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September 2007 Archive
中秋節とゲッペイと
- September 25, 2007 1:25 AM
- architecture/design | art | china
今日は中秋節の前日ということで、例によって月餅があちらこちらから届いている。今年は3箱で計30個くらい。頂けるのは有難いんだけど、こんなにもらっても食べきれないよ…毎年半分以上はダメにしてしまっている。箱を開ける気にすらならない。日本の年末に飛び交うカレンダーと似た感じだが、こちらは食べ物だけに始末が悪い。
過剰包装の極致。
今日は中秋節を祝って施主、現場、ローカルとの食事会だった。どの道も大渋滞で、タクシーが使い物にならない。仕方なく降りてレストランまで歩く。食事中は乾杯合戦。居る人間のすべての組み合わせで杯を干しあう感じだ。16人いたら、一人一人と15回。そしてゼネコン全員と1回、施工管理全員と1回、施主全員と1回、出席者全員で1回…合計19回のイッキ飲み。「毎年コレで日本人駐在員が2・3人、急性アル中で亡くなってるんだよ」との牽制もむなしく、結局飲まされる。
明日から、国際交流基金主催の展覧会が798で開幕する。ギャラリー3つを使った大規模なもので、参加する作家も有名どころ。作家さんの4分の3ほどは来中して設営を行っているとの事だ。先週行われた北京アートフェアや、他の日中国交正常化30周年記念イベントとの相乗効果で、日本の美術、ファッション、デザイン関係者が北京に勢ぞろいした印象だ。テレビや雑誌で見知った顔が北京の工場の中をゾロゾロ歩いている…ちょっと面白い風景だった。
本日、プレス向けオープニングが開かれ、展覧会を覗かせてもらった。中国で、空間を贅沢に使った展示ばかり見てきた目には、少々詰め込み過ぎに感じられた。まあ、中国に於ける初めての大規模な日本展なのだから、これくらい網羅的な展示をした方が良いという判断なのだろう。展覧会の模様は、様々な媒体で紹介されると思うので、そちらを御参照下さい。

今、798で一番注目されている展示は、Continuaのアニッシュ・カプーア展。まさしく「空間を贅沢に使った」展示の極致で、大空間全体を使った巨大なインスタレーションがある。おそらく、カプーア作品の中ではテート・モダンのタービン・ホールで行われたインスタレーションに次ぐ規模だと思う。

会場全体に渦巻上の経路、兼「風道」が作られている。中央上部に換気口があり、そこから静かに空気が吸い出されている。入口から換気口へと流れる空気は、会場全体に見えない空気の渦を作り出す。唯一、そのスパイラル状の流れを可視化しているのは中央から立ち上る霧だ。霧の竜巻に手を触れると、たちまち文字通り「霧散」してしまうが、10秒程で元に戻る。この手で自然を操るような、そんな体験がある。簡単な「機構」で、未知の「気候」を会場内に作り出す手腕は流石の一言だ。必見。

もう一つ、大がかりなビデオ・インスタレーション作品が草場地のUniversalstudios-Beijingで展示されている。邱黯雄[Qiu Anxiong]の作品。入口は古い列車の中に直結している。すべての車窓には、近代中国の事件をまとめたビデオが繰り返し流されている。列車を降りると、真っ暗な倉庫の中に列車が置かれているのが分かる。つーか、この電車どこから入れたのよ!

