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February 2009 Archive

春節後の雪

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春節直後の北京は、すっかり暖かくなって「春が来たな!やっぱ、旧暦って合ってるな!」なんて古人の知恵に感動していたのだが、先週はグイッと冷え込み、雪がチラつく日々だった。雪が降る日、っていうのは実際はそんなに寒いわけではないのだが、何しろ風が強かった。引退しかけたダウンジャケットをもう一度引っ張りだし、帽子と手袋の完全装備で通勤している。マフラーも欲しいくらいだ。

中国の建設設計界では、「春節を過ぎると仕事が来る」というレジェンドがある。他の設計事務所も、ここへ来てがぜん勢いづいているらしい。ウチは、春節前は比較的忙しかったが、新年になって新しい仕事の打診は今のところない。代わりに、友人の中国人建築家から「今やっている美術館の設計について意見が欲しい。メシ奢るから」という打診があった。まったく、全然代わりになってない。仕事よこせっての!とブツブツ言いながら向かった。

案はなかなか良く、中国人設計者達が着実に力を付けて来ているのを感じた。去年までの中国の建築家達は、カネを稼ぐ事に忙しすぎて、クオリティーを上げる事に考えが及ばない感じだったが、彼らも自省する時期に来たという事かもしれない。そうなると、中国に居る外国人設計者の淘汰が始まるのも時間の問題になる。

北京には、オリンピック前までの期間に、外国人設計者による作品が量産された。一見すると、華やかな建築達ではあるが、よくよく考えると単なる「一発ネタ」的な作品が殆どで、建築として評価できるものは殆ど無いに等しい。残念っ!

クライアントとなる中国人の目も肥えて来ている。遅かれ早かれ、大方の「ガイジン」の化けの皮は剥がれてしまうだろう。最近、北京で活躍する台湾人の美術ジャーナリストの方と話す席があり、北京に居る「ガイジン」の話になったのだが、普段は勝ち気な彼女が「私は、本国では一流ではないのよ。本国に戻ったら翻訳の仕事しかない」と言っているのを聞いてはっと思った。中国にいるガイジン達は、悪く言えば、本国で十分に食えない、ということだ。我々が、お世辞にも一流とは言えない事に、中国人達もとうに気づいているだろう。

我々が、と書いたが、もちろん僕だって例外ではない。僕自身は、仕事さえ選ばなければ、どこだって食って行ける、という妙な自信があるけれど、今のような面白い仕事からは縁通くなってしまうだろう。

僕が、仕事を中国で始める、と言ったとき、ある人は「中国は、オリンピックまでは外国のデザインを導入するだろうけれど、その後は中国人で全部やっちゃうんじゃないかな」と言っていた。僕らが一流でないことに無自覚であり続けたなら、その「大政奉還」を早めてしまう事になる。

今年の中国の仕事状況は暗雲たれ込めているが、そのかわり、日本から仕事の打診を幾つか頂いている。このミゾウユウの不景気の中、北京に居る事が多い僕に、わざわざ声をかけてもらえるのは大変有り難い。日本的な作り込みの世界を通して、カンをもう一度取り戻すいい機会になりそうだ。

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パリスは、スマイルとポーズの事だけ考えている

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んだそうです。レッド・カーペットの上では。

とある中国の業界誌の編集の人から、創刊5周年記念の特別号のポートレート撮影があるからと誘われた。なんでも、「この5年間に中国○○業界の発展に貢献した○○人!」という記事なんだそうだ。僕は、その業界の製品には、どちらかと言えばお世話になっている方だけれども、発展に寄与したというほどでもない。きっと、誌面上、ちょっとはガイジンが居ないとカッコつかないのかな、と思った。「うむー、一人くらいガイジンが居た方が良いわね、彼、顔はまんま中国人なのが残念だけど、来そうだから呼んでおこうかしら」おおかたそんな所だろう。

断るべきか逡巡したが、そういえば、キチンとポートレイトを撮影した事がない事を思い出した。彼女には大変お世話になっているし、「プロのメーキャップで、プロのカメラマンが撮るのよ!後でデータをあげるわよ!全部タダなのよ!」と強く薦められた事もあり、一生に一度くらいはフラッシュを浴びるのも悪くないかなと、OKした。

