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春節後の雪

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春節直後の北京は、すっかり暖かくなって「春が来たな!やっぱ、旧暦って合ってるな!」なんて古人の知恵に感動していたのだが、先週はグイッと冷え込み、雪がチラつく日々だった。雪が降る日、っていうのは実際はそんなに寒いわけではないのだが、何しろ風が強かった。引退しかけたダウンジャケットをもう一度引っ張りだし、帽子と手袋の完全装備で通勤している。マフラーも欲しいくらいだ。

中国の建設設計界では、「春節を過ぎると仕事が来る」というレジェンドがある。他の設計事務所も、ここへ来てがぜん勢いづいているらしい。ウチは、春節前は比較的忙しかったが、新年になって新しい仕事の打診は今のところない。代わりに、友人の中国人建築家から「今やっている美術館の設計について意見が欲しい。メシ奢るから」という打診があった。まったく、全然代わりになってない。仕事よこせっての!とブツブツ言いながら向かった。

案はなかなか良く、中国人設計者達が着実に力を付けて来ているのを感じた。去年までの中国の建築家達は、カネを稼ぐ事に忙しすぎて、クオリティーを上げる事に考えが及ばない感じだったが、彼らも自省する時期に来たという事かもしれない。そうなると、中国に居る外国人設計者の淘汰が始まるのも時間の問題になる。

北京には、オリンピック前までの期間に、外国人設計者による作品が量産された。一見すると、華やかな建築達ではあるが、よくよく考えると単なる「一発ネタ」的な作品が殆どで、建築として評価できるものは殆ど無いに等しい。残念っ!

クライアントとなる中国人の目も肥えて来ている。遅かれ早かれ、大方の「ガイジン」の化けの皮は剥がれてしまうだろう。最近、北京で活躍する台湾人の美術ジャーナリストの方と話す席があり、北京に居る「ガイジン」の話になったのだが、普段は勝ち気な彼女が「私は、本国では一流ではないのよ。本国に戻ったら翻訳の仕事しかない」と言っているのを聞いてはっと思った。中国にいるガイジン達は、悪く言えば、本国で十分に食えない、ということだ。我々が、お世辞にも一流とは言えない事に、中国人達もとうに気づいているだろう。

我々が、と書いたが、もちろん僕だって例外ではない。僕自身は、仕事さえ選ばなければ、どこだって食って行ける、という妙な自信があるけれど、今のような面白い仕事からは縁通くなってしまうだろう。

僕が、仕事を中国で始める、と言ったとき、ある人は「中国は、オリンピックまでは外国のデザインを導入するだろうけれど、その後は中国人で全部やっちゃうんじゃないかな」と言っていた。僕らが一流でないことに無自覚であり続けたなら、その「大政奉還」を早めてしまう事になる。

今年の中国の仕事状況は暗雲たれ込めているが、そのかわり、日本から仕事の打診を幾つか頂いている。このミゾウユウの不景気の中、北京に居る事が多い僕に、わざわざ声をかけてもらえるのは大変有り難い。日本的な作り込みの世界を通して、カンをもう一度取り戻すいい機会になりそうだ。

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