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August 2008 Archive
サッカー見て来ました
- August 18, 2008 4:01 PM
- architecture/design | china
くれーなずーむまちのー。

ここ数日の北京は、晴天に恵まれている。湿度も下がって非常に過ごしやすく、秋の雰囲気さえ感じる。オリンピックが終われば、一気に秋に突入するんだろう。

土曜日には、S事務所のHさんに誘って頂いて、オリンピックのサッカー男子を見に行って来た。日本戦ではないけれど、イタリア対ベルギーというカード。「東麻布で彼にサッカーを観させたら右に出るものは居ない」と評判の竹森君から、「なんか、イタリアの10番が注目らしいですよ、メンバーは全然知らない選手ばっかりです」という、特に役に立ちそうもない事前情報を仕入れてから向かった。
会場は1959年に人民共和国十周年を記念してられた「十大建築」の一つ、工人体育場。十大建築は、共産主義革命の勝利を体現すべく、全てが建設決定から竣工までが一年以内という驚異的なスピードで建設された。だから、設計も大味だし施工も荒い。逆に言えば、「短期間でそれっぽいものを作る」テクニックは随所に見られ、面白い建物とも言える。

監視員達は等ピッチに並んでおり、どんなに試合が盛り上がろうともずうっと観客席を凝視している。無駄な動きが一切なく、おそらく解放軍から派遣された人達だと思う。
中国人の観戦マナー問題は、日本のメディアで色々報道されているようだ。バドミントンのオグシオ戦での応援を取り上げた夕刊フジの記事。スマッシュのかけ声「シャー!」に「殺」の文字をあてはめ、「殺せ!殺せ!である。とても五輪とは思えない光景だ」と結んでいる。うーん、僕は現地に居た訳ではないし、中国でバドミントンを見た事がある訳ではないので、確かな事は言えないけれど…どうだろう?ちょっぴり飛躍してる「釣り記事」かもしれないなと思う。ローカルにも聞いてみたけれど、それは単なる掛け声じゃない?と苦笑していた。まあ、僕も彼女も、その一方で「でも調子に乗ってやりかねないよな…」、とも思っている訳だけれども。
日本での報道を見ている人達にとっては、中国は何かにつけて日本を敵視している、と思うかもしれないが、僕はそのあたりに少々温度差を感じている。中国はそこまで日本の事を気にしていないのではないか。ほら言うじゃない、「愛の反対は無関心」だって。中国での報道を見ていると、日本はワンオブゼブの外国に過ぎないのではないか、と思えてくる。圧倒的に優位なスポーツの世界なら尚更だ。
とはいえ、サッカーはちょっと違うようだ。中国人はサッカー大好きなのにも関わらず、ナショナルチームは国際的にはイマイチどころか、日本にすら敵わない。そういった苛立ちが中国人観客のマナーをますます悪いものにしているようだ。日本戦では、訳の分からない所でブーイングをしたとかで、親中派の日本人の友人も憤っていた。
中国のサッカーチームに対する苛立ちは報道にも現れているようで、先日は、テレビやラジオで「中国対ブラジル戦を観戦するべきかどうか」という内容で盛り上がっていたそうだ。「どうせ勝てないし、万一勝っても決勝トーナメントに行ける訳じゃないので見なくてよい」とか、「この先ワールドカップもオリンピックも出れないだろうから見ておくべき」とか…。どちらにしても中国人らしい諦観と合理主義だ。残酷と言えば残酷。

PKで一斉にカメラを向ける観客達。あとで良い写真や映像がメディアで見れるんだから頑張って撮らなくてもいいのに…。という僕も彼らにカメラを向けている。
試合は非常に面白かった。開始20分でベルギーがレッドカードを食らってPKで1点失点。これでイタリアのフルボッコかと思われたが、ベルギーは10人で大健闘。3点を挙げて3ー2で勝利した。