スーツ、カジュアル、夏物、3種類くらいを持ってきてね!という事で、仕事の合間を縫って、服をカバンに詰め込んで出かけた。着いて、メーキャップ。何をやっているかはよく分からないが、このデカく、平たい顔に立体感を出すのは並大抵の事ではないだろうな、なんて考えながら目をつぶる。

続いて撮影。撮られるのに慣れてないせいか、カメラマンやスタッフからバンバン指示が飛ぶ。背筋を伸ばして!(僕は姿勢が悪い)、ネクタイ直して!、顔が傾いてる!、もっと笑って!、笑い過ぎ!、目をもっと大きく開けて!(僕は目が小さい)…

だいたい、笑う時って目を細めるもんじゃないの?目を開けながら微笑むのって難しい。頑張って顔を作ると、「笑顔が自然でない!」と怒られるし。カメラの前で顔を作り続けるセレブって本当に凄いと思った。途中で何度もメゲそうになりながら、なんとか終了。ついでにと、普通号の方に掲載予定の物件に関するインタビューを受け、急ぎ足で進行中の工事現場へ向かった。

中国人、特に女性は、カメラに向かってポーズを取る事が得意だ。次に撮影を受けていた女性(同業者らしい)も、もともと美人なのもあるけれど、メーク、服装、表情、ポーズ、全てがキマッていた。すごーい!キュート!とカメラを向けると、僕にも視線を送ってくれた。堂々としたものだ。

でも、撮った写真はブレブレでした。ごめんなさい。そして、こんなのが同じ誌面に載ってごめんなさい。

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TVCC:とりあえずおしまいにします。

例の火災以降、アクセスが増えている。技術的な見解(というか推測)については、前回のエントリのコメント欄に書いているので、そちらを御参照下さい。

別用で実家に電話をかけたところ、当然のようにこの火災の話になり「どうするの、あんな煙突みたいな吹抜けを作って!」となぜか怒られた。日本のテレビ等でも、僕がここで書いた事と同様の推測がされているらしい。今後、中国に限らず、超高層の吹き抜けには厳しい規制がかかる事だろう。仕方がない事ではあるが、日本の耐震偽装事件の後のように、一部の特殊なケースに合わせすぎて建築業界全体が停滞する事態は避けたいものだ。海外には客室が大きな吹抜けに面するホテルが数多くある。ガラス張りのエレベーターでそこを登っていく高揚感が全くなくなってしまうのは寂しい。

亡くなった消防隊員の方にはお悔やみ申し上げるが、多数の人名が奪われる大惨事にならなくて本当に良かった。でも、仮にオープン後で人が居たならば、初期消火で消し止められ、これほど大きな経済損失にはならなかったかもしれない。また、シャッターが作動して、煙突が形成されるのが避けられたかもしれない。不謹慎は承知の上だが、現段階では、設計や施工のミスというよりも、色々とアンラッキーが重なって起こり、拡大した火事だと思っている。

くだらない関連ニュースとしては、
こんなコラや、こんなTシャツが出て来ているとスタッフが教えてくれた。
・「大火災のビルのデザイナーはマギー・チャンの恋人のドイツ人著名建築家!」みたいな記事まで出てきた。いろいろと突っ込みどころ満載だが、くだらなすぎて突っ込む気にもならない。

ある友人は、9.11とアメリカの世紀の終焉になぞらえて、「僕らのスター、レム・クールハースの時代の終焉」と日記に書きつけていた。確かに、建築を勉強した同じ世代の人間にとっては、それくらいのインパクトがある事件だ。では、次は、一体どこへ向かうのか。いろいろ考えさせられる。

この火災関連のニッキは、少なくとも原因とメカニズムがハッキリするまでお休みとします。次回からは愉快な?ニッキに戻ります。

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TVCC:一応写真を

近くで打ち合わせがあったので、車で横を通ってもらって写真を撮ってきた。ニュースで既に見た方も多いだろうが、一応アップしておく。燃えた、というよりも、焼けただれている、という表現がピッタリだ。

周囲は交通規制が敷かれているが、この大きさは、さすがの中国政府も隠しようがない。

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案の定、上部のガラスが割れ、そこから炎が吹き出した跡がある。内部にもの凄い上昇気流が発生したのだろう。窓の抜けている部分は、スカイレストラン/バーのあるフロアだと思われる。火の通り道になりやすい部分があったのだろう。中央テレビのニュースは、躯体に影響はない、としているが…。