(写真がブレブレですみません)
日本でこんな大規模な展示が行われたらちょっとした事件である。少なくとも雑誌やテレビが放っておかない。こんな展示がサラリと行われているのが今の中国なのだ。
観た人に印象を聞くと、「日本人は、文化の中心は日本だと思っている所があるけれど、それが滑稽な事がよく分かるよね。完全に置いていかれてるもの!そして、追いつくのも不可能。中国の方がスピードが速いもの!」なんて答えが返ってきた。もちろん「そうそう長くは続かないでしょう」という冷静な意見もある。でも、このムーブメントが一過性のもので、やがて消えて無くなる砂上の楼閣だとしても、やった事実は記憶や体験として残る。残ってしまう。以前にも書いたけれど、その本質がどんなものであったにせよ、リニアモーターカーを作り/走らせた事実、有人宇宙飛行を成功させた事実は残り、次世代を準備することだろう…
月餅を頬張りながら、そんな事を考えていた。(結局食べてる)
iPodなの?に…
中国製ニセiPod nano、俗称「iPodなの?」に新たなニュース。
Engadgetによると、シンセンの業者が早速新世代コピーを出してきたそうです。というわけで、先日ココで紹介したものは正式に「旧世代コピー製品」になりました。
これを見ていて、昔、台湾人の友人が「台湾のコピー技術は凄いわよ!ファミコンのゲームもプレイステーションのゲームもいくらでもコピーできる!次の課題はドリームキャストね!もうすぐ成功するわよ!(2000年当時)」と目をキラキラ輝かせながら語っていたのを思い出した。
ほとんど「民族の誇り」状態だった。
彼女の場合は中国人と一緒にされるのを嫌がりそうだけど、この画像を見る限り、コピーにかける思いには共通するものがありそうだ。中華民族のコピーに対する執念がヒシヒシと感じられる製品であることは間違いない。
中華コピー商品が放散する禍々しい執念の「オーラ」。これこそ複製技術時代の「アウラ」である!そんな事を天国のベンヤミンに言ったら…まあ、無視されるか、ブン殴られるかでしょうね。
天壇
- September 16, 2007 4:55 AM
- architecture/design | china
iPodなの?
- September 7, 2007 9:41 PM
- architecture/design | china | mono
新しいiPodが発表され、さぞ日本では盛り上がっている事だろう。正直、僕も欲しい、というか触ってみたい。誰か買って触らせて下さい。
その盛り上がりに合わせて、というかその盛り上がりをよそに?、今日は中国製iPodモドキの話題を。
Engadgetのこんな記事やこんな記事を読んで、中華コピーが存在しているのは知っていた。しかし、昨今は当局の取り締まりも厳しいらしく、いくら中国といえどもそんじょそこらで堂々と売られている訳ではない。こういうモノは秋葉原とかの方が手に入りやすいのかもなぁ、なんて思っていた矢先、某市場の売り子が弄っているのを発見してしまった。遠目に見ても、禍々しいオーラを放っていた。
表面の仕上げはほぼ同じだが、止せばいいのにリンゴマークと「iPod」の文字がプリントされている。なんという脱力感。
触らせてもらうと、中国らしく、機能は色々と詰め込まれていた。スピーカー/マイク内蔵、動画対応(ファイルは良く分からない形式)、画像対応…等々。中には、カメラやFMチューナーを内蔵しているモデルもあった。もちろん、全部の機能がキチンと動くかどうかは分からない。電源を入れると、リンゴマークと「iPod」のロゴが出、ごくごく普通の(というか安っぽい)MP3プレーヤーが起動する。だからたぶんAACには対応してないしiTunesと同期するのも無理っぽい。農民を集めて組み上げさせたような製品なので、品質は到底期待できない。話のネタ程度にしかならないオモチャだと思った方が良い。
ケースはこんな感じ。「肉薄感」がある。薄く感じるという意味じゃなくて「本物に肉薄している」感がある。「ニクウス」じゃなくて「ニクハク」だ。しつこいか。
価格は自称8GBモデルが500元(8000円)、自称1GBモデルが100元。売り子の言い値なので、交渉すればおそらく200元(3000円)、70元(1000円)程度には下がるだろう。
余談だが、こちらの記事によると、中国で一番売れているMP3プレーヤーは「魅族」のモノなんだそうだ。価格はほぼ同じ容量の(旧)iPod nanoの半分くらいで、FMチューナーやら動画にも対応した全部入りモデル。デザインもiPodを多少引きずっているがカッコよく、米国などでも人気があるらしい。
なぜこのようなコピー製品が中華圏に蔓延るのか。まだ発展途上だから、という説明もありうるだろう。確かに戦後日本のモノ作りが、精密機器だったらドイツやスイス製、クルマや家電製品だったらアメリカ製、バイクだったらイギリス製…そういった海外製品のコピーから出発した点は否定できない。でも、それでは経済的に十分発展している台湾や香港で、今だにコピー産業が盛んな事が説明できない。まだ台湾は発展段階なの?
ある中国人は「ノー・コンフィデンス」、つまり自信がないんだよ、という一言で片づけていた。そうかもしれないけれど、いつも自信満々の中国人を見ている僕としてはそれが全てとは思えない。
あるフランス人は「中国人は構造主義的な考え方ができない」と言っていた。つまり、良いデザインなり製品なりが、なぜ良いのかを根本的に問い直して要素を抽出することができない、という事だ。そりゃあ、貴方の国では構造主義はお家芸でしょうけど、構造的に考える事が創造行為の全てでもないでしょう。中国人に対する差別意識が見え隠れしていて、どうしても同じアジア人として反発を感じてしまう。中国人が構造的な考え方ができない民族だったら、どうして「構造的に面白い製品」を面白いと感じる事ができるのだろうか。良いと思ったからこそコピーしようとするのではないか。
僕は、アジアでコピーばかりが作られている現状を分析する事を通して、逆にアジアらしいデザインができるのではないかと考えている。だから中国のコピー製品には非常に興味がある。リサーチというには程遠い段階だけれども、おいおいココにも思うところを書いていきたい。
複製技術時代の芸術
ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読 (岩波現代文庫)