Home > architecture/design > | art > | book > | food > オノボリさん

オノボリさん

ginza_lion.jpg

1月31日、もう1月も終わりか。
昨日、中国の施主から、奥様へのプレゼント用の化粧品を頼まれていたのを思い出した。「35歳、乾燥肌、資生堂、予算は2000元程度」とのシンプルな要望。お世話になっている方なので、しらばっくれる訳にも行かない。友人にお願いして、銀座三越の化粧品コーナーに付き添ってもらう。凄い混雑で、不景気が嘘のよう。ただ、あちらこちらから中国語が聞こえる…ワイワイ叫んでいる意味がわかるのは、嬉しくもあるが、なんだか複雑な心境である。店員の人は勝手知ったる感じで、色々見繕ってくれた。買い物はあっけないほど簡単に終了。

買い物をしている時に、施主から、資生堂ギャラリーの展示を見るように言われていた事を思い出し、資生堂パーラー地下の「シセイドウ・アートエッグ/宮永愛子展」へ。ナフタリンで象られた様々な物が、プラスチックに封じ込められながらも少しずつ、文字通り「昇華」していく、というインスタレーション。明日まで。現代の時代感覚を色濃く反映している。このところの世界の激変に伴って、この感覚もシフトしていってしまうのかもしれないのだけれども。ひょっとしたら、その感覚のはかなさすらも表現されているのかもしれないのだけれども。

前から行ってみたかった2階の喫茶店へ。美味しいケーキを食べるのは久しぶり。内装も頑張っている。けれど、もうちょっと予算的に頑張って、ちょっとしたホテルの喫茶店に行った方が優雅な時間が過ごせるかもなぁ、と感じた。その後、暫く見ない間に様変わりした銀座/有楽町/八重洲界隈をうろつく。H&Mとか、スウォッチ、ティファニーなど。たぶん、まだ、中国にはない直営店に立ち寄って観察する。

もう一つ、前から行ってみたかった銀座ライオンの7丁目店へ。今年で開店75年だそうだ。設計は大正〜昭和初期に活躍した建築家、菅原栄蔵。その作風は「ライト風」と言われる事が多かったという。確かに、ライト的なモチーフは随所に見られるが、全体としてはライトのような繊細さは希薄な、力強い造形。職人の手垢を残すタイリングは、ドイツ中世のギルドの仕事を見るかのようだ。ドイツ表現主義か。建築史専門の方からは怒られそうだけれど、ドイツ・ゴシック・リバイバル風表現主義とでも言えばいいんだろうか。ビールと言えばドイツ、そのドイツ風のデザインに向けた努力が伺える。料理はシンプルで、ビヤホールだしこんなもんだろうな、という感じだが、なんと言っても、今では到底施工不可能な内装が醸し出す雰囲気が抜群にいい。ビールの味も、こんなに日本のビールって美味しかったっけ、と思うほど素晴らしかった。温度と入れ方でこんなに変わるもんなんだねぇ。

完全にオノボリさんな夕方。まあ、実際北京から来たオノボリさんなんだから仕方がない。銀座自体もオノボリさん向けの街になっている。地方やアジアからの観光客の比率は相当なもんだろう。経済のグローバル化は、特徴ある街を無個性にしていく、というような批判があったが、むしろ逆かもしれない。テーマパーク化し、オノボリさんを吸引していく、という方が正しいのではないか。それぞれに特徴があり、海外や地方からのアクセスが比較的良い東京東部の繁華街ではそれが著しい。秋葉原なんて、観光客ばっかりなんでしょう?最近行ってないけどさ。


偽装するニッポン―公共施設のディズニーランダゼイション

ちょっと古い本だけれど、この本では、竹下内閣下の「ふるさと創生」をきっかけに、地方自治体がディズニーランド化してしまったと説く。もちろん、上で書いているニュアンスとは少々異なるが、地方も、都心の繁華街もテーマパーク化しているとしたら、日本全体がテーマパークになっちゃってるということになる。観光資源とは一体何か、というのをもう一度考える時期に来ているのかもしれない。


趣都の誕生―萌える都市アキハバラ (幻冬舎文庫)

秋葉原といえばこんな本も。増補しているとは知りませんでした。

ginza_lion2.jpg
壁画モザイク。カウンターの両端にライトの旧帝国ホテルのものに似た噴水がある。

Home > architecture/design > | art > | book > | food > オノボリさん

Search
Feeds

Return to page top