に、漸く行けそうな気配になってきた最近、報道陣に公開され、日本の新聞にも載ってしまいましたね。先手を取れず残念。

去年、この「鳥の巣」の鉄骨工場を見学させてもらった時に、とてつもなく分厚い鉄板を切断し、曲げ、溶接して貼り合わせて製作しているのを見て、ぶったまげました。技術的に凄いというものではないし、日本でもやってやれない事はない。でも日本人のメンタリティとしては、絶対にやらない…そんな力技の建築です。

構造形式としてはむしろ稚拙であり、ムダが多すぎる、という批判もあります。この建物が完成した折には、大きな議論が巻き起こる事でしょう。ただ、実際にサイトの横に立った時に感じる迫力は、「ムダ」の一言では排除できない何かがあります。あえて言えば、ピラミッドや万里の長城に通じるような、歴史に残りそうな「ムダ」感です。

以前紹介した井波律子著:「酒池肉林」を思い出しました。やはり、蕩尽は、中国人のメンタリティの奥深くにしまいこまれた重要な要素なのではないか。建築家のヘルツォーグ・アンド・ムロンは、オリンピックという国家レベルの機会を利用して、そこをうまくツツいたのではないか。そして、その蕩尽の果てに何も無い、ということは無いだろう。上海のリニアモーターカーや、有人宇宙飛行の例と同じく、中国人たちにとって、得るものは必ずあるだろう…僕はそう考えています。

いずれにせよ、これだけの鉄骨に取り囲まれるというのは、人類初の体験となるでしょう。完成が楽しみです。

高解像度版の写真はflickr!の方にありますので興味ある方は。

酒池肉林―中国の贅沢三昧

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ワークショップ

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北京に、東大の大学院生、数人で興したUAAという設計事務所があります。トップの劉氏、鄭氏の努力の甲斐もあり、今や所員50名、建外SOHOの1フロアを占める大事務所へと急成長。チャイナ・スピードを体現しています。

大学院生が主宰しているということもあり、都市・建築研究にも力を入れていて、この夏、東京から学生さんを招いてワークショップを行っているとの事。これは、大変面白いし、意義ある試みだと思います。設計事務所として懐の深さを感じさせるというか。

一週間前、現場案内という形で、ちょっとだけ協力させて頂きました。「簡単なレクチャーを」という事だったのですが、僕の場合は、他のレクチャラーの皆さんとは違って、一担当者に過ぎないし…学生さんは技術的な話には興味ないだろうし…という事で、キャンパスでコーヒーを飲みながら雑談してお茶を濁しました。すまん。

僕が、北京で仕事しながら考えたことを、断片的ながら、好き勝手に喋らせてもらいました。参加者の皆さんでブログに纏めてくれていますが、苦心のアトが窺えます。そりゃそうだ、僕の中でもまとまってないんだもの。重ね重ねすまん。

学生の皆さんと話してみて思ったのは、「今の学生はみんな優秀でマジメだなぁ」という年寄りみたいな事。日本の未来は明るいですね。ただ、いくら優秀な学生でも、中国という大きな現象を、僅か1ヶ月の期間でマジメに正面突破するのはどだいムリだとも思います。事務所トップの劉さんは、中国人として、真摯に中国の都市や建築を捉えていらっしゃいますが、我々のバックグラウンドはやはり日本であって、悲しいことに、所詮は第三者として、所詮は他者の視線で、中国を眺めるしかない。自分のバックグラウンドというツールを用いる以外にない。

我々外国人(ワイグオレン)が、中国を眺める視線は、大体次の3つに絞られるでしょう。非常に乱暴な話だけれど、殆んどのワイグオレンはこの程度の見方ぐらいしかしてないと思います。

・でかい(規模が/スケールが)
・早い(決定が/建設が/計画が/スピードが)
・安い(レートが/建設費が/設計料が(とほほ))

そして、これを統御するものとして、政府や、中国人のメンタリティがある。

…「美味い・早い・安い」牛丼。そしてそれを提供する吉野家…という図式と一緒です。吉野家は多少軽蔑されるけれど、万人受けもする。外人だからこそできる乱暴な見方とも言える。ただそれだけでは面白くないので、この「吉野家的ビジョン」からもう一歩踏み込めれば/ちょっとでもその欺瞞を暴ければ、十分すぎる位だと思います。

変な喩えをして却って難しくしちゃったか。

OMAの白井氏から「東福が言った事を真に受けちゃってるよ、可哀想に」と聞きました(お互い様だと思いますがね…)。まあ、僕の雑談は気にせず、各自が興味を持ったものを掘り下げて、夏の思い出を作ってください!