この建物は、建物自体は比較的熱に強い鉄筋コンクリート造になっているので、メインの構造の損傷は軽い可能性はある。だが、外壁のパキパキと折れ曲がっている部分は鉄骨を併用しているので、イってしまってるかもしれない。例えば、外装材の内部の断熱材が燃えているだけで、鉄骨は大丈夫、というのなら修繕は可能なので、その程度の損傷である事を願うばかりだ。たとえそうだったとしても、外装の葺き替えはかなりのコストがかかるんだけれども、建て直すよりははるかにマシだ。

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CCTVでなくTVCCのほうです。

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これは建設中の写真。誤解なきよう。

昨晩は、花火が解禁されている最終日。市民達は買い貯めた花火を使い切るべく、町中でばんばん打ち上げていた。帰宅途中は、爆竹をかわしながら歩いて帰るほどの賑わいようで、外を出歩いている人も多かった。注意しないと服に穴があいてしまいそうな勢いで、そこかしこからバンバンと音がする。戦場ってこんな感じなのかな、などと思っていた。

夜中、寝る準備をしているころ、友人達から立て続けに電話が。建設中のTVCCが凄い勢いで燃えているという。部屋の隅で埃をかぶっていたTVを引っ張りだして慌てて繋いでチェックしてみたがどのチャンネルも実況されていない(香港系のフェニックステレビでは実況していたそうだ)。タワーリングインフェルノやホテルニュージャパンの時代じゃあるまいし、せいぜい一部の内装が燃えたくらいでそんなにデカい火災じゃないだろうと思ったが、今朝写真を見て驚いた。

昨晩のCCTVの放送では「構造に影響はない」みたいな事を言っていた(ように聞こえた)。すかさず「そんなに早く分かるかーい!」とツッコミを入れた。

CCTV/TVCCは、現場担当者に案内してもらって3度ほど見学している。7年近く費やした努力の結晶が、完成間際に焼け落ちてしまうなんて、彼らの落胆を想像すると、気の毒でならない。逆に言うと、完成前だからこそ人的な被害が最小限に抑えられたわけだが。

このビルの内部には、30層にわたる大きな吹抜けが存在する。そこが煙突の役割を果たして、大きく燃え広がったのだろう。通常、吹抜け部分には煙感知器と連動するシャッターがあり、そう簡単には煙突にならないように配慮されているが、施工中の現場では、もちろん作動させているわけがない。

昨日の市内の状況を見るに、市内で打ち上がる花火に乗じたテロである可能性も捨てきれないけれど、まあ、花火が火元なんだろう。その火の粉が内装工事現場の引火性の何かに燃え移り、煙突効果で燃え広がってしまった、というのが真相なのでは。ホテルの内装は、通常難燃性の内装を用いるが、これだけの火力だとひとたまりもない。

このビルには、CCTVのホール、大型のスタジオが低層部に入り、高層部はマンダリンオリエンタルが入居予定となっている。たとえ、構造が無事だったとしても、盛大に燃える様が世界中に配信され、傷モノになってしまったビルに有名高級ホテルが入居するとは思えない。ただでさえ北京のホテルは供給過剰だし、景気の後退で高級ホテルの需要も減っているだろうし。このビル、この先どうなるんだろうか…?

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Mizuma & One Gallery / 天欲 | INSTINCT

来る2月14日(土)より、私共が内装を設計しました北京/草場地のMizuma & One Galleryにて、展覧会「天欲 | INSTINCT」展が開幕します。ミヅマアートギャラリー所属の若い日本人作家達によるグループ・ショーです。オープニング・レセプションは14:00〜18:00となっています。今回の展覧会、私は何かをやったわけではありませんが、レセプション時には会場に居るかと存じますので、どうぞ皆様お誘い合わせの上お越し下さい。

天欲 INSTINCT----Japanese Contemporary Art Group Show

参加作家:KYOTARO、櫻井りえこ、谷口ナツコ、三宅玄朗、宮崎勇次郎
会期:2009.2.14 (土) − 3.22 (日)
オープニングレセプション:2.14(土)14:00−18:00
Hours:水-日 10:00-18:00
(Closed on National Holidays, Mon. & Tues. for Appointment Only)

