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August 03, 2005

渡邊洋治

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絵画や彫刻などのファイン・アートとは違って、建築には作家に内在する世界を存分に表現した作品、というのは少なめです。クライアントの金を使って建てるわけですし、技術的な側面も強いし。建築を一つの表現活動としてみると、かなり制約が多いと言えると思います。まあ、絵の世界でも、作家達はパトロンの要望を受け入れながら自分の表現を試みていたわけですから、全く自由、というわけではなかったでしょうから、あくまで程度の問題ですけれど。

過去に数回紹介しましたが、主に70年代初頭に活躍した渡邊洋治(Wikipedia)という建築家が居ます。彼は、日本における数少ない「情念の」建築家の一人と呼んでいいでしょう。かくいう僕も、彼の代表作「第3スカイビル(別名:軍艦マンション、鉄のマンション)」を実際に訪れて見るまでは、メタボリズム運動のさなかに現れた単なるキワモノという認識で居ました。ところが実際にオリジナルを見てビックリ。全体的な構成からディテールに至るまで、凄まじいエネルギーが込められていました。「なんとなく、モダンでオシャレ」な作風の建築が雑誌を賑わせている今、彼の内から湧き出た創造物は少々奇異に見えるかもしれませんが、同時に、我々に創造とは何かを考えさせます。

なぜ突然、この話を始めたかというと、過去のログを見た渡邊氏の甥の方からメールを頂いたのです。実はこの方、私が以前勤めていた会社の方でして、一度お会いしたこともありました(もちろんその時は渡邊氏の話は出ず)。渡邊氏が遺したドローイング類を今でも保管してらっしゃるそうで、近く機会を見つけて「軍艦マンションに住むために日本に来た」と言って憚らないホフマン真帆子氏等と一緒に見せてもらおうと思っています。

一度、渡邊氏の作品集で彼のドローイングを見たことがありますが…またこれが凄いんです。ルドルフ・シュタイナーの黒板画にも通じるような、ある種のオカルティズムすら感じる情念的な世界(そういえば、ホフマン氏はシュタイナー学校出身だったな…そこらへんも共鳴する理由でしょうか)。なんでも、マジックインキでグリグリと書かれた物だそうです。それをナマで見るまたとない機会。楽しみにしています。

投稿者 tofuku : August 3, 2005 12:30 AM