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エレベーターがあったのは…

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言うまでもなく、建物は、扉やら窓やら便器やら、沢山の部品から出来ています。日本では、設計者にこれらのメーカーの決定権がある場合が多いですが、中国の場合は施主による分離発注方式を採るので、最終的な決定権は施主にあります(もちろんこれがリベートやキックバックの温床になっています)。設計者はリコメンドするくらいしか出来ません。

通常は、施主が勝手に決めちゃうケースが多いようなのですが、今回の施主は設計作業に対して非常に理解がある人たちで、意見を聞くために、重要なメーカー見学には同行させてくれます。もう2年近く前になりますが、エレベーターを見学するためにS市に行きました。目的のエレベーターは日本には無いタイプで、「是非実物を見て、良ければ使いたい」と施主に検討をお願いしたのです。(同業者向きのテクニカルな話は文末参照)

見学の前日、メーカーに「明日見学する建物はどんな建物ですか?」と尋ねると、メーカーの北京支社長から、

「現在建設中の、S市最大の売春施設です」

と耳を疑うような返事がサラッと返ってきました。「施主は、最有力のマフィアのボスです」とも。折角中国に居るわけだし、中国のアンダーグラウンドな世界もちょっとは見てみたいとは思っていましたが、こんなに唐突に行くことになるとは思ってもみませんでした。

次の日訪れた建物は、キンキラキンのキッチュ建築でした。キンキラキンのワニや蛇が頂部でのた打ち回っています。エジプシアン・リバイバルとでも呼ぶのでしょうか、ラスベガスにあるホテル・ルクソール的なデザイン。きっと、ボスがラスベガスに遊びに行った時に「こんなの欲しい」とでも言ったんでしょう。

現場への出入りは、中国には珍しくタグで管理されていました。警備員は、「エレベーター以外は絶対に写真を撮ったりしないように」と、ますます怖くなるようなことを言います。

内装もキンキラキンで、あちらこちらにエジプト調の装飾が施されていました。こういった施設がどのようなプランになっているのか?プロとしての知的好奇心(あくまでも)が湧き出してきますが、現場のあちこちで怖い人たちが目を光らせている状況下では、エレベーターから離れる事すらできませんでした。ええ、へタレですとも。

1人、黒づくめのスーツ+サングラス姿の長身女性が、職人達に指示を飛ばしていました。おそらくインテリアデザイナーなのでしょう。まるで香港映画みたいでカッコイイですが、憧れよりも恐怖の方が先に立ちます。

外に出て本当にホッとしました。後にも先にも、こんなに緊張した見学はありません。

施主によると、「こういった施設は、接待に使われる場合が殆んど。日本人のサラリーマンの給料でも、遊びに行くのは難しい値段なんじゃないかな」との事。怖くて行けないから大丈夫だって!

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ダイレクト油圧式/テレスコピックタイプの露出エレベーター。行程30メーター位まで行けます。両側にレールが出ますが、機械類やロープが無いため非常にシンプルで、カゴの色や形状を特注すればかなり使えそうです。私の知る限り、日本には同じタイプのものは無いと思います。

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恣意的

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長い引用になりますが。


「今さら受けたくない」建築士再試験、猛反発で断念?

耐震強度偽装事件の再発防止のため、国土交通省が1級建築士全員を対象に「再試験」を実施する方針を6月末に打ち出したが、早くも軌道修正される可能性が出てきた。

「今さら試験を受けたくない」「1人の建築士の犯罪なのに過剰反応だ」と建築士らが猛反発しているからだ。1級建築士のレベルアップを改革の目玉に据えていた国交省だが、反対圧力に屈する形で、再試験の断念も含めて再検討に入った。

国交省が再試験実施案を公表したのは6月26日。元1級建築士・姉歯秀次被告(49)のような建築士が再び現れないよう、1級建築士全員に講習を受けさせ、構造や意匠、設備など幅広い知識を試験で問うという内容だった。

パスした1級建築士には、「特級」「新1級」など新たな資格を付与。鉄筋コンクリート造りで20メートル超の建物の設計を独占させる。不合格の場合は「準1級」や、2級への降格もあり得るとする、痛みを伴う改革になるはずだった。

だが公表直後から国交省に抗議の電話が殺到。10万6000人の建築士が加入する日本建築士会連合会は11日、試験導入などに反対する意見書を北側国交相に提出。1万5000の設計事務所が加盟する日本建築士事務所協会連合会も反対を表明した。

同じ国家資格である医師や弁護士は再試験がないのに、なぜ自分たちだけ既得権を脅かされるのか、というのが本音のようだ。ある1級建築士(53)は「もう1度大学受験しろと言われるようなもの」と語る。都内自治体の50代の建築主事も「この年で今さら、勉強するのは大変。再試験はたぶん受けない」と話す。構造設計専門の都内の1級建築士(38)は、「設計は分野ごとに高度に専門化している。試験のために専門外の知識を丸暗記するのは無意味」と批判する。
(2006年7月24日3時2分 読売新聞

**************************

この問題が紛糾するだろうとは思っていましたが、こういう形で報道されちゃうとは…「建築士は既得権にしがみつく往生際の悪い奴ら/『痛みを伴なう改革』に対する古い体質の抵抗勢力」というイメージが定着してしまいますね。

前にも書きましたが、現在の建築士制度が全く問題ないとは思いません。技術革新をフォローする意味では更新制も意義があるかもしれませんし、もし議論が尽くされるのなら、高度な専門化に対応すべく「特級」を新設する事になっても仕方がないと思います。ただし、それは「医師や弁護士免許は更新制にすべき」という議論と同次元の問題で、耐震偽装事件とセットにするのは明らかにおかしい。

あの事件は、「一建築士のモラルの欠如によって露呈した、行政側のチェック機構の破綻(民営化による弊害も含んだ)」という問題です。この事件が起こった真の原因から目をそらさせる、狡猾な問題のすり替え。

国会議員や弁護士のように「姉歯一級建築士」という耳慣れない呼称が使われている時から違和感を感じていましたが…まさか建築士制度自体が標的になるとは思ってもみませんでした。

完全に中立的な報道なんて不可能だと思っていますが、今回ばかりは報道の恣意性を強く感じます(自分が当事者だからということもあるでしょうが)。対抗しようにも、建築士には「声」をあげる手段が殆んどありません…これは、建築士側の今後の課題です。

というわけで僕はこのニッキで小さな声を上げることにしました。

マジちいせえ!