Information:
Tel:+86-10-5127-3267
Fax:+86-10-5127-3268
E-mail: info@mizuma-one.com

MIZUMA & ONE GALLERY 三潴画廊
No.241-15 Cao Chang Di, Art-Zone Chaoyang Dist, Beijing 100015, CHINA

詳しくはこちらまで。


そういえば、先のジュン・グエン=ハツシバ展のこちらの写真ですが、私が撮影したものが一部含まれています。オープニングに出かける時に、ふと、三脚が目に留まり、久しぶりに据えてみるか!と手持ちのコンパクトカメラで撮ったものですが…公式資料に使われるんならもっとちゃんと撮れば良かった。

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白黒ナカ2杯

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2月1日
本日は東京滞在最終日。更新強化週間もとりあえず今日で小休止。結局毎日は無理でした。

昼間は、最近依頼のあった未経験のビルディング・タイプの研究。日が傾き始めた頃、敷地を見に都内某所へ。帰りに自由が丘で昼食。一度事務所に戻って書類整理の後、新宿へ。ヨドバシカメラで一眼レフのデジカメを物色した後、紀伊国屋。その後、元OMAで現LSEのSさんと会う。中国ではなかなか食べられないモノが食べたくて、魚介類を七輪で食べさせる居酒屋へ。北京には日本風の居酒屋は既に沢山あるけれど、魚と言えば、焼き魚をポーンと飛び越えて刺身か寿司になってしまう。同様に、サケと言えば、中国産の焼酎や日本酒の次は、値ごろ感の薄い日本からの輸入品になってしまう。久保田とか上善とか、日本ではそれほど有り難い酒ではないけれど、北京ではけっこうな値段になる。

そういえば、旧正月前の北京オフィスの忘年会で、日本風居酒屋に行ったとき、一番高い久保田の万寿を指差して、「来年は仕事を沢山取ってこの酒を呑むぞ!」と高らかに宣言したのだが、スタッフに「去年もココで同じ事言ってたわよ」と冷ややかに言われてしまった。そんな記憶は確かにあった。他に何か言ってた?と聞くと「『来年の目標は結婚だ』とも言ってた」と。一年間、格闘しつつ、それなりの成果を上げてきたつもりではあったが、目標は何一つ達成していない自分にガッカリする。むしろ目標が遠のいてる自覚すらある。じゃあ、今年の目標は婚約にしておくよ、と微妙にハードルを下げておいた。

話が逸れたが、北京ではなかなか呑めない物の一つがホッピーだ。中国で製造するにも、日本から輸入するにも、利益が少ないのだろう。成田で飛行機を降り立ち、バスや電車に乗り、日本語の広告に目が慣れてくると、呑みたくてウズウズしてくる。我ながら安上がりな人だなと思う。東京最後の夜に、ホッピー白、黒、そして追加のナカ2杯を呑む。

Sさんとは、以前会社勤めをしていた頃からの古い友人だ。仕事を夜中2時に終わり、一緒にコンペに取り組んだ思い出もある。最近Sさんが雑誌に発表した論文の話、10年ほど前に一緒に設計した住宅の現在、昔の職場の同期の動向、これからのキャリアの話、中国はどうなるか、イギリスは、ドバイは、日本は。とりとめも無い話が続き、ここではまとめられそうにないが、自分のこれまでの選択はそれほど間違ってなかった、今もまあ楽しくやれているし、と自分たちの今までを肯定的に捉えて確認しあった。否定的に捉えたって仕方が無いしね。これが心理学でいう合理化、という奴かどうかは、今はまだ分からない。少なくとも、これまでのキャリアのお陰で、この先世界がどうなろうと生き抜いていけるだけのシブトさはお互い身につけているんじゃないか。

ツタヤで雑誌の最新刊を見て帰宅。現在午前2時半。明日の午後の飛行機で北京に戻ります。在日中はかなりのペースで人に会ったつもりだが、スケジュール的に会えなかった方が数人居たのが心残りだ。そして、休み中にこなすつもりだった仕事も山積している。北京に戻ってから腰を据えて取り組むとしよう。

