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モンゴルなめんな

国慶節。ローカルたちはお休み中だが、僕だけは出勤。時折現場から質問が飛んでくる以外、オフィスは静か。仕事がはかどる。

先週末、2年ぶりに内モンゴルへ行った。最近大相撲関係で何かと話題になったモンゴル国(中華的にいえば外モンゴル)ではない。中国の内モンゴル自治区のオルドスという都市だ。

モンゴルというと、タイソウな奥地を想像する方が多いかもしれないが、実際は、区域内に入るだけなら北京からそう遠くなく、飛行機で1時間足らずで省都フフホトに着くことができる(ただし、内モンゴル自治区全体はモンゴル国を取り囲むように東西に細長く伸びているため、北京から西端までの距離は福岡までのそれとそう変わらない)。また、資源にも恵まれ、産業も発達している。羊毛をはじめとした繊維業、農業、鉱業があり、一人当たりのGDPは北京や上海などの沿岸部の都市に匹敵するという。

乾ききった大地。買物する場所は殆ど無いがカネはある。そのようなカネがどこに向かうかといえば…ご想像の通り、不動産である。実際、町のそこらじゅうで建設現場が動いている。そんなわけで、新規の開発件数もまた、北京や上海に匹敵するらしい。せいぜい人口100万やそこらの都市が、1000万級の都市と同規模…絶句するしかない。

訪れたオルドス市の中心、東勝区。日本では、「区」同士の町並みは連続しているが、行政上の都合で「区分け」されている、というのが普通の感覚だろうが、ここでは隣の「区」まで車で草原を突っ切って行く。だから、東勝区も独立した都市である。

現在、市街の隣に、それと同規模の新市街が急ピッチで建設されている。2年前にココに来た時は、荒地の真ん中に市政府だけがポツンとあるような場所で、まだ道路も満足にできていないような状況だった。

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オルドス市の政府。幅3~400m、長さ2kmはあろうというバカでかい広場の北端に位置する。とても地方都市の役所とは思えない堂々たる建物。

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写真ではつかみにくいが、中心の馬の銅像は、高さ15メートルはある。5階建の建物くらいといえば分りやすいだろうか。その周りを、チンギス・ハーンの生涯を伝えるこれまた巨大な銅像達が取り囲んでいる。広場の横には、博物館、図書館、文化ホール、ニュースセンター(どういう施設かは不明。「新聞中心」と説明された)×2が同時に工事中。さらにその周りでは、多くの商業施設、オフィス、住宅、等の工事現場が稼働中。

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将来像…。

ところで、「文明」とは英語では"civilization"と書く…もうちょっと正しく言えば、日本が近代化したときに"civilization"が「文明」と訳された。頭にある"civil"は「市民」を意味するので、何かの拍子に「市民化」と訳されていたとしても不思議がないような単語である。だから、西洋でいう「文明」とは定住化や都市化と密接な関係がある。学校で習った「4大文明」だって、大河のほとりに人々が定住し始めて都市が生まれた事を言っている。

頭に「文明」を思い浮かべる。山羊とイヌと人間が合体したような像が立ち並ぶ神殿、もしくは宮殿。玉座にはやたら高い冠を戴いた王様、その横にはやたら長いウチワで扇ぐ侍女がいる。神殿の麓には活気のある市場があり、そこで奴隷が取引されている。そこへ農村から売られて来た美少女。実は彼女は…話がそれそうなので止めておくけれど、それってまさしく都市そのものなんである。

一方、「文化」は"culture"で、"cultivate"「耕す」と語源を同じくする。だから、西洋でいう「文化」とは農耕民族の定住化と密接な関係がある。カルチャー人間ってのは農耕人間って事だね。ざまぁ。いかん、話がそれた。

ところがモンゴル人は遊牧民族だ。本来は、都市も持たないし、農耕もしないし、定住もしない人たちだ。だから、西洋的な概念にバカ正直に倣えば「文明」も「文化」も持たない民族、という事になってしまう。13世紀以降世界を席巻した民族なのにも関わらず、歴史上軽んじられてきた原因はここにある。

モンゴルに急速に出現しつつあるこれらの都市を批判する事はたやすい。実際、建設による環境負荷は相当なものだろうし、歴史のない町並みが突如生まれる事に反感を覚える人も多いだろう。でも、ココに居る人にだって「文明的」で「文化的」な生活を享受する権利はあるわけで、都市的な何かを作らなければならない。

都市文明も都市文化もない所に都市を作ろうとしているのだから、何をやったってツッコミ所満載になってしまう。その都市はどんな都市であるべきで、どんな建物が建っているべきなのか?…批判はできても、僕はまだ代案をイメージできない。難題だが、新しいタイプの都市を構想するチャンスでもあると思う。

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