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現場

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たまには、仕事場の風景を。建物が立ち上がってきました。構造が完成し、全体の形が立ち現れるのにはあと3ヶ月ほどかかる予定です。外装が完全にできるのは来年の春。当初の予定では、とっくに出来上がっていたはずなんだけどな…

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東京の地下と北京の地下

この前、地下鉄の話が出ましたが、その繋がりで。

タイトルに惹かれ、ブックオフで買いました「帝都東京・地下の謎」。

アマゾンによると、著者の秋庭氏は、「東京の地下陰謀」関連で幾つかの本を出しているようです。興味あるテーマではありますが、アマゾンのレビューでの評判はかなり悪い…「問題提起ばかりで殆んど解決していない」…同感です。

「赤坂見附駅のホームは何故二段重ねになっているのだろうか!?」などというタイトルを読めば、「おお、そういえばどうしてなんだろう?」と興味津々になるってもんです。勢い込んで読み出してみたものの、なかなか赤坂見附駅の記述が出てこない。あれおかしいなー、と思って読み進めると、「そういえば、赤坂見附駅は二段積みになっている。どうしてなのだろうか!?」と文末を締めくくっていました。おいおい、そこ知りたいから読んでるんだよ!

さて、場所は変わって中国の地下。ユン・チアン「マオ」にも、地下道の話が出てきます。人民大会堂と政府機関が集まる中南海の間には、とてつもなくデカい地下道が設置されているとのこと。その実態は良く分かりませんが、トラック4台が併走できるんだそうで…

中国である規模を超える大きさの建物を建てる場合、地下に「人防」を設置するように政府から指導される事があります。「人防」とは、「防空壕」と訳されます。

具体的には、天井のコンクリートは厚くしなければならず、穴を明けてはダメ/特殊な鉄扉(潜水艦のハッチみたいなクルクル廻すハンドル付)の扉を二重に付けて区画する/独立した空調機室が必要/独立した入口が必要…などなど、かなりモノモノしい装備を設置する必要があります。大抵の場合、地下駐車場や倉庫と兼用する事になるので、これぞ防空壕!というものが有る訳ではないのですが、少なくとも政府の頭の中では、非常時…というより戦時体制が想定されているということです。北京の幹線道路は、非常時には戦闘機の滑走路として使えるようになっている、なんて話もありますしね。

その一方、我が平和ニッポンではノホホンと普通の建物を建てているだけかというと、そうでもなさそうです。東京のある場所に地下街を作る場合は、上を戦車が通れるように計算しなきゃならない、なんて話もありますし、地下鉄○○線はシェルターとして使用できるように設計されているという噂は昔からありますよね。「帝都東京・地下の謎」にも、GHQによる地下軍事計画マスタープランと、地下鉄の敷設計画の相関性について解説しているくだりがあります。

違いと言えば、日本の場合は、地下鉄、道路、首都高といった公共の施設に非常時の配慮があるのに対し、中国の場合は民間の建物に要求されているという点です。中国の人民には、非常体制がより身近にある、という事でしょう。

地下施設。興味はそそられますが、こういったものが大活躍する事態にはなって欲しくないものです。

写真と地図で読む!帝都東京・地下の謎

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引越し中

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北京で住んでいる部屋ですが、現在引越し中です。日本人駐在員としてはマダマダですが、ほんのちょっとだけ、いい部屋になりました。日当たり、窓からの眺めもなかなか。

24時間空きっぱなしのオートロック・ドア、全員素通りの警備員、エレベーターガール(子連れのオバサン)付き。セキュリティやサービスも万全です。これで、8月15日のエックスデイも安心して迎えられるというもの!

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ファイルやカタログが増えて来たので、オフィスの棚も増設しました。

仕事?

…問題山積。

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MAD展

今日はマジメに。同業者向けの記事です。

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土曜日は、夕方から東京画廊:BTAPのMAD "Under Consruction"展のオープニングレセプションへ自転車で向かう。汗だくのドロドロ状態で、後悔するがなんとか到着。中国の展覧会は、スペースを贅沢に使うので、日本の緻密に計画された展覧会を見慣れた目には散漫に映る事が多い。とりわけ、建築家の展覧会は、美術品に比べれば小さい模型やドローイング、写真などが中心になるため、会場を使い切るような展示は難しい。

その辺の問題を解決すべく、模型を空中に浮かべたり、巨大なグラフィックを使っていろいろと工夫しており、若い事務所だけあってエネルギーが充満していた。会期に合わせて画廊自体の改装も行い、その施工の経過も展示する、という試みだそう。会期中にもう一度訪れたい。

世界の現代建築はここ数年、曲面を多用した「ウネウネ系」に急速にシフトしてきた。コンピューターの発達で、スタディや構造上の解析が容易になったから、と説明される。この説明は、非常に納得が行きやすいが、そんなツールが無い時代にも曲面の建築はあったわけで、これで全ての説明がつくわけじゃない。直線で構成されるような空間的なアイディアは、90年代くらいに概ね出尽くしてしまった。曲面を使う事でその閉塞感をブチ破る試みをしている、と言うべきだ。

