June 27, 2008
労働者街
ユル―い内容で書こうと思っても、なかなかそうはならないな。ここは、何もかもが政治問題化してしまう国。
北京の人口1700万人のうち、約4分の1の450万人が地方からの出稼ぎ労働者で、そのさらに半分の200万人がいわゆる「民工(ミンゴン)」とよばれる建設業に従事している人たちだ。市中心部の巨大開発やオリンピック関連施設の現場で働いている人たちは、現場そばの仮設宿舎で生活することになる。この人たちも、オリンピック前の「浄化」施策によって、7月下旬から北京の中心部から退去させられる。「オリンピック中はテロが起こる可能性があって、危ないから」などと言いくるめられ、郊外に移動させられるらしい。なんともひどい話だ。「発展途上国」だと言い張っているのだから、現状をありのままに見せればいいのに…と思うが、中国のメンツがそれを許さないらしい。
7月1日から北京市中心部はトラックが通行できなくなる。さらに、20日以降は工事ができなくなる。オリンピック期間中に北京を離れる「民工」も多く、その数は40-50万人と見積もられている。オリンピック直前には、年末年始とは違った、別の民族大移動が起こるはずだ。
特定の工事現場を持たない人たち、例えば小型の物件をこなす内装職人たちが暮らす北京郊外の集落を訪れる機会があった。

中心にある市場。アジアそのものの風景。埃だらけのフロントガラス越しに撮ったので、必要以上に埃っぽく写っている。まあ、実際すごく埃っぽいが。

曲がりくねった路地。レンガの色を見る限り、最近できた集落のようだ。子どもたちが遊んでいる。ちょっと懐かしい風景。

いくつかの家族が集まって暮らしている。家は作業場も兼ねており、小さい家具をここで作ることもある。「おー、東福、よく来たね!」と西瓜を切ってくれた職人の奥様たち。ある職人は、上海から家族三人で出てきたという(だから、正確にはこの人たちは出稼ぎ労働者ではない)。彼女たちは専業主婦ではなく、夫と共に現場に赴き、職人達の食事を作ったり、現場の掃除をする。

