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March 2009 Archive

良い時代になった。のか?

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あまりにもパッとしない写真だったので、パッとしたセレブに持って頂きました。作ったのはここ

以前、米国の某大学に留学中のS君が我々の東京事務所に来た時に、「わあ、プラッターがちゃんとあるんですねぇ」と感心していた。え?プラッター?スプラッター?「いや、あそこにあるじゃないですか、プラッター。」と彼が指差した先には、プロッター(正確には大型プリンター)があった。彼は米国生活が長いので、plotterが日本語でどう呼ばれているのか、知らなかっただけみたいだったが、「なぁに西洋風吹かせてんだ、そのなんだ、キミはアメリカの事を『ステイツ』というクチか?感じ悪いなぁ。じゃあ日本はプリフェクチャーズで、中国はプロヴィンセズだ!まいったか!」とイジリ倒して笑っていた。

一昔前は、プロッターといえば、大きな設計事務所しか持てない、高級機材の代表格だったが、今や、百歩譲っても決して裕福とは言えない弊事務所にも入っている。こんな素晴らしいものが20万円しないなんて。技術革新って凄いよなぁ。価格ドットコムや、ヨドバシを見ても、何もかも本当に安いよなぁ、と感心してばかりの自分は、オッサン丸出しだ。

最近、事務所でA3複合機を買うことになった。小規模オフィス向けの人気製品で、かつての同僚がしきりと薦めていたものだ。インクジェットではあるが、A3ファックス、スキャン、コピー、なんでも出来て、しかも無線LANにも繋がると言うスグレものなのに、日本では4万円そこそこ。コピー機って、普通のオフィスで一番高いものじゃなかったっけ?良い時代になったなぁ。中国人スタッフ達の冷ややかな視線を尻目に、凄いよ、コピーもキレイだよ、これ何でも出来るよと、キャッキャッいいながら弄っていた。

もうちょっと経てば、数万円で光造形の機械やら立体プリンターが買える時代が来ちゃうんだろうか。ありえるよなぁ、既に、ちょっと大きな事務所では、模型を作るのにヒートカッターを使わず、CAMに材料を切り出させるって言うもんなぁ。

ちょうどその頃、SH事務所のHさんが遊びに来たので、その話になった。いやーほんとにねぇ、こういうモノがあるから、次々独立して、小さいデザイン事務所が乱立しちゃうんだよねと。

…ほんとに、良い時代になったのか?

昔は外注せざるを得なかったものも、今は自分でできる。便利になってるはずなのに、仕事はどんどん増えている。特に、なんでも自分でやらないと気が済まない性格の人間は深刻だ。設計に割く時間がどんどん少なくなっている気がする。

「大きい絵」を描き続けた昭和のスター達。アーティストでも、作曲家でも、建築家でも、デザイナーでもなんでもいいが、彼らは、細かな作業を信頼できるプロフェッショナルに丸投げすることで、壮大な構想を練る時間を確保していたのかもしれない。思えば、かつては一部のプロのものだった機材が、次第に安くなり始めた頃から、スターが減り、アイドル級の人達が乱立するようになった気がする。気のせいだろうか。


ブラザー工業 A3インクジェットFAX複合機 JUSTIO MFC-6490CN

これは日本向け製品。中国向けは6万円くらいする。

表紙に載るっていうと、

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エスクァイアのロゴってカッコいい。日本語版はもうすぐ休刊。表紙を飾る事を夢想する事すら不可能になってしまいました。

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数少ないリクエストにお応えして、自分のポートレイトのものも。苦笑。

尾方さんのブログで知った、Photofuniaで作りました。(尾方さん、最近は、中国からアクセスできるみたいです!かわりにYoutubeが見れなくなりましたが…)

うれしはずかし

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とは、こういう事をいうのかな。

事務所に行くと、郵便物が幾つか届いていた。僕の場合、郵便物というやつは請求書だとか広告チラシとか、もらっても嬉しくないモノがほとんどなんだけれども、その中に中国の雑誌社からの大きめの封筒が混じっていた。ああ、掲載誌ね、どんな誌面なのかな、と封筒を開けたら、見覚えのある写真が目に飛び込んできた。うわ、表紙になってるよ。全然聞いてなかったのでビックリした。

だってこれ、コア専門誌でしょ、月刊「将棋世界」とか、月刊「蛋白質核酸酵素」みたいなもんでしょ、月刊「住職」とか「マンスリー床」みたいなもんじゃない!しかも中国だしさ!とか思いながらも、やっぱり嬉しい自分が居た。

誌面にはインタビューと顔写真もある。これらは、僕にとって非常に恥ずかしい内容に仕上がっている。もちろん、記者の女性は、僕をもり立てようとやってくれたんだろうけれど、奥ゆかしい日本人としてはなんとも言い難い…とか思いながら、やっぱり嬉しかったりして!!

