
飛行機が遅れた。空港までお客さんが迎えにきてくれていたのだが、だいぶ待たせてしまった。道中、現在起こっている問題について相談。
オフィスはもう誰も居ないだろうとの事で、部屋まで送っていただく。部屋に着いた時にはもう、8時を廻っていた。レストランまで行くのも億劫だ。マンションの中にある小売部(キオスク)で玉葱、ニンニク、そしてビールを買い求めて夕食の準備をする。
日本への留学経験があるような、日本通の中国人たち。彼らが一様に、懐かしがる食材がある。日本に遊びに行った時にも、必ず食べるようにしているという。納豆、寿司や刺身か。それもあるだろうが、意外なのは「牛肉」である。「ステーキとか。ただ塩コショウして焼いてあるだけなのに、柔らかくて本当に美味しいのよねぇ…」と目をほそめる。
中国の牛肉はとても堅くて、スジ肉のようだ。以前カレーを作った時に、何時間煮込んでも全然柔らかくならなかった。思うに、中国人は、肉の柔らかさをあまり重視してこなかったのではないか。ご存知の通り、日本は軟水、中国は硬水である。硬水でグツグツと煮ると、肉類は堅くなってしまう。このため、煮物は少なく、炒め物や、蒸し料理が発達した。どうしても煮たい場合は、極限まで薄く切る。それが火鍋と呼ばれるもので、これは日本のシャブシャブのルーツである。逆に言えば、柔らかい良い肉をわざわざ薄く切る日本のシャブシャブは、とっても贅沢な料理という事になる。
「良い肉」で思い出した。話はそれるが、「三大欲望」というものがある。食欲、睡眠欲、性欲の事だ。前の二つは生物の自己保存のために、性欲は繁殖のためにあり、生物に本来備わっている欲望とされる。ならば、どうして「カラダに良いもの」が美味しく見えないのだろう、と常々疑問に思ってきた。脂でギトギト、コレステロール満点の豚骨ラーメンに食欲を覚えるのは絶対におかしい。霜降りの松坂牛から滴り落ちる肉汁に舌なめずりするのはどうだ。だいたい、筋肉の中に脂肪が散らばっている牛が健康なはずが無い。フォアグラも同様。人間で言えば末期的な内臓疾患である。なのに美味しそうに見えるのは何故だ。
性欲について言えば、逞しい/美しい/頭の良い異性に性欲を覚えるのは、優秀な子孫を残すためだから、と説明できるだろう。でも、今ではそこから大きく離れた性的嗜好をもつ人も沢山いる。社会化によって、本能さえも歪まされているのだ。この考え方から言えば、三大欲望のうち、一番ピュアな形を保っているのは睡眠欲だ、ということになる。
そんな事を考えながら、買ってきたニンニクと玉葱、冷凍してあった牛肉と米を炒め、チャーハン…というより焼き飯…を作った。これだけでは何か寂しい気がしたので、残り物のパルミジャーノ・レッジャーノを擦って加えてみた。大抵、この手の思いつきは大失敗するのだけれど、今回は成功。肉はカチカチだが、チーズリゾット風で美味しい。
霜降り肉食べたいな…
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Comments:2
- C上野 September 30, 2006 11:22 PM
では、昼間から電車で爆睡したり、眠いのを堪えて明け方までyoutubeなどに興じている私は、ヨゴレきっているわけですね。明るくなったら起き、暗くなったら寝るほうが、カラダに良いにきまってますものね。
- tofuku October 1, 2006 1:53 PM
> C上野 さん
そういう考え方もあるかぁ…たしかに、「休日の二度寝が幸せ」なんていうのは、純粋な睡眠欲じゃないですね。そもそも「三大欲望」の中に睡眠欲が入っているのがおかしいかもしれません。「寝たい!」というより単に「眠い」だけですもん。「三大美女」の小野小町のように、単に数合わせしてるだけかも。