決して豊かとは言えないが、暮らし向きはそれほど悪くない。かつては、「ブルジョア的なもの」として批判の対象となったペットを2匹も買っている。片方の犬をカメラで追っかけていたら、「こっちの方がキレイだからこっちを撮ってよ!」と笑っていた。カメラを向けると、老若男女みなはにかんだ笑いを見せる。
驚くのは、街行く人の表情が皆明るいこと。月並みだが、豊かさってなんだろう?と考え込んでしまう。ま、今の僕は、精神的にも物質的にも、そう豊かとは言えないので、余計な御世話かもしれないが。
時々、お客さんに付き合ってマッサージ店に行くことがある。1時間もの間、力いっぱい客を揉み続けるなんて、重労働以外の何物でもないのだが、働いている若者たちは、僕の拙い中国語に突っ込みを入れながら、キャッキャッ楽しそうに働いている。今はこんな仕事をしているけれど、必ず豊かな未来がやってくる。そんな希望が、彼らの表情を明るくしているのだろうな。
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June 26, 2008
オリンピック浄化
先週、東京、名古屋と、5日間程日本に戻っていた。中国の再入国は、ちょっとドキドキした。
これまでこのニッキでは、「オリンピックに向けて何々が進行中」みたいな話題を何度もしてきた。マナーの改善やら施設の整備、取締りの強化やら。6月に入ってから、こういった「活動」が一気に加速して来ている。海賊版DVDショップやら、日本人ビジネスマンを相手にした水商売の店、床屋の形をした違法な性風俗店(合法な性風俗店なんてこの国にはないが)が、当局の取締をうけてバタバタと店を閉めているという。注意したいのは、「閉めている」のであって「たたんでいる」のでは無いという点。オリンピックが終われば何事も無かったかのように商売を再開しそうだ。少なくとも大抵の北京人はそう信じている。
つい先日、打ち合わせの帰りにニセモノで有名な市場に立ち寄ったが、ここもキレイさっぱり浄化されていた。内装はキレイに作り替えられ、売り子のユニフォームは一新され、ニセモノどころか、「ギリギリ感」漂う商品すら店頭から消えている。以前、ニセモノブランド時計を売っていた売り子達は、今は洋服の生地やらアクセサリーを売っているそうだ。北京の妖しい場所が次々と消えて行ってしまうのは、やはり少し寂しい。子供の頃にはそこかしこにあった合成着色料バリバリの駄菓子が、次第に消えて行った事を思い出す。これが経済発展というものなのかな、とも思う。
不良外国人ーーホンモノの不良も居るかもしれないが、殆どは「政府にとって都合が良くない外国人」だろうーーが入国審査で拒否されるケースも増えているらしい。伝え聞いた話では、あるヨーロッパ人は、skypeでチベット問題について激しく語っていたところ、当局のブラックリストに載った、というような説明を受けたんだそうだ。中国のskypeは他の国のように暗号化されておらず、中国が誇る巨大ネット検閲システム「金盾」(またの名を「グレート・ファイアーウォール」)でも検閲可能という噂だが…でも、そこまでカッチリ管理できるもんなんだろうか?というより中国人がするんだろうか?
中国の政治のやりかたは、官僚が冷徹に政治をしている日本とはちょっと違って、細かい所は目をつむり、全体が崩壊してしまうような重大事のみを対処しつながらファジイにコントロールしてゆくような所がある。その政府がここまで徹底して北京の浄化に躍起になっている…彼らのオリンピックにかける気合いは相当なものだなぁと思う。
酒も女もニセモノも興味が無く、政治的な発言も活動も一切しない。そんな「完璧」な外国人じゃないと、オリンピックの時には北京に居られないかもしれないね、なんてローカルと笑い合っている。
というわけで、僕も今のところ国外退去にはなりたくないので、これからオリンピックまでは、これまで以上にユルーい内容になると思います。どうぞ御了承下さい。

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2008年 07月号 [雑誌]
チベット問題やら食品騒動で、オリンピックを狙って出版された中国関係書籍の売り上げが伸び悩んでいるらしい。
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June 07, 2008
のどか
先日、関わった仕事が着工するというので地鎮祭に呼ばれ、5時起きで行った。
敷地についたが、施主はおろか、ロッキングチェアでラジオを聴くオッサンを除いて、誰もいない。祭壇の準備もない。



のどかだ…。
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May 17, 2008
唐山と地震と
1500キロも離れた北京で揺れを感じるなんて…想像を絶する。
北京からそう離れていない所に、唐山という都市がある。今から約30年前、ここをマグニチュード7.8の直下型大地震が襲った。犠牲者は発表によると24万人以上、本当はその倍は居たのではないかとの説もある。92%の家屋が倒壊(真偽の程は確かではないが、残った建物の殆どは日本統治下に建てられた物で、そのため当地では日本の建物に対する信頼が厚いと聞いた)。未曾有の大災害であったにも関わらず、中国政府は他国の救援を断り、被害を拡大させた。