建設中の現場の仮囲いに、設計者の顔写真付きの広告がデカデカと貼られるなんていう例もあるくらい、中国の人は顔写真が好きだ。雑誌にちょっとしたコメントを寄せる際にも、ポートレイトは欠かせない。それは知っていたが、こんなにデカデカと載ってしまうとは…中国ってコワい。もし、撮影中にふざけて撮った「小悪魔ageha」ポーズの写真が使われていたら、と思うとゾッとする。

何度か会った事のあるインタビューアー、また録音無しと言うことで、調子に乗って喋りすぎた。「へぇ、休日は何をしてるの?」「オタクだからなぁ。最近はスピーカーを作ってるよ、スピーカーって、箱が重要なんだよ、というのはさあ…(中略)…というわけで案外空間的で面白いんだよ、わっはっは」なんて会話が記事になっちゃうなんて…他に仕事のアピールをたくさんしたのに…

久しぶりに子供のようにはしゃいでしまった。仕事の関係者や、写真を撮ってくれたジュディにも連絡を入れたところ、みんな嬉しそうだった。この数日間、なんとなく凹み気味だったが、良い週末を迎えられそうだ。

雑誌掲載についての詳しい情報はこちら。東京にも置いておくので事務所にお越しの際は笑ってやって下さい。

写真は、Mizuma & One Galleryで開催中の「天欲」展の様子。今週末までだそうです。

動かないから高い。

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東京近辺で、年収7−800万円のサラリーマンの人達が購入するマンションは、坪当たり200−250万円くらいがボリュームゾーンではないか。そのうち、マンション自体の建設費用は、70−80万円/坪といった所だと思う。

以前の同僚に「車は安い」という持論を唱えつつ、車をバンバン買い替えている人が居た。詳しくは知らないが、トヨタのカローラは150万円くらいだろう。これには、リクライニングするチェアや、冷暖房、ちょっとした鏡がついていて、窓は曲面強化ガラス、外装はプレス成形のスチールに最高レベルの塗装である。おまけにエンジンというスグレものの力で自走してしまったりする。設計にあたっては、最高レベルの技術と試行錯誤が積み重ねられている。

同じ150万円でどんな建物が建つと言うのか、と彼はいう。確かに、6畳のガランドウの部屋しか出来ない。電灯や空調くらいは付けれるかもしれないが、給排水やトイレ・バスは無理そうだ。モーターの力で窓が開くギミックなんて夢物語だ。ましてや、動くなんて。

全くだ。本当に建物って割高だな。トレーラーハウスに住む人の気持ちがわかる。

逆に言うと、建物は動かないからこそ高い、とも言える。材料も、作り手も、敷地までやって来なければならない。敷地に対応する一品生産品だから、値段の基準がよく分からない。よく分からないから、値段の仕組みはブラックボックス化する。このブラックボックスに光をあてて、施主に説明しつつ、コストのバランスを取るのも、僕らの大切な仕事だ。

中国のマンションの建設費は、平米あたり3000元強。坪/日本円に直すと、だいたい18万円/坪くらい。内装、設備が無い状態で引き渡されるので、内装をするのに7万円はかかるだろう。合わせて25万円、日本の約1/3だ。対して、車は高い。税金のおかげで、カローラも350万くらいするらしい。

中国では「車は安い」説は成立しなさそうだ。

写真は物件の照明テストの様子。

カッコいいじゃないか。

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7年前に撮った写真を引っ張りだしてみた。この頃は、都内を毎晩のようにブンブン走り回っていた。今思えば、一番、垢抜けた生活をしていた時期かもしれないな。

友人のブログで、ヤマハのバイク、VMAXの発表会の記事があった。凄くカッコいい!!

