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May 17, 2008

唐山と地震と

1500キロも離れた北京で揺れを感じるなんて…想像を絶する。

北京からそう離れていない所に、唐山という都市がある。今から約30年前、ここをマグニチュード7.8の直下型大地震が襲った。犠牲者は発表によると24万人以上、本当はその倍は居たのではないかとの説もある。92%の家屋が倒壊(真偽の程は確かではないが、残った建物の殆どは日本統治下に建てられた物で、そのため当地では日本の建物に対する信頼が厚いと聞いた)。未曾有の大災害であったにも関わらず、中国政府は他国の救援を断り、被害を拡大させた。

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唐山にある「抗震記念館」。「抗日」ではない。

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市内には、震災を受けた工場等がそのまま保存されている場所がある。一部は公園として整備される予定だと言う。

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記念館の中の展示では、中国国内から派遣された救援隊の活躍がヒロイックに描かれていた。中国人民の勝利。非常に政治的な内容だ。何もかもが政治に利用されてしまうというのは中国ではいつもの事で、今回の四川省の大地震とて例外ではない。テレビの特別番組には、本日現地入りした胡錦濤氏が被災地の視察風景や、救援隊の美談がふんだんに織り込まれている。

だからといって日本の報道が偏向してないかというと、そうではないのが悲しい所だ。中国の構造設計に関して、日本の某テレビ局の取材を受けた人の話を伝え聞いたが、「中国ってやっぱり酷いですね」というストーリーありきの取材だったらしい。

僕は、中国で大規模施設の設計経験が豊富とは言えないが、幾つかの例を思い返してみると、中国の耐震設計は日本ほどには綿密ではないものの、案外ちゃんとしている、という印象がある(凄まじい勢いで建設技術が進歩している国なので、最近設計された比較的新しい建物に限定させてもらうけれど)。今回倒壊した建物も、中層までの比較的古い建物が多いようだ。

あまり知られていないようなのでついでに書くが、建物の避難や消火設備に関する法規についても、日本と同等、それどころか日本より厳しい所も散見される。意外かもしれないが建物の身障者対応もかなり厳しい。「中国だったら法規も未整備だろうから、なんとかなるだろう」とナメた図面を持って中国に乗り込み、痛いメに会った僕が言うんだから間違いない。

日本のメディアー日本人自体がそうなのかもしれないが—は、どうしても中国を「民度の低い」、精神的に/文化的に/技術的に立ち遅れた国として見たがる所がある。確かにメチャクチャな所はあるが、本当にそのとおりの国だったら日本にとって何ら脅威ではないだろう。製品の生産量だけではなく、イビツではあるが多方面で凄まじい勢いで発展し、一部では日本を凌駕しつつあるから脅威なのだ。今の日本の中国報道は単なる気休めだ。本当の脅威を見極めてから恐れるべきだ。本当に、案外ちゃんとしてるんだから。あくまで「案外」だけどね。

話がそれたが、政治に利用されやすい大災害においては、迅速かつ最大限の援助を行うのはもちろんだが、チベット問題等の諸問題がウヤムヤにならないよう冷静にウォッチする事も重要だ(チベットの一部は震源から近いにも関わらず、被害状況は未発表の部分が多く、海外メディアも入れないという)。


日本からの救援隊は青川県という場所で活動を開始した模様で、中国のテレビでも大きく報道されている。もちろんこの報道にも政治的な意図があるんだろうが、同じ日本人として素直に誇らしい事で、ぜひ地震国日本のノウハウを生かして活躍して欲しいと思う。

来週には、ある日本人建築家が現地入りするという。また、アーティスト、ロンロン&インリによる写真芸術のギャラリー、三影堂撮影芸術センターでは募金やチャリティーオークションを開催するという。北京に居ながらこれといった活動ができてない僕としては、本当に頭の下がる思いだ。

投稿者 tofuku : May 17, 2008 03:24 AM

コメント

どうも、ご無沙汰です。お元気ですか?

私は、「案外ちゃんとしている」中国のことを
『振り幅が大きいから…』と説明しています(苦笑)。
『中国が好き』というと、最近は「えー」という反応が多いんですが、
やっぱり中国が好きなので今月末訪中します。
(残念ながら北京には寄らないのです。)
どんな旅になりますことやら…。

投稿者 yosomist : June 8, 2008 10:46 AM

>yosomistさん

こんにちは。

「振れ幅が大きい」って中国を表現するのに良い言葉ですね。何でも両極端なんだよな、ここは。政治も、仕事も、経済も、右と左、トップとボトムしかなくて、中間がバサッと抜けている、そんな印象です。

4年前、「中国へ行くんだ」というと、「凄まじい勢いで発展してるしね、いいんじゃない」というような好意的な反応が多かったのですが、最近は「えー、大丈夫」という感じになって来ましたね。その意味では、日本人の中国に対する評価も両極端になってきた感があります。この先、振れ幅が小さくなっていってほしいです。日本の国土が西海岸に泳いで行けない以上、どんなに嫌おうとも、今後、付き合っていかなきゃいけない訳ですしね。

中国旅行、どうぞ楽しんで下さい!

投稿者 tofuku : June 9, 2008 03:49 PM