じゃあ、ツールは補助的な役割を果たしているに過ぎないのか、というとそうでもない。

僕は、設計の作業にパソコンを使い出した最初の方の世代だと思う。プロの世界ではそれ以前から使われていただろうが、学生レベルでパソコンを使って設計課題をやる人は少なかった。思えば、当時、コンピューターには夢があった。この先、ソフトウェアはどんどん発達していくだろうし、どんな形も作れるようになるだろう、という漠然とした期待感があった。悪い言い方をすれば、コンピューターのまだ見ぬ可能性に逃げ込んでいた。

そして10年。期待通りソフトウェアはどんな形も生み出すようになった。欧米の学生の作品集がウネウネの作品に占拠されている、という状況が生まれた。本当は表現の幅が広がったはずなのに、タガが外れると同時に、形を作る手がかりも同時になくなり、逆に閉塞感を感じるようになった。「ウネウネ系」の作品達からは、曲面が使えるんだから使わなきゃいけない、という脅迫観念めいたものを感じるようになった。その強迫観念の中で、色々試行錯誤しているのが今のカッティング・エッジな建築の世界なのかもしれない。

曲面の建築を見慣れていない目には、MADの人たちの作品も「ウネウネ建築」に一括りにされてしまう事だろう。曲面を見たとたんに、曲面に囚われて思考停止してしまうからだ。だが、その内側で、どんな試行錯誤が行われているかに注視する必要がある。おそらく、曲面に人の目(僕の目)が慣れ、思考停止を乗り越えたころに、その作家を正しく評価できるようになるのではないか。

早野さんの影響もあって、現在、麻布十番の方でも曲面を使ったプロジェクトを粛々と進行させている。果たして、自分が「曲面越え」を果たせるか。どうか。

展覧会を離れ、北京で活動する日本人の建築家/設計者達と情報交換。途中でMADの早野さんも合流し、結局夜中まで飲む。

早野さんには、北京にまだ慣れていなかった頃から、食事に誘っていただいたりして、大変お世話になりました。有難うございました。

高解像度の写真はFlickr!にアップしました。

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軍艦ビルと軍艦マンション

ダヴィンチ、「軍艦ビル」1430億円で購入

 不動産ファンド運営のダヴィンチ・アドバイザーズは通称「軍艦ビル」と呼ばれる旧秀和の芝パークビル(東京・港)を取得した。米モルガン・スタンレー系の不動産ファンドから1430億円で購入し、単独物件では国内最大級の不動産取引となる。日本の不動産市場にファンドを通じて大量の資金が流入していることを象徴する動きといえそうだ。

 取得したのは旧秀和が1982年に建設した地上14階建て(延べ床面積約10万3000平方メートル)の大型ビルで、建物の幅が140メートル(奥行きは50メートル)と長いため、軍艦ビルと呼ばれることが多い。最近までダイエーが東京本部を置き、現在は企業年金連合会や日本NCRなどが入居する。モルガンが運用する不動産ファンドが私的整理を受けた秀和の再建スポンサーとなり、同ビルを所有していた。 (16:00)

以上NIKKEI NETより引用

最近、知人の方から「軍艦マンション、外資に売却されたらしいですねぇ」という話を聞きました。えっホント?そんな話聞いた事ないけど?と調べてみたところ、西新宿の第2スカイビル:通称「軍艦マンション」ではなく、浜松町の芝パークビル:通称「軍艦ビル」だということが分かりました。ダイエー本部があった巨大ビル。

話を聞いた時は、なんちゅう酔狂な外資だよ、と驚かされました…

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すっ転ぶ

ヒデが引退を発表しました。「引退後は建築家になりたい」なんて、言っていた事があるそうで…。「できる奴は何やってもできる」説に則ると、いきなり凄いの作っちゃいそうです。建築家として活躍するヒデの姿を勝手に妄想し、10年もこの世界にいる僕ってなんなんだろう…などと考えてしまいました。

余談ですが、ブラッド・ピットも建築に興味を持つセレブの一人だとか。オランダの某事務所にもお忍びで見学にやってきたそうです。

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試合後、ピッチの上で寝転がったヒデとは対照的に、昨日僕は、北京の路上で突っ伏しておりました。

自転車で思いっきりスッ転んでしまいました。

快調に飛ばしていたところを、突然、前輪がギャップにとられ、僕は前方に吹っ飛びました。自転車はそのままタテ回転し、逆立ちした状態で止まりました。まるでマンガのような転び方。外傷もなく骨も折らなかったのは奇跡。

転んだのは僕の単なる不注意ですが、北京はとても道が悪い。「日本から帰国した頃は、足をクジきまくってましたよ」とは、日本に留学したことのある人物の弁。水はけも悪く、夕立の後の道路は川のようになります。

今北京では、オリンピックに向けて歩道や緑道の整備が急ピッチで行われていますが、街路樹の根が舗装を壊してしまっている事がよくあります。ちゃんと防根の処理をしてないんですね。中国では、表面的には良くできていても、良く見ると全然ダメ、という建物や製品が非常に多く、道もその一つです。まあ、オリンピックの寸前になって、また直しちゃうんでしょうが…でもそれってそもそもエコロジカルなんでしょうかね。

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新試験

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今をときめくトップ女優、仲間由紀恵さんも所有している普通自動車免許と、仲間由紀恵withダウンローズ名義で出した歌も好調な仲間由紀恵さんも所有している二級小型船舶操縦士免許…以前ココにも書きましたが、僕もこの2つは持っています。

という事は。

こと資格に関して言えば、僕の、殆んど唯一と言ってもいい、トリック2も好評上映中の仲間由紀恵さんに対するアドバンテージは、一級建築士免許、ということになります。ああ、危ないところだった。ほっ。

何の事やら。

ところが、耐震偽装事件を受けて、一級建築士の試験制度が変わりそうです。現在の所持者を対象に、新試験を行って、落ちた場合は二級に格下げ、なんて事も起こる可能性があるとか。

つーかさー。アーネーハァー!!