唐山にある「抗震記念館」。「抗日」ではない。

市内には、震災を受けた工場等がそのまま保存されている場所がある。一部は公園として整備される予定だと言う。


記念館の中の展示では、中国国内から派遣された救援隊の活躍がヒロイックに描かれていた。中国人民の勝利。非常に政治的な内容だ。何もかもが政治に利用されてしまうというのは中国ではいつもの事で、今回の四川省の大地震とて例外ではない。テレビの特別番組には、本日現地入りした胡錦濤氏が被災地の視察風景や、救援隊の美談がふんだんに織り込まれている。
だからといって日本の報道が偏向してないかというと、そうではないのが悲しい所だ。中国の構造設計に関して、日本の某テレビ局の取材を受けた人の話を伝え聞いたが、「中国ってやっぱり酷いですね」というストーリーありきの取材だったらしい。
僕は、中国で大規模施設の設計経験が豊富とは言えないが、幾つかの例を思い返してみると、中国の耐震設計は日本ほどには綿密ではないものの、案外ちゃんとしている、という印象がある(凄まじい勢いで建設技術が進歩している国なので、最近設計された比較的新しい建物に限定させてもらうけれど)。今回倒壊した建物も、中層までの比較的古い建物が多いようだ。
あまり知られていないようなのでついでに書くが、建物の避難や消火設備に関する法規についても、日本と同等、それどころか日本より厳しい所も散見される。意外かもしれないが建物の身障者対応もかなり厳しい。「中国だったら法規も未整備だろうから、なんとかなるだろう」とナメた図面を持って中国に乗り込み、痛いメに会った僕が言うんだから間違いない。
日本のメディアー日本人自体がそうなのかもしれないが—は、どうしても中国を「民度の低い」、精神的に/文化的に/技術的に立ち遅れた国として見たがる所がある。確かにメチャクチャな所はあるが、本当にそのとおりの国だったら日本にとって何ら脅威ではないだろう。製品の生産量だけではなく、イビツではあるが多方面で凄まじい勢いで発展し、一部では日本を凌駕しつつあるから脅威なのだ。今の日本の中国報道は単なる気休めだ。本当の脅威を見極めてから恐れるべきだ。本当に、案外ちゃんとしてるんだから。あくまで「案外」だけどね。
話がそれたが、政治に利用されやすい大災害においては、迅速かつ最大限の援助を行うのはもちろんだが、チベット問題等の諸問題がウヤムヤにならないよう冷静にウォッチする事も重要だ(チベットの一部は震源から近いにも関わらず、被害状況は未発表の部分が多く、海外メディアも入れないという)。
日本からの救援隊は青川県という場所で活動を開始した模様で、中国のテレビでも大きく報道されている。もちろんこの報道にも政治的な意図があるんだろうが、同じ日本人として素直に誇らしい事で、ぜひ地震国日本のノウハウを生かして活躍して欲しいと思う。
来週には、ある日本人建築家が現地入りするという。また、アーティスト、ロンロン&インリによる写真芸術のギャラリー、三影堂撮影芸術センターでは募金やチャリティーオークションを開催するという。北京に居ながらこれといった活動ができてない僕としては、本当に頭の下がる思いだ。
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May 15, 2008
The James Taylor Quartet / Live at the Jazz Cafe, London
5月16日にP-Vine Recordsより発売される"The James Taylor Quartet / Live at the Jazz Cafe, London"の解説を執筆させて頂きました(このCD、輸入盤と日本国内盤の二種類あり、私の解説があるのは日本盤の方です)。
自分が学生時代、熱狂していたアーティストのライナーを書く事になるとは…。感慨深いものがあります。解説の方も、多少、懐かしモードに入ってしまっています。本当は10代、20代の若者に聴いてもらいたいのに、オッサン臭い文章。
渋谷/新宿タワーレコード等、大型店では試聴機に入ると思われますので、どうぞお買い求め下さい。もちろんアルバムの内容も素晴らしいです!以下、N氏による紹介文です。

The James Taylor Quartet / Live at the Jazz Cafe, London
元祖アシッド・ジャズの巨頭、ジェームズ・テイラー・カルテットが過去17年間で150回以上ものライヴを行なってきたロンドンのジャズカフェ。 そのホーム・グラウンドでだからこそ何にも囚われることなく自由気ままに演奏するJTQの新たな一面が見れるライヴ・アルバム! モッズ、アシッドジャズからジャズファンクへ! いつの時代もヘヴィでファンクなオルガン・ジャズの頂上にはこのオトコがいた! 御大JTQ渾身のライヴ・アルバムが、遂に登場! 長年フロアを沸騰させてきたアツ過ぎる自身の名曲の数々に加えて、ハンコック「Blow Up」やブーガルー・ジョー・ジョーンズ「No Way」などライヴの真骨頂とも言うべき鉄板カバーも炸裂! ジャズファンクの醍醐味はやっぱライヴ! そう断言できる、入魂の一枚です。
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