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オノボリさん

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1月31日、もう1月も終わりか。
昨日、中国の施主から、奥様へのプレゼント用の化粧品を頼まれていたのを思い出した。「35歳、乾燥肌、資生堂、予算は2000元程度」とのシンプルな要望。お世話になっている方なので、しらばっくれる訳にも行かない。友人にお願いして、銀座三越の化粧品コーナーに付き添ってもらう。凄い混雑で、不景気が嘘のよう。ただ、あちらこちらから中国語が聞こえる…ワイワイ叫んでいる意味がわかるのは、嬉しくもあるが、なんだか複雑な心境である。店員の人は勝手知ったる感じで、色々見繕ってくれた。買い物はあっけないほど簡単に終了。

買い物をしている時に、施主から、資生堂ギャラリーの展示を見るように言われていた事を思い出し、資生堂パーラー地下の「シセイドウ・アートエッグ/宮永愛子展」へ。ナフタリンで象られた様々な物が、プラスチックに封じ込められながらも少しずつ、文字通り「昇華」していく、というインスタレーション。明日まで。現代の時代感覚を色濃く反映している。このところの世界の激変に伴って、この感覚もシフトしていってしまうのかもしれないのだけれども。ひょっとしたら、その感覚のはかなさすらも表現されているのかもしれないのだけれども。

前から行ってみたかった2階の喫茶店へ。美味しいケーキを食べるのは久しぶり。内装も頑張っている。けれど、もうちょっと予算的に頑張って、ちょっとしたホテルの喫茶店に行った方が優雅な時間が過ごせるかもなぁ、と感じた。その後、暫く見ない間に様変わりした銀座/有楽町/八重洲界隈をうろつく。H&Mとか、スウォッチ、ティファニーなど。たぶん、まだ、中国にはない直営店に立ち寄って観察する。

もう一つ、前から行ってみたかった銀座ライオンの7丁目店へ。今年で開店75年だそうだ。設計は大正〜昭和初期に活躍した建築家、菅原栄蔵。その作風は「ライト風」と言われる事が多かったという。確かに、ライト的なモチーフは随所に見られるが、全体としてはライトのような繊細さは希薄な、力強い造形。職人の手垢を残すタイリングは、ドイツ中世のギルドの仕事を見るかのようだ。ドイツ表現主義か。建築史専門の方からは怒られそうだけれど、ドイツ・ゴシック・リバイバル風表現主義とでも言えばいいんだろうか。ビールと言えばドイツ、そのドイツ風のデザインに向けた努力が伺える。料理はシンプルで、ビヤホールだしこんなもんだろうな、という感じだが、なんと言っても、今では到底施工不可能な内装が醸し出す雰囲気が抜群にいい。ビールの味も、こんなに日本のビールって美味しかったっけ、と思うほど素晴らしかった。温度と入れ方でこんなに変わるもんなんだねぇ。

完全にオノボリさんな夕方。まあ、実際北京から来たオノボリさんなんだから仕方がない。銀座自体もオノボリさん向けの街になっている。地方やアジアからの観光客の比率は相当なもんだろう。経済のグローバル化は、特徴ある街を無個性にしていく、というような批判があったが、むしろ逆かもしれない。テーマパーク化し、オノボリさんを吸引していく、という方が正しいのではないか。それぞれに特徴があり、海外や地方からのアクセスが比較的良い東京東部の繁華街ではそれが著しい。秋葉原なんて、観光客ばっかりなんでしょう?最近行ってないけどさ。


偽装するニッポン―公共施設のディズニーランダゼイション

ちょっと古い本だけれど、この本では、竹下内閣下の「ふるさと創生」をきっかけに、地方自治体がディズニーランド化してしまったと説く。もちろん、上で書いているニュアンスとは少々異なるが、地方も、都心の繁華街もテーマパーク化しているとしたら、日本全体がテーマパークになっちゃってるということになる。観光資源とは一体何か、というのをもう一度考える時期に来ているのかもしれない。


趣都の誕生―萌える都市アキハバラ (幻冬舎文庫)

秋葉原といえばこんな本も。増補しているとは知りませんでした。

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壁画モザイク。カウンターの両端にライトの旧帝国ホテルのものに似た噴水がある。

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