受かった時には、「これで二度と試験勉強をしなくて済む」と思ったのに、約一名のインモラルな設計士のお陰で、日本中のマトモな設計士に新たなハードルが出来てしまいました。体育会系のクラブのような団体責任です。

そもそも、この問題って一級建築士という制度自体に問題があったのでしょうか?許認可に必要な資格が弁護士だったら起こらなかったんでしょうかね。この問題は、非常に難しい問題だと考えられている風ですが、実のところ非常に簡単です。結局は、モラルの問題と、あえて言うなら建物の許認可手続の不備なんじゃないでしょうか。

なかなか良い例が思いつきませんが、ある人が、車のローンの申請書にウソを並べて、審査を通ってローンを受けたとする。それが後で問題化したときに、果たしてその人の運転免許証や自賠責保険が関係あるでしょうか。建築士と建築申請の関係はこの例とは違うにしても、批判の矛先が違う気がするんだよなぁ。

モラルの問題は試験では量れない、となるとまずは法律の罰則規定を強化するしかない。あとは、建物の認可の体制を強化する以外にないでしょう。百歩譲って「形骸化した試験制度の改革をやる」という事だとしても、とても中途半端。

「一級建築士」とガンガン報道された事で、一級建築士という制度自体が悪者にされてしまいました。制度に問題はないとは言いませんが、所詮、資格なんてそんなモンでしょう?結局は個々人の問題。

まあ、「モラルある設計者を見抜く試験」というモノを見てみたい気はしますが。

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国旗と紅旗

天安門広場では、毎日、国旗の掲揚式・降納式が行われています。中国史マニアの同僚が行きたいと言い出し、初めて行ったのはこの前の全人代(全国人民代表大会)の時でした。丁度、「マオ」を読みつつあった頃なので、特別感慨深いモノがありました。

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長安街(東西に走る北京のメインストリート)の交通が一時遮断され、兵士の隊列が出てきます。観光客(殆んどは中国人)達は固唾を呑んで見守っています。

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音楽などはありません。軍隊的なシャキシャキした動きで旗を降ろします。静かな儀式です。

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旗を手にした兵士の列は、天安門の中に消えていきました。姿が消えると同時に、長安街の通行止めが解かれ、車の騒音が聞こえ始めます。静寂が破られ、大都市のサウンドスケープに戻った直後の様子。ホッとしたように、群集が散っていきます。

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「マオ」の最後にも登場する毛沢東記念堂。遺体が安置されています。毛沢東自身は、現世の権力にしか興味が無く、自身の死後についてはまったく興味を示さなかったとの事。徹底的なリアリスト。

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英雄記念碑。戦没者慰霊碑が首都のど真ん中にそびえています。書は毛沢東。関係ないですが、中国の人たちは字が巧いです。特に江沢民の達筆は有名で、各地でありがたがられているようです。

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人民大会堂。全人代の会期中だったので、沢山の紅旗がはためいていました。人民大会堂自体がヒューマンスケールを超越したドでかい建物なので、この旗の一枚一枚もとてつもなくデカい、という事になります。旗には星や月のマークはありません。中国の国旗ではなく、紅旗です。

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どう撮ってもプロパガンダ的なイメージにしかなりませんね。赤色はそれだけ心理に訴えかける力が強いのでしょう。「マオ」によれば、人民に赤色の「毛沢東語録」を持たせたのは林彪のアイディアによるものとの事。とある中国人は、「林彪はナチスのゲッペルスみたいなものですよ」とコメントしていました。

後納式は夕方6時から行われていました。季節によって変わるかもしれませんので、行かれる方はガイドブックなどで御確認下さい。

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事務所開き

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昨晩は、友人の早野さんが馬岩松氏と主宰する設計事務所、i-madが事務所を移転したということで、事務所開きパーティーに行って来ました。北京の旧市街にある古い建物を改装した事務所で、広さは250㎡との事ですが、天井が高いため倍近くに感じます。デザイン事務所としては最高の環境と言えるでしょう。パーティスペースとしてもとってもクール。

現在北京でプロジェクトを抱えているヨーロッパの設計事務所の人々が沢山来ていました。Ove Arup北京事務所のディレクターであるマクゴワン氏は、以前は関西空港の仕事をしていたんだそうで、幾つかの日本語を披露してくれました。こういう方たちと話してみて思うのは、北京で活動するデザイナー達はトップクラスになればなるほど、アジアの文化に対して造詣が深いという事です。アジア生活を真にエンジョイしていて「アジアに住むのは嫌だが一発あてるためには仕方がない」的な嫌らしさは感じられません。北京に対してブーブー言っている自分をちょっと反省しなければなりません(まぁ、文句は半分ネタなんだけどね)。

