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August 22, 2005
渡邊洋治#2
先日のニッキで報告しましたとおり、建築家:渡邊洋治氏(以下敬称略)の甥御さんにあたる佐藤さんの案内で、東京某所に渡邊の生前の状態まま保存されているオフィスを見学してきました。映画「マルサの女」にも登場した個性溢れるビルです。

日曜日で静まり返るオフィス街に鈍い光を放つ銀色の異物体。これが、渡邊洋治の住宅兼オフィスです。敷地面積はわずか11坪で、地下1階、地上5階の細長い建物。今でこそ付近はビル・マンションが立ち並んでいますが、これが建った当時は周りは平屋住宅ばかりだったそうで、その頃のインパクトが偲ばれます。「都心に住む」「狭小住宅」「職住近接」「SOHO」といった現代住宅の主要テーマを、60年代に一挙にやってしまっているんですね。
地下は倉庫、1階は駐車場、2・3階は渡邊の住居、4・5階は設計事務所として使われていました。現在、地下と1階は倉庫として貸し出しているそうですが、2階より上はほぼ生前のままの状態で、図面類・模型類が保管されています。一生独身を貫いた渡邊亡き後は、佐藤さん御一家で清掃・管理されて来たとの事。死後22年も経つのにも関わらず、部屋の内装や図面類のコンディションが良いのには驚かされました(もちろん経年変化はしていますが)。
向かって左側が階段室となっていて、道路の隅切り(敷地の角がナナメに面取りしてある部分)に向かって各階、可愛らしいバルコニーが張り出しています。2階のバルコニーの手摺には小さな小窓が開けられ、施主の住職からプレゼントされたという仏像が顔を覗かせ、3階の手摺には渡邊家の家紋がコンクリートに打ち込まれています。渡邊らしい茶目っ気のあるアイディアです。

渡邊洋治のデザインは、「龍」や「軍艦」などの特異なデザインモチーフ、素材としての鉄への興味/銀色のペイント、建築の工業化への興味、荒々しくも表現主義的な細部の造形…などなどが際立って突出しており、それに目を奪われがちですが、作品を冷静に見つめなおしてみると、設計手法としては非常に合理主義的/モダニズム的です。頭の中で、上の写真から荒々しいコンクリートのテクスチュアや家紋を取り去り、壁を真っ白に塗ったところを想像してみてください。プロポーションの美しい、モダン建築そのものが浮かび上がってきます。
小さいながらも渡邊洋治のモダニストとしての一面を良くあらわしている佳作だと思います。次回は内部、そして渡邊ファンにはたまらないお宝の数々を紹介します。
投稿者 tofuku : August 22, 2005 01:30 AM
コメント
麻布十番ラウンジではどうも。
この建物、会社のすぐ近所です。今まで知らずに毎日のように前を通っていた...
投稿者 Chico : August 22, 2005 11:33 AM
実は僕も、以前、この近くで現場を担当していたことがあって、少し気になっていました。
佐藤さんに「○○町にある、銀色のコンクリートの荒々しいビル…」と聞いていたのですが、ある日突然、ヒラメキのように思い出しました。
東京には、「誰が設計したのか知らないけれど、ナニゲにカッコいい、ちょっと気になるビル」がチラホラありますよね。時折、本をペラペラ捲っているときに、好きな建築家の作品であることを知ったりします。
特にこのエリアは、70-80年代の名作がチラホラありますよね。
投稿者 tofuku : August 22, 2005 12:18 PM