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建築家ごっこ

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僕のツィッターのアカウントをフォローして頂いている方はご存知かもしれないが、このところ、ボードゲームに凝っている。中国棋院の設計をしていた頃は、将棋にも、碁にも、興味が全く湧かず、果たして僕はこの物件の設計者として相応しいのか?と悩むほどだったが、数ヶ月前にちょっとした切っ掛けがあって燃え上がってしまった。

つい先日オープンした天津のGang*Gang Cell-ar。そのオーナーの1人である羽深さんは、筋金入りのゲームボード・ギークで、学生時代には、その筋では有名な専門店への就職も考えたほどだったという。彼は天津の家にコレクションの一部を保管していて、出張で行った時に、じゃあ一つ遊んでみようかという話になった。初心者向きに...とセレクトされたのは「カルカソンヌ」というドイツゲーム。僕はゲーム中、「よくできてる!面白い!」と感心しっぱなしで、それ以来、すっかりハマってしまった。

虜になってしまったのには、羽深さんが少々手加減をして勝たせてくれたのもあるかもしれない。そしてその手加減は、「こいつを一度勝たせれば、こちらの世界に引き込めるな」という策略ゆえかもしれない。なぜなら、こういったゲームは、往々にして大勢で遊ぶ方が面白く、メンツを集めるのが最初の障壁になるからだ。中国の地で日本語を話すメンツを集めるのは、より難しいのは言うまでもない。

僕も、メンツ集めの一助として、このニッキで遊んだゲームを紹介して行きたいと思っている。狙うのは同業者、建築設計業に携わる皆さんである。僕は、多くの建築関係者の方が、この世界を楽しんでもらえるだろうと確信している。その理由は主に2つある。


1 建築家が活躍する(おそらく唯一といってもいい)エンターテイメントであること。

建築家が登場する娯楽作品は、実はそれほど多くない。もちろん、映画やドラマに建築家の役柄が登場することは稀にあるが、同じ資格職業である弁護士や医師に比べると壊滅的に少ないといっていい。よしんば登場したとしても、納得の行かない作品の窓を叩き割ったり(ドラマ「協奏曲」)、あげくの果てには放火(映画「摩天楼」)したりしてしまう、よく言えば芸術家肌、悪く言えば「イっちゃった人」として描かれる場合が多い。理由は簡単で、建築家は表面的に華やかな職業に見えても、その実、業務内容は地味極まるからだ。僕自身もこの職業をそこそこやっているが、悪天候で揺れる機内の中で、顔面蒼白になったキャビンアテンダントに「お客様の中に建築家の方はいらっしゃいますかっ!?」と呼びかけられた事なんかないし、それに匹敵するようなスリリングな出来事を聞いた事もない。ドラマチックでない仕事がドラマになるわけがないのだ。

ところがボードゲームは違う。開拓、建設競争を題材に採ったものが多く、それらの作業を効率的に進める事ができる「建築家カード」やら「建築家駒」の奪い合いが起こる。どうやら、ゲームの世界では、現実世界以上に建築家は人気者らしい。


2 プリミティブであること。

19世紀の末から議論されてきた事だが、建築は、非常に原始的な要素の集積だ。ありていに言ってしまえば、壁と屋根といった、誰でも見知っている要素を組み合わせたものだ。もちろん、超高層ビルや大空間など、高度な解析を必要とするものはあるが、それにしたって、シリコンの塊から集積回路を切り出したり、それに演算させる技術に比べれば、「ありがたみ」が薄い技術と思われても仕方がない。限られた原始的な要素を使いながら、新しい体験を提供するのが、建築の難しさであり、また面白さでもあるのだが、ボードゲームはこの点で共通している。ボードゲームで使われる道具は、ボード、駒、カード、サイコロといった原始的なもので、これらを適宜組み合わせる事でプレイヤー同士の駆け引きを作り出し、エンターテイメントを演出しているのだ。

建築家はジレンマの中に生きている。顧客の満足を得る事だけがゴールではないからだ。顧客には、それに投資している投資家が居るかもしれないし、出来上がった建物に入居するテナントや、買物に来るお客さんの事も考えなければならない。建築物は都市景観の一部になるのでそれに対する責任もあるし、そういうマジメな使命感の一方で、衝撃的な作品を発表して有名になりたいという下世話な自己顕示欲もある。顧客、コンサルタント、施工者...沢山のプレイヤーの中で奮闘しながら建物を作る。ゲーム理論では、生活内のあらゆる出来事を戦略的環境として見る事から始めるが、我々の仕事は、その中でもかなり難しい部類のゲームになるだろう。そんな建築の世界のアナロジーとなっているゲームを探してゆきたい。

...とまあ、オモチャを買い集める言い訳を長々と考えてみました。今後のゲーム紹介は、カテゴリ「建築家ごっこ」にてまとめて御覧下さいますよう。

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