喜ぶベルギーの選手達。
バレーボール見て来ました
- August 16, 2008 12:22 PM
- architecture/design | china
スポーツ観戦のチケットというのは、大抵そんなものなのかもしれないが、オリンピックのチケットの在処にはかなりのバラツキがあるそうだ。会社の接待用に大量に買い占めた末に大量に余り、さして興味の無い社員に配っている所もあれば、欲しくても手に入らず、ネットオークションで何十倍もの価格で落札している人もいる(なんでも、開会式のチケットは最高で30万元=約450万円で落札されたとか)。ある所にはますます集まり、無い所には全然ないという、収穫逓増の法則がはたらきまくっている。完全な市場経済の国になっているな、中国は。
僕は、人気競技を狙いすぎたせいでチケットの抽選をことごとく逃してしまっていて、いいもんねー、テレビで観るもんねー、路上でマラソン観るもんねー、とイジケて居た。一枚もないので収穫逓増の法則もはたらきようがない。4年前から北京に居るのに一つも観れないなんて寂しすぎるなぁ、人気競技でなくてもいいから、せめて会場の雰囲気は味わいたいよなー、と思っていたところ、友人に「チケット余ったから行く?」と誘われ、二つ返事でOKしてウキウキ行って来た。幸い、スタッフ達には休みを取らせている日だった。
朝、タクシーを広い会場へ。期間中はタクシーが激減しており、なかなか拾えず、近くに並んでいた人と相乗りする。運ちゃんと3人でオリンピックの話をワイワイしつつ向かう。運ちゃんは英語が驚くほど達者で、オリンピック期間中はかなり荒稼ぎしているらしい。昨日はアメリカ人3人を乗せて万里の長城へ連れて行き、600元もらったと自慢していた。彼らも幸福、ワシも幸福、と言っていた。そりゃ幸福だよ、相場の倍ぼったくってるんだもの。
女子バレーボール、ロシア対アルジェリアとブラジル対カザフスタン。全国ウン千万の女子バレーの方達には申し訳ないけれど、どのチームがどのくらい強いか、全く分からない。ルールもイマイチで、リベロというスパイクを打っちゃいけない人が居る、という位の知識しかない。

会場は、北京理工大学という大学の中の体育館。学生ボランティア達が夏休み返上で観客の誘導に精を出している。「いらっしゃいませ」「こちらへどうぞ」「ご協力ありがとうございます」と、今まで聞いた事も無いくらいの、清く正しく美しい中国語で話しかけられる。誇らしげで爽やかなスマイル。一人っ子政策の影響で自信だけはイッチョマエな大学生ばかり相手をしてきた僕には、驚愕だった。あの小生意気な学生達はどこへ!
やればできるじゃないか、中国!

大会マスコットと写真を撮るべく、行列をする人々。ボランティアが列を作らせているとはいえ、キチンと並んでいる事に感動。これが一昔前だったら、人々が詰めかけて大混乱、後には傷だらけで泥だらけのキグルミが残されていただろう。
やればできるじゃないか、中国!
会場。けっこうコジンマリしている。学生ボランティア達は、会場にウェーブを作らせたり、フラッシュを使わないで下さい!と指示したりと忙しい。

ロシア対アルジェリア。右端に居るロシアのリベロは、確か身長が174センチと言っていた。他の選手がデカイ!2メートル以上の選手が何人も居た。デカイ!とかカワイイ!とか頭小さい!とか、バカ丸出しの解説しかできなくて申し訳ないが、ロシアの選手の方は色の白さで遠目には良く見えるが、実は可愛さで言えばアルジェリアの方が上なのでは?と、試合とは何の関係もない事をユルユルと考えていた。
観客は多くが中国人。中国の試合ではないので、かなりピースフルな雰囲気。同じ旧共産圏だからか、ロシアを応援する姿が目立った。いや、中国はいちおう今も共産圏か。
スパイクが自分の顔に当たったら首がモゲるだろうな…とか、キン肉マンの超人オリンピックのような超人達の戦いを想像していたけれど、端から見ている限りは鼻血か鼻骨骨折くらいで済みそうな感じだった。
試合結果はロシアのストレート勝ち。この日行われた予選6試合のうち、5試合がどちらかのストレート勝ち(日本はキューバにストレート負け)。国によって実力差大きなスポーツなのね。