まあともかく、20代の建築家がこのオフィスですからね…日本ではなかなか有り得ない事だと思います。もちろん、中国の建設ブームの力も大きいでしょうが、早野さんらの奮闘あってこそ。いい刺激になりました。

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東横イン商法

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東横イン問題の続き。

いくつかの東横インでは、朝、フロントのすぐ横の小さなスペースでオムスビや飲み物の無料サービスがあります。忙しい朝、朝食をガッツリと食べる気はしないけれども腹に何か入れておきたい、そんなビジネスマンには嬉しいサービスですが、これには裏の理由があります。

ホテルを建てる上では、建築基準法やハートビル法、消防法などの様々な法規の規制を受けることになりますが、その中でも重要なものの一つに旅館業法というのがあります。この法律には、ホテルにはロビーやフロントを作らなければなりませんよ、客室は何㎡以上なければなりませんよ、というような事が定められています。制定は戦後すぐの昭和23年で、東京オリンピックと大阪万博のちょうど中間の昭和45年に大きく改正されています。つまり、戦後の混乱期にホテルの衛生状態や設備のボトムアップを狙って制定され、後の高度成長期に外国人観光客を迎えるにふさわしい近代的ホテルの整備を目的として改正された、と言ってよいでしょう。

旅館業法に基づく認可―ホテルとして営業していいよという許可―は、都道府県知事が行います。この法律のほかにも、各都道府県では地域の事情に合わせて条例を整備しているため、それらのハードルもクリアーする必要があります。そして東京都の場合には、その中に「適当な大きさの食堂を設けること」という部分があるのです。

解説が長くなってしまいましたが、東横インの場合、フロント脇の小さなスペースを「ここは食堂である」という事にしてホテル認可を受ける、というカラクリを使っているそうなんです。食堂であるからには食事を提供しなければなりません。そのためのオムスビ・サービス、というわけ。

40年前ならいざ知らず、現在の東京には飲食店が溢れかえっています。外に美味しいレストランがあるのに、わざわざホテルで食事をとろうと思う人は少なくなっているのではないでしょうか。特に東横インのお客さんには、ホテルは泊まるだけで食事は外でしよう、と考える方が多そうです。ホテル側としても、オペレーションに人件費がかかるレストランを置くぐらいならその分客室を作りたいでしょうし、ユーザーだってレストランは要らないからもっと安くして欲しいと思うでしょう。そんな利害関係から生み出された法的対応のアイディア。当初は「ホテルとはこうあるべきだ」と制定された法律も、時代のニーズにそぐわなくなってきており、そのような規制をかいくぐった所に、事業者とユーザーの両者が喜ぶ答えがあったという事だと思います。

実は、前述の東京都条例の一項は、ラブホテルや性風俗店に対する遠まわしの規制でもあります。ですが、ビジネス客を対象にした「健全な」チープ・ホテルにとっては、なんとかして上手にかいくぐるべき規制であるのではないでしょうか。

これはあくまでも一例で、東横インにはそういったアイディアが散りばめられています。ホテルに与えられたデザインはともかくとして、私は東横インの経営手法には感心していました。

そこにきて先日の建築基準法とハートビル法の違反。おそらく、法の盲点を衝いているうちに、いつしか合法と違法のラインがアイマイになり、エスカレートして行ったのではと推察されます。社長が「法定速度60キロのところを67・8キロで走っても…」というような問題発言をしていましたが、その感覚は本当だったのでしょう。(彼の遵法意識が、普通の人のソレから「とっても」乖離してしまっているのは記者会見での態度を見ても明らかでしたね)

与えられた容積率の中で如何に採算性の高い建物を建てるか。身障者対応を如何にクリアーするか。そんな問題と日々格闘している日本の経営者や設計者をバカにする、ひどいルール違反です。ルールあっての競争ですから、東横インは何らかのパニッシュメントを受けるべきなのは当然です。ですが、前述のような「法の盲点を衝いた新しいサービスを提供する」行為と今回の「ルール違反」は明確に区別されるべきでしょう。法が想定していないところに新しいビジネスが眠っている事も事実であり、新しいビジネスに対するチャレンジ精神が萎縮してしまいかねません。

法律は細かく決まっているようで、実は穴だらけ。穴を全部塞ぐなんてどだい不可能です。結局は経営者と設計者のモラルの問題なんです。

昨今よく言われるコンプライアンスという言葉…日本語では法令遵守と訳されますが、広義には社会道徳を遵守する、という概念も含みます。今後「穴を塞ぐ」ように規制を付け加える動きが出てきそうですが、そんなこと以前に、今回の一件は経営者や設計者のコンプライアンスを醸成する「良いクスリ」になったのではないかな、と思う次第です。

今日は長くなりました…
最後までお付き合いいただき、有難うございました。

写真は東横インの室内。狭いですが、宿泊に必要な全てが揃っています。

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ホテル/イン/宿泊所

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今更ですが、東横イン問題。最近、建築基準法がらみの事件が次から次へと起こっています。一級建築士を名乗れば、ちょっと前までは羨望の眼差しとまでは行かないまでも、感心くらいはしてもらえたのに…今となっては悪の権化のような言われようです。

全国の設計者の名誉のために言わせてもらいます。世の殆んどの設計者は、容積率を超えるなんてことしないから!コスト下げるために鉄筋量を減らすなんて怖いこと考え付きもしないから!ホント、逆の意味でコペルニクス級のスーパーアイディアだから!