デザインは時代の鏡でもあるので、意識的/無意識的に、多少なりとも時代の空気感を映し込もうとする。でも、作業をしながら、「これは今っぽいよな」なんて、しょうもない事に満足している自分に、時折嫌気がさす事もある。ネットでも雑誌でも、適度にウネる白いピカピカの内装や、薄くて軽くて少しばかり素材感のある家具が、「グッドデザイン!」として持ち上げられている。そういう状態を食傷気味に感じている人は、僕だけでないはずだ。

そこに来た、新VMAXのデザインの「空気読めてない感」の凄さといったらない。開発に24年かけているんだそうだ。時代の空気なんて読めるはずがない。むせ返るほどのアメリカンなマチズモと、モノ作りに対する日本的な情念が共存している。大型バイクはやっぱBMWがカッコいいよね、なんて思っていたけれど、ヤマハが大外から抜き去って行ってしまった。GKデザインって、底力あるな…久しぶりに衝撃を受けた。

以前、ヤマハ発動機さんから、デザインについてのヒアリングを受けた事がある。デザイン画を見て、他のデザイナーさんと一緒に、忌憚なく意見を言うというもの。会社の人は、自社製品のデザインに自信なさげであったが、もう、全然、このオンリーワン路線で突っ走っていって欲しいと思う。

「その細部にヤマハが宿る」ってコピーは、「神は細部に宿る」からひいたんだろうが、そうすると「ヤマハ=神」って事になっちゃうな。神をも恐れぬヤマハ発動機。スペシャルサイトも気合いが入りまくっている(「新三国無双みたい」とは竹森君の弁)。

これは欲しい。でも税込231万円。うむー。10年後に向けて貯金を始めよう!限定解除も取らなきゃ。でも、その頃、ガソリン車って残ってるのかな…?

前門23号

お客さんから、「前門23号を見て、今の仕事の参考として欲しい」との要望があり、現場の責任者とともに向かう。前門というのは、天安門広場の南側のエリア。オリンピックに合わせて、再開発が施され、清朝の町並みが復元された。

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前のボスは、とある対談で、中国で行われている開発の現状を、マンハッタン、ロサンジェルス、ディズニーランドの頭文字を取って、MALAD、マラードと評していた。天安門事件以降、大量の中国人達がに留学した。彼らが国に帰り、現在、都市計画の決定権のあるポストに就いているのだが、彼らの中には都市計画や建築を専攻した人間は少ない。彼らの好みは、いきおい、彼らが留学先で衝撃を受けたアメリカニズムぷんぷんの風景に大きく影響される事になる。その文脈で言うと、北京のド中心に突如現れたこの風景は、MALADここに極まれり、といったところだ。

開発の善悪はさておくとして、観光客で非常に賑わっていた。お店のテナントは、まだ殆ど入っていないけれど。

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「前門大街23号」についた。でも、お店入ってないんですけれど…。話に聞いていたようなエクスクルージヴなレストランのイメージは微塵もないし。

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電話で確認すると、「前門23号」は、現在の住所ではないそうで…。慌てて本当の「前門23号」に向かう。天安門広場から東へちょっと入った場所。人民共和国成立前の、大使館/領事館エリアで、洋館が建ち並んでいる。ネットで調べてみると、上海の「外灘3号」をハンデル・リー氏が、旧アメリカ領事館を高級レストランやブティックエリアへとリノベーションしたという。高級日本料理やフレンチのレストランをはじめ、ほぼ全ての腕時計好きが最終目標にしている、パテック・フィリップのブティックも入っている。予め調べておけって。

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案内してくれたスタッフの話によると、建物の設計者は日本人だという。確かに、基本的な考え方やディテールの処理の仕方に、日本のプロの仕事を感じた。力の入れどころと抜きどころがプロっぽいと言うか。ムリ・ムダ・ムラがないというかな。自分はこうは作らないだろうけれど、良い仕事だと感じた。

賞賛していたら、スタッフが「でもあの部分の○○の処理の仕方は汚いんじゃない?」と言う。おお!さすが長い期間、教え続けてきただけの事はある!と嬉しくなる。スケッチを描きながら、汚くなってしまう理由を解説。この部分はおそらく、設計者も逡巡しただろうね、コンセプトを重視するとこうなるけれど、きっと中国の○○の施工の悪さを知らなかったんだろうね…、僕だったら、多少コンセプトを犠牲にしてこうしちゃうかもなぁ…などなど。日本のクオリティーの高い実施設計を思い出す良い機会になった。

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中のスペイン料理店で食事。ランチは日本で2500円くらい。盛りつけのプレゼンテーションも美しく、さっぱりとしたお味で、美味しゅうございました…と思ったが、同行した中国人達の反応はいまいちだった。世界中、どこに旅行しても現地の中華料理を食べる人達だからなぁ。パンチが少な過ぎるのかもしれない。

「日本人は外国料理を食べ慣れてる」という話になる。外国行って、マズいに決まってる現地の日本料理をわざわざ食べない、現地料理が一番美味しいに決まってるもの、日本人はそう考えるんですよ、と説明する。

ところで、どう?この写真!ブログっぽいでしょう!