ブラジルは、スパイクがフロアに突き刺さる感じで、練習のときから明らかに強そうだった。体格も全く違う。試合が始まっても実力差は歴然。カザフスタンは2セットを連続して落としてフルボッコ状態で、だんだん可哀想に思えて来た頃、自分のすぐ前に座っていた中国人の若者がカザフを応援しはじめた。オリンピック会場には「マナーの良い中国人」を演出する為に仕込みの応援団が用意されているらしいが、彼は両親と見に来ていたので仕込みの可能性は低いと思う。
彼をきっかけに、会場全体はカザフの応援一色になり、ブラジルの応援団が逆に可哀想になるくらいの「加油!カザフ!」の大合唱。当のカザフの選手達もどうして自分たちが応援されているのか分からず、頭の上に大きな「?」が浮かんでいるような状態だった。
中国人のメンタリティーが分かって来た僕の推測では、それはたぶん
・旧共産圏のよしみから
・判官びいき
・中国人は北方の白人女性が好きだから
・折角チケット買ったのに、このまま終わったのではつまらないから
大方そこらへんの理由からだろう。特に最後の可能性が大きい。
とにかく、中国即席応援団のおかげで、第3セット目のカザフはデュースまで持ち込む大健闘。負けてしまったけれども、観客達も満足そうだった。

セットの間には急遽養成されたチアリーダー達が。いまいち揃っていないのが微笑ましい。
今年の麻布十番祭りは!
さーて、麻布十番まつりの季節が近づいてきました。今年は、8月23日(土)の午後、事務所開放をやります。
驚くなかれ!!今回は北京オリンピック特別企画!!
23日午後には、野球の決勝と陸上が予定されています。なんと、私共はオリンピックに沸き立つ北京、しかもメイン会場である「鳥の巣」の近くに現地報道センターを設置し、現地の生の声を拾いつつ、今話題のインターネットを駆使して新次元の実況を行います!
報道センターの位置はココ!

(矢印は合成です。決して花火ではありません)
なんだよー、北京のお前の家でスカイプ繋ぐだけじゃんかよ、いいトシして何はしゃいでるの?とか言ってるキミ!出て来なさい!
そのとおりだ!!
…ま、一緒にオリンピック気分とお祭り気分を楽しみましょう。
東京での対応は竹森の方で行いますので、詳しくは彼のブログにて。
CG処理…
- August 13, 2008 4:37 PM
- architecture/design | art | china
始まる前から予想された事だけれど、色々噴出してますな。
オリンピックの開会式の花火の空撮映像。その殆どがCG合成だった、というニュースが。今見返してみると、特に発射の瞬間がうさんくさい。あの映像を見ながら、「あれ?北京の上空ってもの凄い航空管制が敷かれてるんじゃなかったっけ?地対空ミサイルで撃墜されないの?」という疑問が一瞬脳裏をかすめたけれど、まさか合成映像とは思わなかった。
オリンピック関連のCGの殆どを製作しているのはクリスタルCG(水晶石数字科技有限公司)という、中国最大のCG制作会社だ。この会社、北京の有名プロジェクトのパースやムービーは殆ど作っているので、建築関係者にはかなり名が通った存在だ。テレビCMなどにも仕事が多く、日本で目にする中国産CGの殆どはこの会社のモノだと思っていい。
とってもとっても儲かっているらしく、空港にデカデカと広告があったりする。また、自社ビルはCCTVの設計でおなじみ、オランダのOMAに設計を依頼しているそうだ。確かにココのCGは格好良く、一度は頼んでみたいなぁ…と思っているけれど…高くて手がでない。せいぜい、この会社から独立して細々とやっているレンダラーに頼むのが関の山だ。
話はそれたが、件の映像も、おそらくクリスタル製だ。
このニュースがウェブ上に出た時、僕が開会式で大興奮していたのを知る人から慰めの言葉(?)を頂いた。
・国威発揚のためにはやむを得ない(ついでに女の子の口パクも)
・レニ・リーフェンシュタールの「オリンピア」だって、市川崑の「東京オリンピック」だって、別撮りだらけじゃん。
って、慰めになってるか?2つ目にいたっては、記録映画であってライブ中継じゃないし…。そもそも僕を慰める意味がよくわからない。
まあでも、有り難うございます。
ちなみに、勘違いしている人が居るみたいだけれど、足形の花火は実際に打ち上げられている。Youtube上にもメイキング映像(の番組?)が上がっていて、準備や練習の様子を見る事ができる。
花火を担当したアーティスト、蔡国強の大規模な個展が、19日から中国美術館で始まる。CG処理は彼の指示ではないだろうけれど、展覧会の前にちょっとミソがついちゃった感じだなぁ…
始まってしまいましたね
- August 9, 2008 10:46 PM
- architecture/design | art | china
北京のあちらこちらに「オリンピックまであと何日」の表示板がある。最初に来たときは余裕で1000日を超えていたのに…。感慨深いものがある。