…だと、僕は思いますけどね…

東横インが、建築法規に非常にシビアなのは知っていました。僕自身は、むしろこのホテルチェーンの経営姿勢には感心していたくらいで、以前この日記に宿泊体験を書いたこともあります。最近はホテル関係の調べ物をしていた事もあって、この問題が発覚した時には、社長の著書を読んでいた所でした。

この問題については、色々思うところがありますので、近いうちに書こうと思います。


写真は上海の老舗ホテル、錦江飯店。ホテルつながり、ってことで。

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原付さんぽ

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先週は中国の旧正月休みでした。思い切って南国に逃避しようかとも思ったのですが、外せない用事がポツポツと入ってしまい、まとまった時間が取れませんでした。結局、少し時間を見つけては東京の美術館や本屋を訪ねてプラプラする…という休みの過ごし方をしました。

原美術館まで行ってきました。道中は三田、高輪といった比較的起伏の激しい所で、自転車で行くのはチトきつい。買ってこのかたコレといった活躍の場がなかったEC-02がようやく日の目を見ました。

綱町三井倶楽部、高輪消防署(写真)、高輪プリンスホテル、旧竹田宮邸などの名建築が随所にあります。さすが元祖山の手・元祖セレブ地区。目的地の原美術館だって元々実業家の豪邸だもんなぁ。

開館5分前にたどり着いたオラファー・エリアソン展。入口にはもう、10人くらいの方が待っていました。なんでも、土日は作品鑑賞に支障が出る程の人出で、会期が延長されたんだそうです。

暗闇に霧を散布して人工的な虹を作り出したり、光をプリズムを通して分解し、それを用いて美しく空間を再構成したり、一室をカメラ・オブスキュラにしたり。ダ・ヴィンチやレオナルドの時代の、「プリミティヴな科学」の現代的な再解釈とでも呼べばいいんでしょうか。子供の頃、はじめて「学研のかがく」に触れた時のような新鮮な感覚がありました。

一方で、そんな「科学」のルーツは、人々を驚かせるための「魔術」や「奇跡」であった訳です。そんな、おどろおどろしい魔術的な雰囲気も同時に感じました。古の為政者が日食や月食を予言することによって人心を掌握した事と、エリアソンがテート・モダンのホールに巨大な人工の太陽を浮かべた作品:「ウェザー・プロジェクト」によってその名声を不動のものにしたという事実は、本質的には同じ事なんじゃないだろうか。そんな事を考えました。

小ぶりですが、いい展覧会だと思います。是非。

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マイ・アーキテクト

もう一週間ほど前になってしまいましたが、映画「マイ・アーキテクト~ルイス・カーンを探して~」を観に行ってきました。建築家:ルイス・カーンの素顔を、愛人の息子である監督自らが明らかにしていく二時間。

事務所では、半年以上前にボスが入手してきたDVDを事務所で鑑賞したそうですが、僕は中国に居たため観れずじまいでした。そのDVDを借りて観ようかとも思いましたが、劇場だったら日本語字幕付きだし、しかもその字幕は直弟子の香山さんによる監修だし、その会場のQ-AXは北山さん設計だし、しかも杮落としだし…そんなわけで劇場に行く事にしました。

入ってみると、同業者8割、学生(同業者予備軍)1割、なんだかよく分からないけど来ちゃったカルチャー敏感人間さん1割、という雰囲気でした。上映は21:15~の一回だけ。映画館サイドも、やたらと忙しい設計者の生態をよく分かっています。

時折、設計者同士で「好きな建築家は誰ですか」なんて質問し合うことがあります。コルビュジェやライト、ミースなどはメジャー過ぎて、「何を今さら」感が漂ってしまいますし、一番ホットな活躍中の現代建築家を挙げると、「なんだこいつ、単なるミーハーだな」と思われてしまいそう。もし自分が、雑誌にバンバン露出しているような著名建築家であれば何を答えたって「ほほー」と感心してもらえますが、僕のようなビミョーな位置に居る設計者にとっては、こういった質問に答えるのには注意が必要です。

そんな時「カーンです」というのは、なかなか無難な返事だと思っています。作品には静かな美しさが満ちており、饒舌なプロジェクトは少なめ、自身にも経済的/政治的な野心は少なめで、空間やそこに差し込む光など「建築の王道」的な発言を多く残しているカーン。彼の名を挙げることによって、「僕は正統派建築家ですから!」とアピールできる、そんな気分があるんです。

つい最近、カーンの作品集を再読する機会がありました。学生時代以来の事です。勝手に祭り上げられちゃっているところがあるけれども、実は、カッコ悪い作品もあれば、遊び心溢れるキャッチーな仕事もあるんですよね。幾つかの代表作を除くと、非常に人間臭い作品ばかりなんです。

この映画では、聖性すら感じさせる代表作を紹介する一方で、その作風とはまるで逆のメチャクチャな私生活にも焦点を当てています。息子の手によって燻し出されて来たのも「人間臭さ」そのものでした。

人間って、いろんな所でバランスを取っているものなのかもしれません。

建築以外の方が楽しめるかどうかはちょっと分かりませんが…よくできたドキュメンタリーだと思いました。

Louis I. Kahn: Complete Work, 1935-1974

プロジェクトを網羅。スケッチ豊富。ただし白黒。

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人民大会堂

ココロに堅く誓っているわけではありませんが。

今年は、北京十大建築をできるだけ見よう、と何となく決めています。十大建築とは、1960年前後に、人民共和国建国十周年を記念して建てられた建物たちです。国の威信を負うに相応しく、とにかくデカいのが特徴。様式的には、新古典主義、スターリン様式、社会主義リアリズム、といったキーワードで説明できます。驚きなのは、これらの巨大な建物たちが、一年足らずの突貫工事で建てられている事。国を代表する建物だったらもっとじっくり建てようよ、と思うのは日本人的な感覚なんでしょうかね?