Minuano / Love Logic

もう、13年近くも前の夏。

日本の大学院の学生生活は、おおむねヒマだ。作品や論文に忙しい時もあるけれど、それ以外はいたってヒマ。本来は、学生達の自主的な研究に任せている、という事なのかもしれないが、学生、とりわけバカな学生である僕が、将来に備えて勉強しよう、なんて殊勝な事を考えるわけがない。結局ヒマを満喫することになる。特に夏休みの間はヒマだった。

大学には、インターネットというものが入り込みつつあったけれど、自分の所属していたデザイン学講座の研究室は蚊帳の外だった。ゼミは、数十年前の文献を引っ張りだして来て皆で読みあうようなモノだったので、メインフレーム・コンピューターに計算させる事なんてない。パソコンと言えばマッキントッシュが一台あるだけ。ただ、そのパソコンは、教授に大プレゼンをして購入してもらったもので、当時としては最新鋭の機種だった。そんな、工学部のガラパゴス島の至宝を、僕は夏休みに占領していた。誰もいない校舎の外ではセミ達がミンミンと鳴いていた。セミは短い時を生きるのに大忙しだな。こっちがヒマなのが申し訳ないくらい。

ヒマに任せて取り組んだのはウェブサイトの製作だ。コンテンツは、当時好きだったアシッド・ジャズにすることにした。サイト名は、「まんが道」で出てくる藤子不二雄の最初の仕事、「ダルマ頓服」の広告イラストから取った。東福とトンプクは音が近いよな、と中学時代の友人のY君がボソリと言ったのを思い出したのだろう。かくして決まった「酸性ヂャズ/ダルマトンプク」という名前は、13年経っても変わっていない。

学生の社交範囲なんてたかが知れている。自分の好きな界隈の音楽について、自分より詳しい人物は廻りに居なかった。今思い返せば赤面してしまうが、自信満々でレベルの低いコンテンツをアップしていた。当時のネット世界は今に比べると牧歌的ではあったが、既に「この人は世の中に出た音楽を全部知ってるんじゃなかろうか」と思うような人達が既に居た。

たまにコメントを残してくださるコンポーザー/パーカッショニストの尾方伯郎さんもその一人で、当時は「ダダダ打楽器だ!」という打楽器の情報サイトをやってらした。相互リンクしてもらった時に頂いた、奥ゆかしいメールの行間から滲む知識量に感嘆したものだ。物心ついた時から聴いてるんだもの、僕なんかが太刀打ちできる訳がない。70年代以降のジャズ/クロスオーバー/ブラジリアン・フュージョン等々については、この方から多くを教えて頂いた。

考えてみると、僕の音楽関連の人間関係はネットがきっかけになったものばかりだなぁ。N氏だってそうだしなぁ。ネットには賛否あるけれど、僕に関しては恩恵の方がはるかに多いなぁ。

さて、思い出話が長くなりましたが、その尾方伯郎さんによる、Lampの榊原香保里さんのウィスパー・ヴォイスをフィーチャーしたポップ・プロジェクト、Minuanoの"Love Logic"が発売になりました。毎度の事ながら、尾方氏の広範な音楽性が生かされた素晴らしいアルバムになっています。

ポップでソフトロックでキャッチー。そしてちょっぴりサウージ/サウダーヂでブラジリダーヂ。スピリチュアルでトライバルかは聴く人の心境によります。……おいおい。このところ、音楽関係の文章を書いてないのですっかりボキャ貧になってしまっているので、どんな音か知りたい方はコチラで試聴下さい。僕なんかがどうこう言うより、実際聴いてもらうのが一番。

車の中でデート中にポップスとして軽く聴くのもよし、オーディオを仏壇に据えてバックの技巧に耳を澄ますのもよし。ユニット名をパット・メセニーの曲名から取っているくらいだから、演奏やレコーディングに対するコダワリも半端ない。学生の方は、春休みの研究室のBGMとして聴くのもよし!将来、社会人になって仕事に疲れた頃に、その時の情景とこの音楽がフラッシュバックする事でしょう。まるで今の僕みたいにね。薄汚れた北京の空の下、日本の入学シーズンの桜を思い出す、そんな優しい音楽です。


Minuano / Love Logic

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