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マイ・アーキテクト

もう一週間ほど前になってしまいましたが、映画「マイ・アーキテクト~ルイス・カーンを探して~」を観に行ってきました。建築家:ルイス・カーンの素顔を、愛人の息子である監督自らが明らかにしていく二時間。

事務所では、半年以上前にボスが入手してきたDVDを事務所で鑑賞したそうですが、僕は中国に居たため観れずじまいでした。そのDVDを借りて観ようかとも思いましたが、劇場だったら日本語字幕付きだし、しかもその字幕は直弟子の香山さんによる監修だし、その会場のQ-AXは北山さん設計だし、しかも杮落としだし…そんなわけで劇場に行く事にしました。

入ってみると、同業者8割、学生(同業者予備軍)1割、なんだかよく分からないけど来ちゃったカルチャー敏感人間さん1割、という雰囲気でした。上映は21:15~の一回だけ。映画館サイドも、やたらと忙しい設計者の生態をよく分かっています。

時折、設計者同士で「好きな建築家は誰ですか」なんて質問し合うことがあります。コルビュジェやライト、ミースなどはメジャー過ぎて、「何を今さら」感が漂ってしまいますし、一番ホットな活躍中の現代建築家を挙げると、「なんだこいつ、単なるミーハーだな」と思われてしまいそう。もし自分が、雑誌にバンバン露出しているような著名建築家であれば何を答えたって「ほほー」と感心してもらえますが、僕のようなビミョーな位置に居る設計者にとっては、こういった質問に答えるのには注意が必要です。

そんな時「カーンです」というのは、なかなか無難な返事だと思っています。作品には静かな美しさが満ちており、饒舌なプロジェクトは少なめ、自身にも経済的/政治的な野心は少なめで、空間やそこに差し込む光など「建築の王道」的な発言を多く残しているカーン。彼の名を挙げることによって、「僕は正統派建築家ですから!」とアピールできる、そんな気分があるんです。

つい最近、カーンの作品集を再読する機会がありました。学生時代以来の事です。勝手に祭り上げられちゃっているところがあるけれども、実は、カッコ悪い作品もあれば、遊び心溢れるキャッチーな仕事もあるんですよね。幾つかの代表作を除くと、非常に人間臭い作品ばかりなんです。

この映画では、聖性すら感じさせる代表作を紹介する一方で、その作風とはまるで逆のメチャクチャな私生活にも焦点を当てています。息子の手によって燻し出されて来たのも「人間臭さ」そのものでした。

人間って、いろんな所でバランスを取っているものなのかもしれません。

建築以外の方が楽しめるかどうかはちょっと分かりませんが…よくできたドキュメンタリーだと思いました。

Louis I. Kahn: Complete Work, 1935-1974

プロジェクトを網羅。スケッチ豊富。ただし白黒。

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