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ともかく、昨年の末に行った軍事博物館に続いて、今度は人民大会堂に行ってまいりました。中国の最高意思決定機関とされている全国人民代表大会(全人代)の会場であり、国会議事堂のような存在です。

目的は、「一把酸棗」という中国現代舞踊の鑑賞。国会議事堂でお芝居、なんてちょっと粋ですね。80年代くらいまでは一般人が立ち入り出来るような施設ではなかったのですが、近年ではこういった用途にも使われるようになってきたそうです。

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ドでかいシャンデリアがバカスカ下がるホワイエ。

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大堂内部のインテリアはアールデコ的で、軍事博物館にも共通する優美さがあります。天井の中央にはお約束の紅星。星に向かって天井がせりあがって行っているように見えますが、実際は中央部は周囲よりも低くなっています。照明を巧みに使っています。

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議事堂ですから、座席には机がついています。しかしまあ、一列あたりの座席の多いこと!自分の座席はど真ん中だったので、10人近くの人にゴメンナサイしながら通って行かなければなりませんでした…ここらへんの大雑把さは、中国的。

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肝心の舞台は、高すぎる身体能力と美貌を兼ね備えた男女―ほぼサイボーグ―が繰り広げるスペクタクルロマン舞踊でした。アクロバティックな動きをふんだんに取り入れた舞踊自体のレベルの高さは勿論ですが、舞台美術や、衣装デザインの素晴しさに驚かされました。これってライオン・キングのパクリだよね?というシーンもありましたが、おおむねどの場面もアイディアに富んでいて、完成度も高い。ヘタなミュージカルよりもカネがかかっていそうです。

ググってみると、総監督の張継鋼氏はこの分野の第一人者であると同時に、「解放軍総政治部歌舞団団長」という肩書きもあるようです。つまり、軍専属の劇団の団長なんですね。「抗日戦争勝利60周年記念文芸の夕べ」というイヴェントの監督もやっていたりするようですが…

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終了後、記念撮影していたサイボーグたちをパチリ。中央の男性が張継鋼氏。その両隣が主役の2人。

舞台は素晴しかったですが、観客のマナーが、ちょっとね…

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ドゥ!レミハウスとココットハウス

久しぶりにアクセス解析をチェックしてみました。

プロバイダのサービスとして付属しているアクセス解析では、「サーチストリングス」、すなわち、人々がどんな検索ワードを使って飛んできているかを知ることができます。

解析を始めて7ヶ月、検索ワードのトップには、ある言葉が君臨し続けて来ました。
その不動の検索ワードとは「辞表の書き方」。

とほほ。

辞表は、テレビドラマで封筒は見たことあっても、文面はなかなか分からないですもんね…確かに、僕もちょっと困った記憶があります。
これからも来る人が多いでしょうから、「辞表(退職願)」の書き方を参考までに書いておきます。

これで貴方も円満退社!<「辞表の書き方」:決定版>
・タイトルは「退職願」が一般的
・提出日
・署名および印
・「私、○○○○は以下の理由により、退職させて頂きます。」
・理由:通常は「一身上の都合」とする事が多いでしょう。友人のN氏は、会社に対する不満をつまびらかに書きすぎて、付き返されたたそうです。大学のレポートじゃあるまいし、辞表で再提出を食らうなんて…やはり伝説の男は違います。
・退職予定日および退職後の住所:手続きにコレくらいの情報は必要だね!
・また、テレビドラマのように封筒に入れなくても(たぶん)大丈夫です。
・会社によっては、社内ネットなどでダウンロードできると思います。再提出を食らわないように、事前にリサーチしてみよう!!


…本題に戻ります。
2006年に入って、その検索ワード・ランキングに異変が起こりました。磐石と思われていた「辞表の書き方」を抜く検索ワードが登場したのです。

それは、

「栗原はるみ」+「木下工務店」。

検索エンジンにヒットするように何度でも書きます。先日の「栗原はるみ「私が住みたい家」プロジェクトby木下工務店」の記事に、「栗原はるみ「私が住みたい家」プロジェクトby木下工務店」の情報を知りたい方がアクセスしているということです。中には、「栗原はるみ」+「木下工務店」+「予約」の3ワードで検索するという気の早い方も居ました。

正直驚きました。栗原氏の影響力は僕の想像を大きく超えていました。
本来、家作りで主導権を握っているような「良妻賢母」タイプの奥様たちが、一斉にこの商品に流れていく可能性がありそうです。大ヒット企画の予感。

他のハウスメーカーさん、
平野レミ氏とタイアップした「ドゥ!レミハウス」や、
ル・クルーゼとタイアップした「ココットハウス」
を早く開発しないと乗り遅れますよ!


…なんか、他人事のように書いてますけどね。お前もだ!って感じですね…


平野レミの鍋 ドゥ!レミパン 24cm