先週末、韓国の設計事務所、IROJEの北京代表の趙さん、松原事務所の勝田さんと飲んでいた時に、来週の開幕式をみんなで見ましょうよ、という話になり、IROJEの事務所を提供してもらって「開幕式を観る会」をすることになった。飲みながら話をしているときには「ロシア人のダンサー雇ってさぁ!」なんて盛り上がっていたのだけれど、自分にモンゴル出張の予定があるのをすっかり忘れていた。その上、出張から戻るなり風邪でダウン…。趙さんと勝田さんに準備の殆どを頼りながらも縮小に縮小を重ね、最終的には「ゆるゆる」でコージーな感じで楽しみましょうよ!という会になった。でもでも、突然の誘いにも関わらず20人くらい集まってくれて、楽しく観る事ができた。皆さん有り難うございました。
2年程前、北京のバーで、開幕式の仕事をしている、というデザイナーと話をした。チャン・イーモウを頂点として、セクション毎に世界各国の演出会社が関わっているんだそうだ。香港出身で、イギリス系の会社を手伝っていた彼女は、どんな内容かはもちろん言えないけれど、歴史に残る凄い開幕式になるわよ、とだけは教えてくれた。
政府高官へのプレゼンが当日になって突然セットされたり、逆に突然キャンセルされたりで、とっても大変そうだった。チャン・イーモウは政府の言う事を良く聞いているわよ、そういった意味でも凄いヒトよ、とも言っていたので、「この部分はあんまり良くないな、後からムリヤリ突っ込んだんだろうなぁ」とか想像しながら開会式を観ていた。中国の仕事、とりわけ政府絡みの仕事は、政府高官からの横槍が度々入り、それに対応するのに膨大なエネルギーを必要とする。いくら国を代表する映画監督と言えど、場所が場所だけに政治圧力と無縁では無かっただろう。それをあの一連の演出にねじ込んでしまうのだから大した力量だ。
しかしまあ、凄い演出だった。北京全体を使ったダイナミックな花火。蔡国強(ツァイ・グオチャン)という人は、20年程前に火薬の爆発を使って万里の長城を延長する、というアースワーク的なパフォーマンスをやったくらいの人なので、デカい事やるだろうなぁとは思っていたけれど、分かっちゃいたけどやっぱり凄い。
エンターテイメントとしても、アートとしても、そしてもちろん、中国自体のプロモーションとしても一級だと思った。中国の数のパワー、テクノロジー、歴史…がいかんなく注ぎ込まれている(しかもお得意のワイヤーアクション付き!)。現代的に洗練されたマス・ゲーム!
このところ、海外メディアの報道内容が単なる中国批判を通り過ぎ、なんでもかんでもネガティブな内容に持って行こうという奇妙なバイアスがかかっている状態が続いていた。中国は問題だらけの国なのは事実で、問題をあげつらえばキリがない。いくら中国の自業自得とはいえ、報道の優先順位に首を傾げる事が多かった。
でも、このセレモニーに関しては、どのメディアもほぼそのまま放送せざるを得ない。中国は、バイアスが解除されるその僅かな一瞬を、最高のアーティスト達を動員してコジ開け、世界の視聴者に直接アピールする事に成功したのではないか。「文化」で革命を起こそうとしたくらいの国だから、アートの持つ力を利用するのはお手の物なのかもしれない。海外メディアの中国報道に対して感じていたモヤモヤが、スカッと晴れたような思いがしたのは、僕が中国人化してきている証拠なのかな?
地域によって格差はもちろんあるけれど、モノの生産に関しては日本の優位性はかなり少なくなって来ているように思う。残るはコンテンツ力だけれど…中国はコンテンツに関してもメキメキと力を付けて来ているのが、このセレモニーからもハッキリと感じられるだろう。日本が、本当に脅威を感じるべきなのはそこだ。毒ギョーザや段ボール肉マンも大事かもしれないけれど、そんなニュースばかりを見るのは、本当の「中国の強さ/怖さ」から目をそむける事にしかならない。中国を敵視するのは自由だけれど、敵なら敵をキッチリと見極めよう。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」だ。
おいおい結局、孫子かよ。
正直、今までは外国の教育を受けている、もしくは外国人である、というだけで仕事ができている所があった。これからは、中国の凄まじい発展をどうキャッチアップしていくか、というのが重要になってくるなぁ。色々考えさせられた。

誰かの国の選手団が入場するたびに乾杯。すっかり二日酔いになってしまいました…